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5分で読める短編集  作者: 鳥乃雛
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巻き戻せない時間

俺の妹は、死んだ。あまりにもあっけなく。


首に縄をかけ、握る手に力を入れる。


最後に妹の頭を撫でた。その手のひらに、じんわりと熱が集まってくる。


一緒に過ごした日々に想いを馳せる。共にご飯を食べ、くつろぎ、眠り、安穏と暮らしてきた日々。楽しかった。


妹は本当はどう思って過ごしていたのだろうか。今さら悔いてももう遅い。


妹が好きだった。


妹といられれば、それだけで幸せだと思っていた。


机の上に置かれた、2つのマグカップ。寒いねと二人で飲んだインスタントコーヒーは、もう完全に冷めてしまっていた。それが一緒に過ごした最期の団欒だった。


目からは滂沱の涙が、止め処なく溢れてくる。こんな世界では、もう生きてゆかれないと。


横たわる妹に目をやる。いつもの愛らしい瞳は瞼の裏に秘められ、安らかに眠っているように見える。


両親が死に、これからは二人で生きてゆくと思っていた。どうにか生活していこうと考えていたその矢先だった。


拒絶された。受け入れられなかった。世界は俺を認めてはくれなかった。許せなかった。


俺には、妹しかいなかった。妹だけいれば良いと、そう思っていた。妹のためだけに生きてきた。妹だけが俺の世界だった。それなのに。俺は、


俺たちは、幸せに生きていくはずだったのに。




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