一生忘れないからなっ!
感動の瞬間。
あの時、みんなひとつになっていた。
「最高の試合だった!
試合には負けたが、レギュラーも控えもサポートも
みんな一丸となって頑張った!
俺はみんなを誇らしく思う。
ここにいるみんなのことは一生忘れない」
野球部最後の試合。
監督が涙ながらに語った。
みんな貰い泣きしていた。
補欠の私も泣いた。
私は3年間一度もレギュラーにはなれなかった。
それでも腐らず、
自分なりに一生懸命に選手のサポートをしてきた。
それをちゃんと監督は見ていてくれたことが嬉しかった。
私が帰りの専用バスに乗り込もうとした時だった。
「コレ、放送室に届けといてくれるかな」
と、監督から紙袋を渡された。
おそらく菓子折りだと思われる。
見たことのある和菓子屋のロゴマークが袋に印刷されていた。
放送室から帰ってきた時、
バスはすでに出発していた。
一生忘れないからなっ!
「分」で忘れやがりましたね。監督。