将来の子供達についての未来予想
「先生、本日はとても興味深い講義をどうもありがとうございます。さきほど先生が紹介してくれたお話についていくつか質問があるのですが、よろしいでしょうか」
「私はこの後ミーティングがあるのですが、まあ次の講義が始まるまでの間だったらよいでしょう。それで、なにが聞きたいのですか?」
「お忙しい中ありがとうございます。先生がおっしゃっていたデザイナーベビーについてなのですが、受精卵中の遺伝子を改変することで、望み通りの表現型を持つ子供を作り出す技術を先生が開発したということですよね?」
「少し違いますね。私が開発したのは、両親の遺伝子をもとにあらかじめデザインしておいたゲノムを受精卵に導入する技術です。これによりゲノムデザインに時間をかけられるようになったため、より幅広い改変を加えられるようになったのです」
「なるほどそうでしたか。それによって遺伝子疾患やがん原遺伝子を取り除いたり、外見や知能を好きなようにデザインすることができるのですね?」
「外見や知能についてはまだ難しいところが多いとは思いますが……まあそのうちそんなこともできるようになるでしょうね。ゲノム編集技術については大丈夫ですよね?」
「はい、Cas9システムについては先週この講義で別の先生が解説して下さりました。ところでこの間ニュースで見たのですが、デザイナーベビー技術を用いて肥満遺伝子を取り除いた子供というのが流行っているそうです」
「Cas9の他にも色々あると思いますが……ええ、やはり子供にスレンダーになって欲しいと望む親は多いのでしょう。編集しやすい形質ですしね」
「そこで思ったのですが、肥満遺伝子というのは裏を返すと栄養を身体に蓄えやすい、つまり少ない食料で効率よくエネルギーを摂取できるということですよね。デザイナーベビー技術によって先天性疾患のために死亡する子供が減り、今後いっそうの人口増加が予想されています。これによって食料不足の問題が起こった場合、この肥満遺伝子を持たない人たちは生存に不利なのではないでしょうか。これが原因で人類が絶滅する、なんてことになったりはしないのでしょうか」
「君はもう少し自分で物を考える訓練をした方がよいね。簡単な話じゃないか、それなら肥満遺伝子を持つ子供たちを作るようにすればいいんだよ。それでは、時間なので失礼するよ。しっかり勉強を頑張りなさい」




