夕と夜
*** *** ***
「知ってるか? あいつ、」
「ああ、知ってる。こないだはウサギ殺したんだって?」
2人の少年は楽しそうに言葉を交わす。
その様子を眺める一人の少年。
―――ここはどこ。
「そうそう。ナイフでめった刺しだったらしいぜ」
楽しそうなその笑顔から吐き出されるのは残酷な言霊。
少年は会話に交じることなく彼らを見つめる。
ここは小さな孤児院。
「え? 違うよ。ナイフで皮はいで内臓を引きずり出したんだよ」
この会話に新たな仲間が増えた。
―――僕は誰。
「ほんとかよ!? じゃあ、きっとその内臓は刻んで魚の餌にでもしたんだ。ほら、この裏にある池の、」
「うわー。最悪だな。あいつ、」
少年たちは話が残酷になればなるほど楽しそうな声をあげて喜ぶ。
その中の一人が、ふと視線をその輪から外した。
「なあ、なにぼーっとしてんだよ。お前もこっち来いって」
少年は少年に誘いかける。
なあ、お前も来ないか? と。空想の罪を、一緒に現実の住民である彼に被せてやらないか?と。
「うん、今行く」
―――………僕は、僕だ。
声をかけられた少年はいつもの子供らしい微笑みを浮かべ、仲のもとへと駆けだした。
実際では会ったことのない彼。彼は、この孤児院の嫌われ者。そして恐れられてもいるもの。みんなは彼を嘲笑うが、本当に彼の怒りにふれようとはしない。それは怖いから。
僕はそんな彼に会ったことが無い。そして見たこともない。そう。僕にとって彼は、おとぎ話の中の住人のような、架空の存在でしかなかった。現実に彼が存在しているのかを疑ってもいた。
だって、この孤児院に、今までの話に聞くような残酷で恐ろしい子供がいるとは思えなかったから。
彼は、僕にとっては話の中だけの存在。
決してこの世界では出会うことのない存在。
それが僕の中にある彼の印象だった。
*** *** ***
小さく古びた聖堂。それはこの孤児院の所有地にあった。牧師も教主もいない、建物だけの聖堂。
そこに座するは一人の少年。入口手前の席に座っているのは、たぶん奥まで歩くのが面倒くさいからだろう。
木彫りの聖母象を見つめるその瞳は、決して神を交信しているようには見えない。ただここにある時間をやり過ごすために、何となく向けられた瞳だ。
忘れ去られた聖堂。
壁にはいくつかのひびが入り、天井の柱はネズミも歩こうとしないほど老化していた。
やがて少年は聖母を見つめる事に飽きたのか、その場から静かに立ち上がる。
聖母はほほ笑む。またおいで、と。木でできた頬をやわらかく崩して、優しげな瞳を細めて。
彼は明日も来るだろう。そしてほほ笑む聖母を見つめるのだ。
暇な時間を持て余すかのように。
「コラ。あなた、」
部屋に戻る途中声をかけられた。この声はたまに聞く、ここの大人の声だ。大人。つまり、この孤児院で子供の面倒をみる人間のことだ。
少年は何だろうかと振り返る。別に怪訝そうにするでもなく、億劫そうにするでもなく。呼びかけられたから振り返る。それだけだった。
無言で振り返った少年の目に映ったのは、やはりたまにここで見かける大人の姿だった。
やわらかい甘栗色の髪を後ろに結わえ、大きな瞳を優しそうに細めている。一瞬、少年の脳裏に見慣れた聖母の姿が浮かんで消えた。
「あなたでしょ、なんであんなことしたの?」
何の話かわからなかった。少年は眉をひそめて、目の前で視線をそろえようとかがむ女を見た。
「ほら、黙ってちゃわからないわよ」
こちらだって、何のことかわからない。返答を催促するならもう少し話の詳細を言ってくれてもいいじゃないか。
言葉の足りなすぎる女。少年は面倒くささに頭を掻いた。
「なんですか?」
やっと口を開いた少年の頭へ、女は優しく手を乗せた。
「あなたがやったって、皆言ってるのよ?」
だから何の話だよ。
「俺が何をしたんですか」
「あら?」
女は首をかしぐ。良い大人が、何て幼い動作をするのだろう。だが、少年にはその動作がとても女に合っているように思えた。何の違和感もないのだ。
「俺が、何かしましたか?」
少年はもう一度訪ねた。
女は茶色い瞳を右上へ泳がせる。それはまるで頭の中を整理しているかのよう。そして数秒後にはその瞳を少年の方に戻して何も知らない子供のように、また首をかしげた。
