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愛があれば大丈夫  作者: Miho
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 数時間後万理はLAに向かう飛行機の中にいた。日本に1分たりとも居たくなかった。どうしても両親の葬儀には出席させてもらえず、遺骨さえ拾えないのであれば、日本に居ても辛いだけだ。

 この先1人で生きていく事の不安に震えながら、東野家のやり方に猛烈な怒りを感じながら、

両親と義兄に守られていた頃の幸せな生活を思い出し、ただ涙を流した。


 義兄の要と万理は本当の兄妹のように育った。

要は成績優秀、性格は温厚で、見た目も高校に上がる頃には180㎝ある身長に剣道で鍛えた身体は適度に筋肉が付いていて、街中を歩けば必ずモデル事務所にスカウトされた。何より父親譲りの精悍な顔立ちが万理は1番好きだった。


 本当に欠点のない要の唯一の弱みは義妹の万理の存在だと言われていた。万理が泣けばおろおろし、万理を笑わせる為にいつも気を使っていた。

 万理が中学3年生の春に告白してきた同級生を振った時、断られると思っていなかったその同級生は逆上して万理を階段から突き落とした。中学でも1番のモテ男であったその同級生は、クラス中に告白を宣言して万理を呼び出した為、絶対無理と言われてパニックになったらしい。

 万理は足を捻挫してしばらくの間松葉杖が必要だった。それを聞いた要はそれこそ烈火のごとく怒り、同級生のモテ男をボコボコにした。東野家の人間は要があんなに怒った姿を後にも先にもその時以外見たことが無い。


 2人は休日もいつも一緒に過ごした。お互い

とてもモテたが、恋人がいたことは無かった。口には出さなかったが万理は小学生の頃から要のお嫁さんになると決めていた。その気持ちは成人してからも揺らぐことは無く、アメリカに留学したのも将来要の妻になった時に、英語は必要と判断した為だった。離れ離れになるのは辛かったが、未来を見据えて決断した。


 要は口に出して好きだと言ってくれた事は無かったが、大学生になった万理が男子を含む飲み会に参加するのをひどく嫌がったし、必ず9時には要自身が車を運転して迎えに行った。

 万理の友人の間では有名な話で、次第にそんな万理に手を出そうとする男子はいなくなった。要も同じ気持ちでいてくれると万理は信じて疑わなかった。


 両親の死により万理は全てを失ったのだ。

 

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