ep.7 新たな刺客
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喫茶店で会計を済ませて外を出る数路。
図書館の周りに見張り役が監視しているとすれば今現在も数路を監視しているだろう。喫茶店内で視線を感じたが気のせいだったのか否か。
周囲を隈なく見渡す数路。先程立ち寄った喫茶店から若い女性店員が出てくる。アルバイトが終わったという感じに見える。こちらを見るという感じでもなく気にしなくとも大丈夫だろう。
数路は裏路地も見廻ってみようと歩き始めた。裏路地へ曲がる。人通りは少ない。ここなら見張り役が監視していても特定しやすい。携帯電話をいじるフリをしながら暫く立つことにした。たまに周りに目を配る。
その時、先程の喫茶店の若い女性店員がこちらにの路地に入ってきた。女性店員は別に怪しい感じはしない。女性店員と目が合った。一応、礼儀としてお辞儀をする。女性店員もお辞儀をしてきた。
女性店員「先程はご来店ありがとうございました!」
数路「こちらこそ、ごちそうさまでした」
その時だった......。周囲に黒い霧が発生。だんだん濃度はあがり暗闇に包まれていく。数路は覚悟を決めた。
"やるしかない"
暗闇の先から姿が近づく。
"トコトコトコ......"
監視役は先ほどの若い女性店員。目の前に立ち止まり数路に喋りかけてきた。
「わたくしは李世界お姉様、出口直子と申します。初めましてではありませんしね。お見知りおきを....」
身長は1m58cmぐらい。髪は肩ぐらい。細身。メガネをかけている。30代くらいか。
"大池徴兵に比べるとまともな奴に感じてしまう。"
数路「僕は牛田数路。あんたも大池徴兵の仲間かっ?」
出口「はいっ仲間と言えば仲間。仲間でないと言えば仲間ではありません。人間牧場管理下のお仕事仲間と言えば仲間ですが部署の違うただの従業員同士。彼とは身分が違いまして、わたくしは上級血統にございます。」
数路「上級血統?何なんだそれ?」
出口「大池徴兵さんは下級血統、わたくしより下級ということです。」
数路「よくわからないが上級と下級の違いはなんだ?」
出口「上級血統とは牧場主様の血縁ということでございます。下級血統とは牧場主様と血縁ではない雇われの者となります。」
数路「あんたは"牧師"ということか?」
出口「残念ながらわたくしは上級血統でございますがお役目的には"調教師"となります。」
数路「よくわからねえな。じゃあ大池も"調教師"なんだな?」
出口「大池徴兵さんは"調教師"ではなく"ハンター"でございます。」
数路「"ハンター"!?なんだそりゃ?」
出口「"ハンター"とは逃げた家畜たちをみつけ殺傷処分がお役目なのです。殺傷処分が行われたその後、死体は"問屋"に卸されます。黒い霧を消すことができるスキルを持つ"あなた'は、はすぐ危険分子と"ハンター"に認定されまた屠殺されてしまいますよ。」
数路は思考する。
"出口は大池より上の立場ということか"
数路「"調教師"である出口さんは"ハンター"の大池が僕を取り逃したからやってきたのか?」
出口「いいえ、違います。あなたが"ハンター"に狙われたのは関係ありません。あの図書館であなたが、必要以上に過去の公文書を読みあさっていたことがまずひとつ。更には図書館内には黒い霧の発生装置が設置されていまして、眼には見えない微量な黒い霧が図書館内には常時、放出されています。あなたの体へ微量な黒い霧が吸い込まれていくのが監視用サーモグラフィーモニターにより確認されました。牧羊犬(見張り役)からその旨の情報を受けて"厳しい調教をする場所"へ連れていく為にあなたをつけてきたんですよ。"ハンター"は家畜を狩ることばかりが優先ですから逃げて見つかった家畜は危険分子でなくとも殆どが殺傷処分されています。今もどこかで大池さん含めた様々な場所に配置されたハンターが家畜を殺傷処分しているでしょうね」
数路は思考する。
"こいつは僕を殺しに来たわけではないのだろう。しかし喋りは丁寧、好印象。しかし言っている内容は冷酷無比にしか感じない。"ハンター"は大池の他にも潜伏しているということ。見張り役というのが"牧羊犬"ということか。そしてこの出口直子というのが民衆(家畜)を洗脳マインドコントロールする調教師。しかし"ハンター"である大池と"調教師"は連携はしていない。しかし本当に民衆にとってはそれを気づけないのだから残酷な世の中だ。そういえば出口は僕を"手厳しい調教する場所"に連れていくと言っていた。拉致をしにきたってところか。更に情報を引き出す為、話を長引かせつつ質問を終えてからスキル"得体の知れない違和感"で黒い霧を体内に吸い込み脱出しよう。牧野羊子は何かを知った為に人間牧場側に消された可能性が高い。なぜなら國立図書館だし監視下だしな。"監視用サーモグラフィーモニター"まで設置されている。これは街中にあると想定していいだろう。"
出口に再び質問をする。
数路「"ハンター"が殺傷処分後に、遺体を引き渡す"問屋"とは何なんだ?」
出口「"問屋"でございますね。"問屋"は"ハンター"から家畜の遺体を回収後、別事件のように見立てる役目の方々です。自殺に見せかけたり、事件や事故に巻き込まれたように見立てたり様々です。警視庁や反社団体からも容認黙認協力を頂いております。」
数路は怒りが込み上げてきた。
数路「なんとなくわかっていたことだが、ゾッとする。」
出口「物分かりが早くて助かります。」
数路「て、ことは国立図書館に勤めていた牧野羊子の死も関係あるのか?」
出口「牧野さんもあなたのように必要以上に公文書を読み漁っていましたからね。牧野さんも"手厳しい調教"送りが決定していた矢先にお亡くなりになられたました。彼女は黒塗りされた機密文書まで手をつけていましたからね。"ハンター"にも狙われた可能性もあるでしょうね」
数路「あんたらには"ハンター"の情報は入ってこないのか?」
出口「わたくしたちはあくまで調教師。家畜は殺したりしません。逆に殺傷処分反対の穏健派ですから。情報は全ての部署とは全てが共有されている訳ではございません。"ハンター"は"牧師"からの依頼で動いています。報告は遺体を"問屋"に引き渡したと同時にを"問屋"がその旨を"牧師"に報告する手順となっております。わたくしたち"調教師"は"牧羊犬"からの情報を受けた"家畜"たちに手厳しい調教をしたのちに"牧師"へ報告をするのがお役目です。
"牧師"が"牧場主様"へどう報告するかはわたくしたちは知りません。それが"牧場主様"が構築した人間牧場システムなのです。」
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