「もしかして、あなたじゃないの?」
「だからなにが」
「事務室の窓ガラスを割ったのよ」
「………知らない」
「あら、」
この濡れ衣に、女はやっちゃった、と言わんばかりに目を丸めた。
「ほかの子たちにね、誰がやったのかって聞いたら、皆あなたがやったっていうのよ」
「そう、ですか………」
ただの間違いだ。少なくとも今回は。
この間は部屋に泥を巻き散らかした犯人として罰を課せられた。その前は花瓶を割った犯人として罰を課せられた。そしてその前は、みみずを食堂の鍋に入れた犯人として罰を課せられた。さらに前は顔も見たこともない相手の靴を片方、物置に隠した罪。そして、池をのぞいていた子供を後ろから突き落した罪。そしてそして、皆が遠足前につるしておいたテルテル坊主を逆さにつるしなおして、雨を降らせてしまった罪。
ずっと見覚えのない罪を課せられてきたが、今回はただの人間違いで済みそうだ。なぜなら、目の前の大人は自分を疑ってはいないようだから。
めずらしいなと思った。
大人はみんな多数決に弱い。多数の子供がこいつだといい、一人の子供が自分じゃないと言っても、いつも「みんなが言っている。」と言って一人の言葉を聞こうとしないのだ。
「みんなが言ってたんじゃないの?」
少年は尋ねた。
女はそうよとうなずく。
「皆ね、黒いシャツを着たこれくらいの男の子が窓を割ったのを見たって、」
それだけの情報だ。だが、それだけが大きな情報だ。
この孤児院で、黒い服を着る子供は彼しかいないから。
皆意識しているのだ。黒い服を着ないように。彼が引き立つように。ただ一人の黒を作り、それ以外の自分を聖者のように思い込む。
彼以外で黒を着た子供は、周りにこれ見よがしにからかわれる。あいつとお揃いだ。あいつの仲間だ。
だからみんな黒を着ない。そしてひそかに期待する。早くうっかりして黒を着てしまう奴がでて来ないものかと。楽しいおもちゃができないものかと。
皆着てくるはずもない。きればどうなるか、自分でよく知っているのだから当たり前だ。
いつまでたっても黒が彼ひとりなのも当たり前だ。
女は人違いだと知ると謝って廊下を戻って行った。
少年はいつもと違う展開に頭を掻く。
「今日はついてるのかな」
罰のない珍しい日に、彼は少なからず違和感を覚えた。だからと言って特に悪いことは無いのだが。この孤児院で何かが変わった気がした。いや、たった一日の小さな出来事、何も変わるはずないのだが。
だが、だがやはり、誰かに自分の意見を信じてもらえるというのは新鮮なものがあった。
それから二日ほどたったある日。少年はまたいつもどおりに聖堂から戻り、さびれた孤児院の廊下を歩く。
「ねえ! 君!」
彼女はまたはあはあと息を切らし、彼へ声をかけた。
「何であんなことしたのよ、」
やわらかく茶色い瞳が問いかける。
「なにがです?」
また同じことの繰り返しだった。
彼女は訊いた。池に絵の具を入れたのは少年ではないのかと。
少年は答えた。そんなことしてないと。
女は人違いに気付きこうべを垂れる。済まなかった、と。
*** *** ***
星が飛んでいた。地上で、涼やかな川の上、“蛍”という星が飛んでいた。
地上の星は点灯し空で瞬く星へと信号を送った。
少年は一人、その光景を目で追っては手を動かしていた。
手に持つのはクレヨン。油絵の具、水彩絵の具、色鉛筆。絵を描く道具なら孤児院にいくらでもあったが、今日は簡単に持ち歩きできるクレヨンを持ってきていた。
なぜクレヨンか。そんなの気分だ。別に色鉛筆でもよかった。だが、用具箱の蓋をあけて一番上にあったのがクレヨンだったのだから仕方ない。そこでがさがさと他を漁るつもりもなかったのだしこれで十分だった。
少年は不揃いのクレヨンを指でたどりながら自分の望む色を探し紙に描いていく。
描くのは川のせせらぎ。星ぼしの囁き。子守唄を紡ぐ夜。
一人の空間に、絵という手段でもう一つの世界を作りそこを建設していく。
ちゃんと星の生きていける環境を作り、川の流れる事が出来るくぼみも用意してやる。
大体の作業が完了し、最後の仕上げに入ろうとした時、背を向ける木々がざわざわとざわめいた。
動物だろうか?
