バラを背負った王子様!?
鈴くんは自分の悩みを、大好きな理沙ちゃんに、相談した。
第6話「鈴くんの初恋」
今回の話は鈴くんの物語です。
鐘くんが冒険した時から、いや、その前から鈴くんは悩んでいた。それは兄の鐘くんといると鐘くんの方が目立ち、鈴くんは毎回、引き立て役になっている事でした。2人で歩いていても病院の人達から
「よお、鐘くん、おや、鈴くんも。」
とか
「鐘くん、今日も元気だね。鈴くんも一緒か。」
という具合なのです。
そして、鈴くんは密かに恋心を抱いてる理沙ちゃんに相談しました。すると理沙ちゃんはこんな事を言ってきた。
「それだったら、鈴くんらしさを出せば良いのよ。」
と言うではありませんか。鈴くんが
「僕らしさって何?」
と聞くと、彼女は
「鈴くんは王子様みたいにバラの花が似合うから、漫画みたくバラの花を背負えば良いのよ。」
と言いました。なので、鈴くんは
「背負う程のバラなんて、僕のお小遣いじゃ買えないよ。」
と反論したら、理沙ちゃんは
「本物のバラじゃなくて、ティッシュで作ったバラを2人で作って、それを鈴くんが背負えば良いのよ。そうしたら、皆、鈴くんを見ると思うわ。」
と言い切りました。
そして、2人はティッシュなバラを作り始めました。そして出来た花を段ボールにくっ付けていき、最後に病院のスタッフに背負えるように紐を通してもらいました。
それからというもの、バラを背負って歩いていると患者さんから
「おぉ、鈴くんじゃないか!バラを付けて歩いているから、すぐに分かるよ。」
と鈴くん、鈴くんと言われるようになりました。なので、鈴くんはすっかり嬉しくなり、ますます理沙ちゃんの事が好きになりました。
そんなある日の夕食で鈴くんは鐘くんに
「ちょっとバラを付けているからって、鈴イイ気になってないか。」
と言われ鈴くんはすっかり落ち込んでしまいました。
そして、次の日、鈴くんは理沙ちゃんに
「もうバラ付けて歩くの止めるよ。」
と言いました。それを聞いた理沙ちゃんは
「何で止めちゃうの?せっかくイイ感じなのに!」
と言うので、
「だってお兄ちゃんが。」
と鈴くんが言うので、怒った理沙ちゃんは
「じゃあ!お兄ちゃんの影にずっと隠れてれば!」
と言って去ってしまいました。その後、悲しくなった鈴くんはぐずぐずと泣いていましたが、このままじゃいけないと思って、バラを背負って1人で行った事のない理沙ちゃんの家に向かって歩き出しました。
人に聞いても道に迷うばかりで、気が付くとすっかり日が暮れていました。それでも鈴くんは歩き続けました。そして、ついに理沙ちゃんちを見つけました。ピンポンを押すと理沙ちゃんが出て、そこにはぼろぼろになった鈴くんがバラを背負って、彼女に一輪のバラを差し出してる彼がいました。その姿はまるで王子様の様でした。
そして、理沙ちゃんはにっこりと笑い親に
「ちょっと、遊んでくるね。」
と言って2人は去っていきました。その後、仲良く遊んだようです。
そして、鈴くんが家に帰ると鐘くんが
「この前は悪かったよ。ごめんな。」
と謝ってきました。弟の鈴くんはその一言が嬉しくて、笑顔で返しました。
以上が鈴くんの物語です。
理沙ちゃんのアドレスにより、コンプレックス解消の為、鈴くんはバラの花を背負うようになった。