ep.9 選択という名の偽装された自由
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マンションの前に引越し業者のトラック。
数路は自身の身元がバレているだろうと推測し現在の賃貸マンションを引き払うことを決めた。
引越し業者が荷物を積み込み終わる。
「それでは、よろしくお願いします!」
挨拶したのち引越し業者のトラックが走り去っていく。
荷物は千葉県に実家があり、田舎なので土地が広く物置代わりの小屋が庭にある為、母親に伝えて引越し業者が到着したら小屋を案内してそこに荷物を運んでもらうようにと伝えた。
数路は今まで品川区のマンションを賃貸していた。しかし人間牧場からの追っては必ず来る.......
危険は避けなければ。
スキル"得体の知れない違和感"を感じた初日に会社内で黒い霧が発生したのを思い出した。
幸いにも深層心理が表層心理との境界線がなくなり発動したスキル"得体の知れない違和感"により無意識に黒い霧を消すことができた。
しかしその後、帰宅途中に黒い霧がまた現れ朝通勤時に駅で声をかけてきた"ハンター"大池が再び現れ斬撃で数路は死にかけたがスキル"得体の知れない違和感"によって黒い霧を体に吸収し大池の斬撃により全身を切り刻まれたが"ハンター"大池も黒い霧と一緒に消した。
同じく2番目の刺客"調教師"出口も黒い霧を消すと同時に消えた。
確実に数路は自分が人間牧場側のターゲットになっていると認識。近々、また"黒い霧"と刺客は必ずやってくる。
数路はいろいろ思考する。
"まず"ハンター"の大池は朝の通勤時に駅で会っている。その時は下見しにきたのか?"
"数路の何かに察知して現れたのか?それはわからない。"
"調教師"出口は国立図書館から見張り役である"牧羊犬"からの黒い霧を微量に僕が無意識に消している情報を得て、喫茶店に待ち伏せしその後つけてきた。"
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しかし牧野羊子の死の真相はわからないままだ。
"数路は牧野羊子の実家に行こう"
数路は千葉県の牧野羊子の実家に向かうことにした。彼女の肉親に死の真相は聞き辛いが聞かないと真相が掴めない。
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牧野洋子の実家入り口に着きインターホンを押す数路。
"ガチャ...."
玄関の扉が開き牧野洋子の母親が出てきた。
牧野の母「どちら様ですか?」
数路「僕は羊子さんの高校の時の同級生で牛田数路と申します。先日、羊子さんがお亡くなりになったと聞き、お線香あげたくきました。」
牧野の母「そうでしたか。羊子も喜ぶと思います。」
数路は牧野の母に案内され自宅にあがらせてもらう。廊下を通りリビングに入ると仏壇があり牧野羊子の遺影が飾られた。
数路は仏壇前に正座して一礼して手を合わせ線香に火をつけさした。香典の封筒を仏壇に備え、手を合わせ再び一礼。
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牧野の母がお茶を用意してくれリビングのソファに座る。
牧野の母「わざわざありがとうございます。急になくなったもので.....」
哀しそうな牧野の母。
聞きづらいが死亡した原因を聞かなければならない。人間牧場が絡んでいる可能性があるからだ。確か"調教師"出口が牧野羊子は国立図書館にて黒塗り機密文書を読んでいたと言っていた。不都合な事実を知ってしまった可能性がある。
数路「すいません.... 聞いたら失礼だと思いますが、羊子さんはなぜ亡くなられたのですか?」
牧野の母「羊子は自殺してしまったのです」
涙を浮かべる牧野の母。
数路「そうなんですか..... 失礼な質問をしてすいませんでした」
牧野の母「大丈夫ですよ。ただ羊子は自殺なんかするような子ではないんです。何か狐に摘まれたような感じで....」
数路「先週、久しぶりに図書館で羊子さんと再会したばかりだったので僕も驚いて。その時の羊子さんは高校の時と変わらず明るく元気でした」
牧野の母「図書館の勤務が終わり通勤途中の公園で首をつった状態で発見され、警察から電話がかかってきました。外傷はなかったので警察は自殺と判断したようなのですが......」
"牧野羊子が人間牧場の見張り役である"牧羊犬"に監視されていたことなど牧野の母に伝えてはあげたいが理解されないだろう"
数路は人間牧場のことは伝えず牧野羊子の実家を後にした。
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数路は"調教師"の出口が語っていた暗殺者である"ハンター"が知り過ぎた"家畜"(民衆)を殺害しその後、"問屋"という存在が警察と連携して一般的な事件に仕立てることを言っていたの思い出す。
牧野羊子もそれに巻き込まれてしまった可能性の確率はかなり高い。
数路は怒りしかない........
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数路は思考を脳内に張り巡らした。
国は偽装した人間牧場。民衆は平然と生きる"家畜"にさせられ、揺り籠から洗脳され、洗脳されたまま墓場までの人生。民衆の大多数は上層を疑うことなど皆無。人生の中で自由に生きているように錯覚させられている。
選択をさせられているとは民衆は気づくことはない。
確かに本当の家畜である牛や豚や鶏や羊やヤギは家畜小屋に入れられ時より放牧させられ餌を与えられ何不自由なく生きている。しかし乳や毛をむしり取られ、寿命間近なら家畜たちは食糧にさせられ屠殺されてしまう。
我々民衆も同じ状態と認識する数路。
乳や毛を毟り取られることは民衆にとっては税金や労働力、屠殺は人為的な食害、薬害、災害、そして戦争。家畜が餌を与えられるのも民衆も同じで給食や学食や社内食堂。街を出歩いてもコンビニ、スーパー、巨大フードチェーン店ばかり。飲み物や食べる物が皆同じに方向に向けさせられていく。
しかし大多数の民衆はそうしたことを疑問を抱くことはない。
ブランド品と呼ばれているものそうだ。民衆が皆同じ企業ロゴマークが入った自動車を乗り、バイクを乗り、自転車を乗り、ウェアを着て、シューズや靴を履き.......
音楽もそうだ。メディアで巷で流行っていると先に刷り込めば民衆は容易くそこに飛びつく。
政治政党も国も国際機関も全て辿れば株主や通貨発行元は人間牧場の"牧場主"に行き着く。
"家畜"(民衆)は人間牧場の中で選択をさせられちいるだけで自由はそこにはないだろう。そんなカラクリさえ調べようともできない大多数は"家畜"にされてしまっている。
数路は哀しげに夕暮れ時の空を見上げた。
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