物語で衝撃的な展開って一番初めにおいて引っ張るよね。
「この女がどうなってもいいのか!」
そう声が高い天井のホールに響き渡る。
先ほどまでの賑やかで華やかだったであろうパーティ会場は静まり返っていた。
まぁ、それも無理はないよなぁ、なんて思いつつ会場の人を見渡す。
貴族の子息子女のみが通うことが許される学園の学年末のパーティ会場。
主催は学園と現在学園に通っているこの国の第一皇子。
エスコートされているのは、豪華なドレスに身を包んだ。私の血のつながらない姉。
その身の上は、伯爵家の愛人の娘。
正妻に命を狙われていたため町に捨てられたのだが、伯爵が病で急死し跡継ぎを求めて探し出された彼女は無理やり連れ戻されて一年になる。
そしてそれをにらみつける高飛車な雰囲気の令嬢集団。
にやにやとしながらも口元を扇で隠している。
が、あからさますぎるだろー…。
この空間で最も異質な存在の私を見てその態度じゃ私がやりました!って言ってるようなもんじゃないかな。
そう、子爵の男に羽交い絞めにされて、首元にナイフを突きつけられている、町娘の私はとんでもない異質な存在なのだから。
ナイフとか突きつけられて動揺していたけれども、なんで動揺してないんだって話になるかもしれないけれど、最初は動揺していた、間違って舌をかむくらいには。
でも会場についたら、愕然とした皇子やその隣で悲鳴を上げた姉を見たら落ち着いた。
動揺してグラス落としてジュースがお高い衣装にこぼれてますよ、殿下。
それ赤くて落ちないことで町では有名なので、早めにしみ落とししたほうがいいと思います。
姉さんも下に落ちてるグラスの破片踏むと危ないからそのままそこで倒れないように気を付けてね。
さて、事前準備も調査も中途半端な高飛車令嬢様方、準備万端な私といざ、勝負!