少年は背後に目をやる。
実はこの間、彼はここで初めて野生の熊と対面した。まさかこんな人里近い場所で出会うことになろうとは思ってもいなかったので、本当に驚いたものだった。
目が合い数秒、ことは何もなく済んだが運が良かったと心底思う。もしも熊の腹が減っていたら、もしもあの時我を忘れて叫んでいたら。自分がこうしてもう一度この場所を訪れる事はなかっただろう。
だがこうして熊の出るこの場所を再度訪れる自分は相当学習力がない。そうわかりながらも彼はそんな自分を咎めようともせずしゃあしゃあとしていた。
木々はだんだんとざわめきを大きくしていた。
少年は身を小さくかがめる。
また熊だと困るから。できるだけ物の目につきづらくしたい。そういった意味でも、今着ている黒のシャツは場に沿った役割を果たしていた。
ざわめきはまっすぐ自分の方へ向かっている。
そして今、一つの木々の波をはさんでそれ(・・)は少年の目の前にいた。
少年の額に汗がにじむ。
ここに来た事を後悔したりせず、次の行動に頭を回転させもせず、ただ今の自分の運にかける。
心音がやけにうるさい。
少年は草を踏み来る対象へと神経を集中させた。
ざざ、ざざ、と草はなる。がさがさ、がさがさ、木々は言う。
そして最後に一声、緑は言った。
「っはぁー、ついたぁ!」
それは木でも草でもなく、間違いようもない人の声。
少年は目を丸くし、一拍置いて大きく息をついた。安心の余りその場に大の字で倒れこみたくなった。
現れたばかりの人物は小さな声を吐息のように漏らした。
「・・・きれい、」
少年はそんな彼女を呆れたように見上げ座りなおす。
何て人騒がせなんだ。
内心でぼそりと呟き、握りしめていたクレヨンの存在にやっと気がつく。汗がにじんで少しべたついていた。
少年はそのクレヨンをカタリと元の箱に戻―――
「きゃぁっ!」
突然上がった声に少年の肩もびくりと上がる。
「あ、あ、あなた!いつからいたの?!」
彼女は声をあげてこちらを指さす。どうやら彼の存在にいましがた気づいたらしい。
少年はこみ上げてくるものに正直に従った。
「………っく、くくく、ははは、」
呆れたのだ。呆れすぎて笑ったのだ。
突然現れたのが彼女だったから笑ったのだ。
彼女があまりに幼く見えたから笑ったのだ。
少年は呼吸を整えながら彼女の問いに答える。
「ずっとまえからだよ、」
彼女の存在は落ち着いた。正直楽しかった。
彼女と出会い始めて川で遊び、服を濡らした。散り散りになるホタルに多少の罪悪感を抱きながらも、この川を好む彼らの気持ちを理解した。
仲間と舞う彼らを、少しうらやましく思った。
「これ、洗濯しておくからこっち着といてくれる?」
その日、まだ太陽の昇らない朝、渡されたのは最近滅多に着ることのない白のシャツだった。少年が黒い服を着るのは、絵具ですぐ汚してしまうからだ。こんな白いシャツ、きっと汚れが目立って仕方ないだろう。
こりゃあ汚さないように気をつけないとな。
少年はちらりと彼女を見上げる。
彼女は少年の黒いシャツを抱え、いたずらっ子のようにくすくす笑って言った。
「今日のことばれたら延長に怒られちゃうしね。夜に子供を連れ出すなんて、貴方はどういうつもりですか! ってね、」
彼女はこの孤児院の一番上の大人を口真似してくすりとする。
「別に、あんたが連れ出したわけじゃないでしょ?」
彼女はこの言葉にふふふと笑い、少年の頭をぽんぽんと叩いて「おやすみ」といった。
皆が目覚める朝まで、まだいくらかある。幾らかといっても5,6時間。結構まだあるわけで、その間に自分で服くらい洗える。
