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愛があれば大丈夫  作者: Miho
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ーー事件から1ヶ月後ーー


 ナンシーとアンソニーは既に帰国し、アーロンも着実に日本での仕事を進めている。万理が抜けた為、アーロンの負担が半端なく、もう何日も深夜まで仕事をしていて、疲れもピークに達している。そんな中アーロンが支社長室で遅めのランチを取っていると、スマホに東野要から着信が入る。溜息を付きながら電話に出ると

『やあ。支社長さん、調子はどうだい?万理に聞きたい事があるって伝言を聞いたけど、万理と話す?』

『話したいから電話したんだよ。大体何で要からかけて来るの?万理は?午前中でリハビリは終わったんだろう?』

『万理なら僕の横にいるよ。代わろうか?』

『横にいるって、君仕事はどうしてるの?まさか長期休暇中とか?』

『まさか!万理の入院中長い間休んじゃったから副社長にキレられて、仕方なく会社で仕事してるよ』

『会社で仕事してるって…じゃあ何で万理が横にいるのさ?』

『アーロン、うちの社長室の横には社長専用の仮眠室があるんだよ。万理は僕が仕事中そこにいるんだよ。で、今は一緒に食事をしたとこ』

 終始ご機嫌な要にこの所仕事一筋で色々我慢しているアーロンはキレそうになる。リア充大嫌いだ!心の中で叫ぶ。そして要が万理にスマホを渡す。

『アーロン?ごめんね。手伝えなくて。何かあった?』

『万理?身体は大丈夫?』

『大分良いわ。やっと顔の痣も消えたし、リハビリも順調よ。』

『何で要の家で待たないんだよ。あそこにはお手伝いさんが何人もいて、そこにいるより快適だろ?』

『アーロン、今私達あそこに住んでいないの。会社の近くのマンションに引っ越ししたの。お兄様がしばらくは2人で生活したいって。私は反対したのよ。今の私は食事も作れないし、掃除だってできないし。それでも2人っきりでいたいって聞かないの』

すると後ろから要の声が聞こえる。

「万理!いい加減に怒るよ。お兄様じゃなくて要って呼んでって何回も言ってるだろ?今夜もまたお仕置き…」

ピッ!!アーロンはスマホの通話を終了させる。

『あいつら!!俺のこの1ヶ月の禁欲生活…いや、仕事オンリーの生活をどうしてくれる。本当にリア充絶滅しろ!!!』

頭をガシガシ掻きむしりながら叫ぶと、万理の後任の秘書が慌てて支社長室に飛び込んで来る。

「はぁーー。何でも無いよ。悪いけど万理と話せなかったから、例の書類もう1度君が探してくれる?」

 秘書は髪を振り乱したアーロンを見て怪訝な顔をしながら、分かりましたと言い退出する。


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