あたらしい服( ˶'ᵕ'˶)︎
廃墟には沢山の服があった。高そうなスーツも上下あれば、制服みたいなのもある。変わった物では喪服(着たことないからよく分かんない)とか怪獣の着ぐるみとかもあった
「へーこんな感じだったんだ」
で、今僕はと言えば大きな鏡で改めて自分の
格好をチェックしていた。Tシャツには大きく〖いのち!〗と書かれている。下はジーパンだかデニムだか分かんないけどそれっぽい
茶色系のズボン、瞳にはふよふよと♡が浮かんでいる。やっぱり瞳にハートってかわいい
でも他の人もこうなっちゃうんだろうか
「本当にいいのか?勝手に持っていって」
「良くないとして誰が罪に問うのさ。運営は
体育教師一人、プレイヤーは僕らだけ、不健全だとクレーム入れる母親も居ないし」
「だからと言ってな……」
腕を組んでまだ迷っている竜也を
他所に僕は色んな場所から服を集めた。下着にズボンにTシャツに
「……ちょっと待てよ、お前なんで下着まで
集めてんだ?」
「え?着るから」
「それは家に帰ってからの話だよな?」
「いんや、ここで着るよん」
「はぁ??」
僕は上に着ている服を全て脱いで、傍にあったダンボールに置いた。肌だけになって見るとお腹もちょっと出てるしほんとにちんちくりんな身体してるなぁ
「もうさぁ……汗かいちゃって。気持ち悪いんだよ。早く着替えたいの」
「だからと言ってここで脱ぐなよ。せめて
更衣室でな」
「更衣室?」
肌着一枚着た僕は更衣室(?)の方に目をやった。でもそこにはダンボールが積み重なった四角い箱があるだけだ
「あれが更衣室と言える?」
「まあそうだけど」
「ていうか」
「竜也も着替えちゃおうよ〜ほらほら」
「や、やめ……」
肌着一枚のまま、竜也に近づいた僕は上半身の服を無理やり脱がせ、半裸にした。同じようにそこにはちんちくりんな身体を晒けだしたザネムが居た
「はだかんぼだ〜きゃはは」
「お前なぁ……」
ザネムは呆れながらも近くの棚にあったパッケージされている下着を一着手に取った
「分かったから。とりあえずあっち向いてろ
着替え見られるのは恋人と親ぐらいで勘弁」
「はいはい〜」
……お互いにしばらく着替え中
「わふっ……!」
「ん、どした?」
「顔に何かが当たって……うわこれ女物の下着じゃねぇか!!」
「あ、それバックに仕舞っといて」
「やっぱり投げたのお前じゃないか!」
「ごめんって。いちいちそこまで持ってくね
大変だからさ〜」
そして数十分後
「じゃ〜ん!どうよ」
着替え終わった僕は手を広げて、ザネムに
その姿を見せつけた。下に履いてたズボンは
そのままだけど上は紺の襟付きシャツにチェックの長袖を羽織ってみた。対して竜也は
「白いワイシャツにチェックの……ズボン?」
「何だよ。変だってのか?」
「違うよ……何かあれだね」
「学校の制服みたいだなって」
「まあ無難なの選んだからな。にしても二人してジャングルを冒険するとは思えない格好になっちまったな」
「ああ、それなら大丈夫。ちょっと待ってね」
「何だ?」
僕はてくてくと店内を移動し、幾つかのダンボールを運んだ
「冒険者っぽい服をね、ダンボールに詰めておいたの。気分が変わったら着ようかなと思ってね」
「んなこったろうと思った」
運んだダンボールは六箱、コスプレみたいなのが入ってる箱と下着(男用だよ)しか入ってない箱とよく分かんないけど高そうな服が
入ってる箱とその他の服が入った箱が三箱
「……これ全部俺が持って帰るんかよ!」
「だって無限に入るし」
「それが問題じゃ無くてな……はぁ」
ザネムのリュックに服をダンボールごと
僕は突っ込んでいく。今更だけどこのリュック仕組みどうなってんだろ
「ダンボールごと入れたらいちいちダンボールで取り出されちまうんじゃねぇか?」
「別にいいじゃん。使うかどうか分かんないし」
まっさらな服は肌にぴったりくっついて気持ちよかった。我ながらいい服選んだなっとちょっとだけ嬉しくなった