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プロローグ

この作品はフィクションです。

ゴォォォォォッ

私の身の回りを埋め尽くす、たくさんの炎。その炎が、周りにある家具などを燃え去ってしまう。このままずっといれば焼け死んでしまうだろう。そのため、早々に避難しなくてはいけない。

しかし、“それ”を私はできなかった。なぜならば、私は手錠をはめられてテーブルの柱にくくりつけられていたからである。

「誰か…誰か、助けてぇっ!!!」

腕を拘束された私は、ただひたすらに叫ぶ。

何故、こんな状況になっていたのかなど考える余裕もない。ありったけの声で叫ぶが、炎の音で声はかき消され、外には聞こえていないようだった。

「一体…何がどうなっているの…!!?」

燃え盛る炎は、ついに拘束されている私がいるリビングにまで伸びる。

父と一緒に撮った写真や、高校時代の友達と撮った写真等…思い出を飾った写真たてが次々に炎に飲まれていく。自分が過ごしてきた日々を全て消し去られてしまうような勢いで――――――――

そして、炎に焼かれて死ぬかもしれないという恐怖に対し、私は今にも発狂しそうであった。


「…苦しいか?」

「…!!?」

今にも理性のねじが外れ、発狂に追い込まれそうな時であった。

とても低く、ハスキーな声がリビングに響く。「どれだけ大きな声を出しているのか」――――――そう考える余裕すらない私。しかし、奇妙なのは炎の燃え盛る音がとても大きく聴こえるのに、それを遮るかのようにしてその男性ひとの声が響くのであった。

「誰…?」

その後、革靴で地面を踏む音を立てながら、“彼”は現れる。

私の目の前には、黒と紫の入り混じった髪を持ち、異様な雰囲気をまとった男性だった。どこかで見たことありそうな顔かと思いきや、誰なのかを思い出せなかった。そして、どういうわけか彼の肉体に炎が乗りうつる気配がない。

「…お前が発する、生への執念。それが、俺を呼び寄せた…」

 何が言いたいの…?

私は、ただ彼の口にする台詞ことばに耳を傾ける事しかできなかった。

近づいてくる男。私を見下ろすその瞳は、血のように真っ赤である。その男は手錠で拘束された私と、周囲の炎を見渡してから口を開く。

「原因がどうであろうと、このままでは死ぬ運命…。だが、俺にかかればお前の命を拾う事など、訳ない。さて…どうする?」

「私は…」

彼の発する声は、ただならぬ悪意を感じる。

今にしてみれば、“これ”は本当の意味で“悪魔の囁き”だ。しかし、死の恐怖に怯え、この状態に至るまで何が起こったかを私は思い返す。

 そうだ…。私は、何も知らない。何も知らなかったんだ…。それならば…!

自分に襲い掛かろうとする炎を見据えながら、私は心に決める。自分の目の前にいる人が何者であろうとも、自分の目的を果たすためには手段を選ばない事を。

「貴方が何者だか知らないけど…」

「けど…?」

私の台詞を聴くこの男は、私を試すような表情で突っ立っている。

「私は、何が何でも生きて、やり遂げなければならない目的がある。そのためには…どんな手段であろうと、私は利用する!!それが、悪魔に魂を売り渡す事になろうとも…!!」

「…承知した」

私は真っ直ぐな瞳で、目の前にいる紅い瞳の男を睨む。

また、この時に私は無意識の内に“悪魔”と口にしていた。実際、この男性は本当に悪魔であるが、何故一見しただけでそんな区別ができたのか―――――――この時は全く理解できなかったのである。


 こうして私は、この得体のしれぬ悪魔の手によって火事から助け出される。どうして自分は、死ぬ運命を与えられたのか――――――また、それ以外にもいろいろと“あの人”に訊きたいと思い、死の運命に抗う決意をしたのであった。

当時19歳だった私。そして、この1年後に運命の歯車が動き出す――――――――――――


初めての方もいると思います。

作者の皆麻です。

この度は「黄昏を生む器は何を奏でる」をご覧いただき、ありがとうございます。


久々のファンタジー作品になりますが、舞台は私たちが生活する現代。

ライトノベルのジャンルとしては、ローファンタジーといったかんじです。

現代物は前から書きたくてネタはこれ以外にもあったのですが…そっちの方は考えた時がかなり昔だったので、こっち(以後は”黄昏奏”と省略させて戴きます)にしました。

また、登場人物を歌手にしたのは、韓流ドラマ「美男イケメンですね」の影響が少なからずありそう。笑


今回、プロローグでは主人公の神奈視点で描きましたが、今後は他の登場人物視点でも物語が進むように書く事となっています。ただし、あまりたくさんの視点だとゴチャゴチャになりやすいため、主人公と今回出てきた「紅い瞳を持つ男」くらいにしとこうかなとも考えています。

では、更新頻度がどれくらいになるかわかりませんが、この黄昏奏をよろしくお願い致します★


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