魔王の住む場所は気違い
ちょっとまって、これは止めねばなるまいのでは?ミズホくんの命の危険がある。
「あ、えと、ん〜と。きみ?」
止めようと思ったけどそもそも名前を知らなかったぁ。きみは流石に失礼だったか
「はい!!どういたしましたか?こいつがどんなことをやらかしたかによって罪の重さが変わるのですが」
「え、``」
「いや、え〜と、ミズホくんは何もいていなくてね?ただそのぉ」
やはりとんでもない勘違いをされていたようなので、美青年に記憶喪失だという真実のような嘘のようなことを話した。
「なるほど、記憶喪失、、ですか。」
「うん。ごめんねぇ〜?だから君の名前を、、教えてくれない?」
「………はい。ニコッ」
とっても間があったけど、素直に受け入れてくれた。というか笑顔の破壊力が凄まじい、その笑顔で沢山の人が犠牲になるであろうに。
「では、あらためましておれの名前はルイでございます」
「ヒロ様の従者として仕えさせていただいております。ヒロ様には呼び捨てでルイと呼ばれておりました」
深々とお辞儀をしてそう言い放つルイ。
「い、一応ミズホくんにも聞いたんだけど、ヒロ様とか魔王様とかって、、」
「本当に全く覚えていないんですね」
「あ、…ごめん…」
「いえ…、」
明らかに悲しそうな顔してるよね!?辞めてもらえますか!?ミズホくんのときもそうだったけど、罪悪感ものすんごいから、罪悪感で押しつぶされるっていう意味がわかるぐらいに。
「ヒロ様は、この世を統べるもの」
「この魔界の、いえ、世界の頂点、神と同等なるひとでございます。」
うん。やっぱミズホくんの記憶が勝手に改造されているだけかと思ったけどどうやら違うみたいだ。
転生果たしても転生先がなぁ
というかおれが魔王???神と同等???ほへぇ(?) 受験生の青春0様ですよ??モブ様ですよ?人から崇められたことも奉れられてこともない人間が神と同等??なんか天罰あたりそう
だけど…
「…キラキラッ」
あんな目を見せられたら、しかも2人に!嘘だなんて言えないし思えないのでは、、
「、、 。 ヒロ様 ?」
ミズホくんが心配そうに声をかけてきた。 異世界、、こんな髪色の人は現実世界にはいるはずがない。
染めていたら別だが、
「ミズホくんって髪の毛染めてる?」
「染め、、?」
染めるという言葉を知らない時点でこれは染めているという選択肢はなくなった。地毛であろう、地球に水色の地毛の人が何処かにいたであろうか?そうしたら直様ニュースになっていそうだが、そのようなニュースは見たことがない。
これは、確定で異世界転生だろう。もうこれで言い逃れはできなくなった。確定でこの世界は、少なくとも地球ではない。そう思わず得ない状況になってしまったようだ。
グゥゥゥゥ
そんな事を考えている中で、またお腹の音が呑気に鳴り響いた。そして、その音を鳴らしたのは紛れもないおれなのだ。
正直に言おう。物凄く恥ずかしい、向こうからしたら、魔王とよく関わっていたから大丈夫なのかもしれないが、さっき始めて会った初対面の人の前でお腹を鳴らすということは、物凄く恥ずべきことだと思う。
「お腹が空いてしまいましたか?それでは、お着替えをしてから、広間に向かいましょうか」
ルイは、微笑ましいものを見るように微笑しながら、そういった。、、この家 広間なんてあるのか。やはり、異世界というか、魔王が住んでいる場所は気違いなようだ。