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5分で読める短編集  作者: 鳥乃雛
13/19

当時は禁止カード

 これは俺が地元の先輩から聞いた話。


 先輩が小学生の高学年くらいの頃、当時は遊戯王のカードゲームがものすごい流行っていて、先輩もそれにめちゃくちゃハマってたそうだ。


 先輩には年の離れた弟がいて、兄弟ともに遊戯王ばっかりやって遊んでたらしい。一緒に新しいパックを開けて、デッキを組んだり、夜遅くまでデュエルをして親に怒られたり。


 そんな先輩の祖父母の家はそこまで遠くない所にあり、たまに家族で訪問してはご飯をご馳走になったという。お婆ちゃんの作る唐揚げが大好きだったと先輩は言っていた。


 先輩の弟はとてもお爺ちゃんっ子で、家を訪ねたときはいつもお爺ちゃんにべったりだった。そんな孫をお爺ちゃんも可愛がってた。


 弟は祖父母宅にも遊戯王カードを持っていって、いつもお爺ちゃんに相手をして貰っていた。お爺ちゃんの方も、よくルールが分かっていないながらも弟と遊べるのが嬉しいようで、弟が楽しそうにカードを使うのを見て幸せそうに笑っていたんだ。


 それからしばらく経って、お爺ちゃんは死んだ。


 お通夜での弟はずっと泣きどおしだった。いつも笑っていた弟が、あんなにも泣いたのは後にも先にも見たことがなかったという。


 葬儀も滞りなく進んで、最後の花入れでみんな遺体に思い思いに別れを告げる。先輩も柩に別れ花を入れて、他の人たちがそうしたように、お爺ちゃんの体を抱きしめる。それは想像していたよりもずっと冷たくって、やっぱり本当に死んだんだなと実感したらしい。


 弟はその時も椅子に座ってずっと泣いたままで、お爺ちゃんの所には来ていなかった。


 先輩は弟の側に行って、これが本当に最後になるんだから、しっかりと挨拶をしてこいと泣き腫らした瞼を拭いながら言ってやった。


 それでもしばらくは躊躇していた弟だけど、再度先輩に最後なんだと聞かされ、意を決したようだった。柩に向いて駆けていく弟を見守る。


 親戚たちはもう別れを済ませたようだった。みんな弟を待っていたのだろう。弟は大きな声でお爺ちゃんを呼びながら、涙声で最後の言葉を伝えていた。


 そして柩の蓋を閉じるというので、先輩もまたお爺ちゃんの遺体へと向かう。こちらへと引き返してきた弟の手を取り、一緒に歩いた。これで本当にお別れなんだと思うと、胸に迫るものがあった。


 そして柩の側に立って、遺体に目を向ける。


 お爺ちゃんの胸の上には、"死者蘇生"のカードが置かれていた。




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