前世で好きだった小説の悪役として転生しましたが、バッドエンドを回避するために頑張ろうと思います。
前世に好きだった小説の世界の悪役として転生しましたが、バッドエンドを回避するために頑張ろうと思います。
6歳の時だった。
私は重大な事実を知ってしまったのだった。
知ってしまったと言うよりも思い出したの方が正しいかもしれない。
この世界は、前世に好きだった小説『永遠の愛を君に誓う』の世界だったのだ。
平凡な家庭で育った女の子〜蓮見雪乃とお金持ちの男の子〜伊集院真也との愛を描いた王道ラブストーリー。
そしてもう一つ思い出した事。
それは、私の役割は西園寺可憐。
名前で何と無く予想がつくかも知れないが、悪役だったのだ。
ただし、普通の悪役ではない。
嫌がらせは序の口で、最終は暗殺までも目論みる。
最後の最後はお家取り潰しに、刑務所行き。
これだけは絶対に回避しますわ。
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そんな決意をしたのも虚しく、私は伊集院家に向かっております。
「いらっしゃいませ、西園寺様。」
大きなお家から出て来たのは、美女。
長いウェーブがかかった茶髪に、おっとりとした垂れ目。
きっとこの人が真也様のお母様なんだろう。
「はじめまして、伊集院夫人。私は、西園寺清太郎の娘、可憐でございます。」
ここは戦場よ、可憐。
気を引き締めなくては。
「あら、よくできたお嬢様ね。さあ、お部屋で真也がまってるわ。いきましょうか。」
伊集院夫人にそう言われて、私は敵陣に足を踏み入れた。
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「お前誰だ?」
部屋に入って初めて言われたのが、それって・・・。
「はじめまして、私は西園寺可憐ですわ。以後お見知りおきを。」
多分この子が私の敵、伊集院真也ね。
私を没落への道へ誘い込む死神。
でもあいにく、私は幸せに生きたいんですのよ。
「できるだけ、私には関わらないでくださいな。私、面倒ごとは嫌いですの。」
あーあ、言っちゃった。
真也様ぽかーんってしてるし。
まぁ、言っちゃった事は仕方ない。
「そう言うことですので・・・ごきげんよう。」
私はそう言って逃げるようにその場を去った。
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そんな事がありましてから一週間弱、何でか分からないが、真也様から直々にお手紙が来た。
なになに、お前に用がある。
ふーん。
私にはありませんわ。
無視いたしましょう。
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その次の日、また手紙が届いた。
ですから、私には話などありませんの。
その次の日も、そのまた次の日にも手紙が届いた。
「何なんですの?ストーカーなんですの?」
ついに私は敵の挑発に乗ってしまったのだった。
この後私は運命には抗えないこともあることを知るのだった。
ありがとうございました