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5分で読める短編集  作者: 鳥乃雛
12/19

日記

 その日は朝から気分が悪かった。原因は分かっている。昨夜の深酒のせいだろう。


 割れるように痛む頭を押さえながら台所へ向かう。蛇口を捻ると勢いよく水が出てきた。しばらくぼうっとそれを眺めてから、手に持った紙コップをくぐらせ口に運ぶ。何度かそれを繰り返していたら、少しは頭が回るようになってきた。


 紙コップをゴミ箱に投げ捨てて、そのまま水道で顔を洗う。跳ねた水で濡れた上着を脱いで、顔をゴシゴシと拭いてから洗濯カゴに投げ入れた。


 こんな日でも大学には行かなくてはいけない。どうせ今から二度寝も不可能だし、酒臭いこの部屋にいてももっと不快感が強まるだけだろう。


 適当な服に着替えて外に出る。朝の空気は肺には心地よかったが、少しだけ肌寒さも感じた。しかし今さら服を取りに部屋に戻るのも面倒で、そのまま駐輪場へと歩いて自分の原付に鍵を差し込む。


 まだ少し思考の鈍さは感じるが、もう家を出ないと講義には間に合わない。気をつけて運転すれば大丈夫だろうとエンジンを入れ、アクセルを回す。ひとつめの角で石垣にぶつかりそうになった。



 こんな日にこそ警察というものは仕事をするもので、信号を右折するときに少しふらついたところを止められてしまった。


 免許証と学生証を提示して、名前と住所を書いて渡す。いくつかの質問に答えていると、片方の若い男に呂律が怪しいからとアルコール検査器を渡された。


 こうなった以上は仕方がないと観念して、機械に向けて思いっきり息を吐き出す。警官がそれを受け取り数値を見て、おかしいな……と眉をひそめた。一体なんだろうかと顔を見ていたら、もう一度やってくれとそれを近づけられた。


 仕方なく再度息を吹きかける。もう一度結果を見て納得したのか、男は検査器をパトカーの中へとしまった。他には特に何もなかったようで、気をつけて運転するようにと言って、警察はそのまま行ってしまった。


 どうやら呂律が回っていなかったのではなくて、もともと滑舌が悪かっただけらしい。俺もまた大学に向けて原付を走らせる。一限には間に合うだろうか。



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