これは彼女なりの優しさだろうか。
少年には彼女が本当の大人に見えた。この孤児院のどの大人よりも、大人らしく人間らしいと思った。あの眼鏡の神経質そうな大人より、いつも子供に微笑みを与え、「いい事をしなさい」「いい子でいなさい」と教え続ける大人より、彼女は本当の大人に見えた。
少年はそんな彼女を見上げ頭をかいた。
部屋へと歩き出した小さな背に、彼女は「あ、」と声を投げる。
少年は顔だけで振りむいた。
「こんど、私の絵描いてよ」
少年は目を座らせて前を向くと、止めた足をすたすたと動かし直す。
彼女は楽しそうに笑いながら手を振っていた。
少年は「はい」とも「いいえ」とも言っていないというのに。
描いてもらえると信じてやまないように。
少年は先ほどまでの考えを打ち消した。
(人間らしいだけで、幼稚なのか)
その呆れた表情に、楽しそうな笑みが混ざっている事を彼は自分のことながら気づいていない。
*** *** ***
僕は歩いていた。古めかしいこの孤児院の廊下を。
興味がわいて、彼に会いに行こうと思ったからだ。
彼。
つまりは黒いTシャツの少年。
悪さをする彼。
自分の中では架空の存在の彼。
来る時、友人のサトルにどこに行けば会えるかと訪ねた。サトルはこの孤児院では顔が広い。大人たちよりここらの地理に詳しいし、僕の知っている子供の中で、唯一孤児院の裏の森に足を踏み入れたことのある子供だ。
サトルは言っていた。
「さっき、鐘楼で黒いシャツを見た気がしたけど、」
それはあいまいな答え。
サトルも彼がどこに現れるかは知らないらしい。昼間は部屋にいないし、だからと言っていつも同じ場所で遊んでいるというわけでもないし。夜にはちゃんと部屋にいるらしいが、夜院内を歩き回ることを、大人たちは許さない。
だから僕はサトルの言葉を頼りにこの孤児院の鐘楼を目指して歩いていた。
今は夕方。
鐘楼に出た時に見えたこの風景はいつものみなれた夕日とは違って格別だった。
僕は言葉を失う。
ああ、何てきれいなんだろう。
普段この場所は立ち入り禁止だ。
何しろ高いから。
子供が落ちたりしては騒ぎになってしまう。
そんな事も忘れ、僕は子供には少し高すぎる壁とも呼べる手すりによじ登り空に近づく。
「わぁ、」
きれいだ。
風が彼の黒髪をそっと吹いた。
彼は夕日の光を反射する孤児院の屋根を目でなぞった。そしてあるものを見つける。
黒いTシャツだ。屋根に引っ掛かり、たまに風で揺れている。そこに人の姿はない。シャツだけが風に踊りオレンジに浮いていた。
サトルが言っていたのはこれだろう。多分どこかから飛ばされてきたに違いない。
僕は届きそうもないそれへ手を伸ばした。
すると、幸か不幸か、風がびゅっと一つ吹く。シャツは飛ばされた。ふわりと風に身を浮かせ、風という波に乗ってこちらに勢いよく飛んでくる。
(届くかもしれない)
僕はその黒をつかみ取ろうと、大きく身を乗り出していた。
伸ばした腕に、その黒は引っかかった。
「やった、」
僕は喜びに声を上げ、乗り出した身を引こうと重心をずらす。
体を支えていた左手が、バランスを崩し大きくひねる。
背中がひやりと冷たいものと流した。
視界がぐらりと揺れて、うまくつかんだはずの黒が小さな風にさらわれた。
僕は声を上げる事も忘れ、目の前に広がる景色に呆然とした。
―――食べられる。
その時の僕は、自らに迫る危機をそう感じた。
夕日に食われる。
小さくなった景色に食われる。
下に広がる台地に食われる。
