中年ニートの物語
なんていう、ハッキリとした原因というのはなかったのかもしれない。
ただ、現状から逃げ出したくなったのだ。
タダシは10年弱務めていた会社を辞め、家に引きこもるようになった。
別に今すぐ次の仕事をしなくても貯金はあるので、しばらくは食う分には困らないだろう。
ただ、起きてはPCに向かってはダラダラと動画などを見、そして食事も自炊することもなく、インスタントやレンチンで作ったもので簡単に済ませたら、またPCかスマホに向かう。眠くなったら眠るだけ。
そう、ただの引きこもりの、無気力野郎だった。
だが急に色んな人間関係をリセットできることもなく、友人からの連絡が来れば「仕事探ししてるよー」などと返信したり、まだ健在の親にも生きていることを時々アピールしなければならなかった。
本当は、自分をリセットして、また一から始めたらなんとかなるかな、と思っていたのに、それもなかなかままならない。
鬱蒼とした気分にさせらてては、また無気力に何もしない怠惰な生活に戻るという悪いループにはまっていた・・・。
「いい加減、起きたら?」
聞きなれない声がする。
昨晩見てたアニメが流れっぱなしなのだろうか。
そうでなければ、なぜ若い女性の声が聞こえるのか?
「ちょっと、聞いてるの?」
また、同じ声だ。
瞼を開け、かったるい体を起こすと、そこには信じられない光景が広がっていた。。。
まだ20代前半か、と思われる女性、しかも非常に可愛い、そんな子がエプロン姿で何やら朝食のようなものを作っている。
俺は硬直してしまった。自分と、自分の大事な部分と両方ともだ。
「やっと起きてくれたね。もうすぐ出来るから、早く着替えて。」
まだ頭が働かない。
何なんだ、これは。
俺は頭がおかしくなってしまったのか?
目が覚めたら異世界転移してしまったのか?
俺は思いっきり頬をつねった。
それが後に、一生後悔することになるとは知らずに・・・。
ぐにゃん、と音が出そうなぐらいに視界が歪んだかと思うと、俺は、普段通り、布団の中で目が覚めた。
「なんてこった。覚めなければ良かったのに。」
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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