上半身が前に傾き、重心が前へ前へと向いていく。
ゆっくりと、ゆっくりと、僕の体は前へのめる。
時間が止まったように感じるものの、確かにこの体はかしいでいる。
見開かれた目が、驚きに開かれた口が、からからに乾いたときがくんと身が揺れた。
何が起きたかわからない。
息が詰まる。苦しい。
急速に動き出した時間。
僕の体は逆再生を始めたのかごとく、その身を鐘楼の壁の内側へと引き戻された。
「…っが。はっ、…はぁ、はぁ、はぁ………」
地に足のついた僕は息の詰まった喉にむせかえる。
たんっ、と自分の前に音を感じた。そして下にある僕の視線に、誰かの靴が現れた。
僕はどくどくとうるさくなり始めた心音を抑えるかのように胸に手を当て、その靴の主を見上げる。
そこには、自分と同い年くらいの少年がいた。白いシャツを着て、黒い短髪を風に揺らして、逆光に顔を隠して。
少年は自分を見下ろし口を開いた。
「あのシャツ、取りにきたのか?」
息を整えながら、僕は首を縦にふった。興奮しているせいか限度を知らず、何度も何度も。
そんな僕に、彼は何が面白かったのか小さく笑った。
「あれ、お前のじゃないよな。何で取ろうなんて思ったんだ?」
心音も落ち着いてきて、僕は口を開く。
「何となく………。取れるかなと思って」
彼は「そうか」と笑った。
「全く、………ドジだよな。洗濯物飛ばすなんて」
ああ、やっぱり洗濯物なんだ。
僕は確信した真実に、冷汗の浮いた顔を小さく笑わせた。
「君も、あれ取りにきたの?」
立ち上がり、彼と向き合う。
機嫌がいいのかどこか楽しそうな彼の表情。逆光でやはりちゃんと確認できなかった。
「いや。ここがどうなってんのか、前から気になってたんだ」
「ははは、なにそれ」
僕は笑った。白いシャツの彼に向けて。
彼は眩しそうに空を振り仰ぎ、目を細めた。
僕もそれにならって空を見る。
「きれいだね」
僕は彼に言った。
白いシャツを夕日に染められた彼は、ゆっくり小さく頷いた。
さっき、一瞬まで怖いと感じた空。だけど今は純粋にきれいだと感じる空。
それは橙色の夕焼けだった。
その帰り僕は思う。
やはり彼はいなかったのだと。
黒いシャツの彼。
架空の彼。
そして、あの夕方にあった彼に僕が再度出会うことはなかった。
お礼をしようと探したが、白いシャツを着る子はいくらでもいる。一人ひとり見て回ろうとも、誰ひとり彼だと感じる人物はいなかった。
だが彼はいるのだ。黒いシャツの少年とは違い、ちゃんと存在している。自分と言葉を交わし、短いながらも楽しい時間を共に過ごした。彼はいる。
なら、いつかまた出会えるかもしれない。
白いシャツの少年。
白いシャツでは無い姿で、きっといつか。
*** *** ***
俺の感じたあの日の夜。
僕が感じたあの日の夕方。
僕等は互いに気付かない。
はい。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
気づいてる方は気付いてるかもしれませんが、この話は絵の男夕夜の名前を意識してます。
だから何だって感じです。
最近本当に一人暮らしに慣れてきました。
そして一人でいる時ずっとパソコンをいじってる自分を感じて思います。
このダメ人間!!!!!(爆)
あぁ、本当に頑張ろう。
人生って短いですものね。
やりたいことがやりきれないのは仕方がないものの、せめてやれそうな事はやっときたい。
ってことで、せめてこの話はちゃんと書ききろう!完結させよう!
では皆さん、ごきげんよう!ノシ