これはお仕事ですから
季節は冬。
そこかしこで未だ魔王軍襲撃の爪痕が残る。
ほぼ瓦礫と化した町も多い。
そんな中、各地の神殿経由でラヴィと共に炊き出しをして回る日々。
木の根のように見える豚汁内の牛蒡であったが、空腹の平民は何も気にせずに食べた。
ありがたいと言って美味しく食べた。
午前中は普通に公爵夫人として炊き出しに付き添ってた私だったが、とある理由があって、午後から男装して出かける事にした。
破壊を免れた神殿の一室を借り、傭兵シュバルツに変装した後、こっそりと窓から出た。
* *
──話は少し遡る。
各地を巡る炊き出しから戻った前日の夕刻、公爵邸内にて。
メアリーが何かの包みを抱えて私の部屋に来た。
「奥様、アギレイから注文の品が納品されております」
私はテーブルの上で包みを開くべく、まずリボンを解き、外装の布を広げた。
中にあったのは、以前発注していたもの。
「出来ていたのね!
アラクネーの糸で作った伸縮する素材、そして華麗なレース付きのガーターストッキング!!」
早速自分で試着してみましょう!!
全身の映る鏡の前でロングスカートをたくし上げて確認してみる。
流石ディアーナは極上の美女だから似合う! セクシー衣装が!!
だけど、これを世間に売り出すには、着画モデルがいた方が良いわよねえ。
絵描きに描かせる?
それとも、カメラで顔は隠して下半身だけ見せて売り込む?
しかし、それは逆にエッチでは?
いっそ堂々と下着ファッションショーをした方が……。
花街で下着モデルしてくれる人を探すかなあ?
顔は仮面つけてても良いですって言えば、イケるのでは?
見るのは基本的に高級な下着を買う女性だし。
どこかの衣装店かサロンを借りてプチファッションショーをする?
そんな考えを抱いて、後日、私は男装し、花街に向かう事にしたのだ。
これは事業の為であるから、仕方ないのだ。
花街に到着した時には陽が落ちた。
冬は暗くなるのが早い。
私はオッパブというか、オッパラに向かった。
本番まではしたくないけど稼ぎたいって女性があそこにはいるはずだ。
オッパラの店の前でいつかの客引きの男が箒を持って掃除をしていた。
「あ! 旦那! お久しぶりです!!」
「おう、久しぶり! この辺はあまり魔物の被害が無かったようだな」
「ええ、全く神の御加護でもあったのか、不思議にこの店、無傷なんですよ。
まだ準備中ですが、旦那は特別ですんで、店内のお席にご案内します」
私は準備中のオッパラ店内に入った。
客引き男は私の為の飲み物を用意して、やおら相談に乗って欲しいと切り出した。
「そう言えば店で新しいイベントを考えているんだけど、旦那、何かいい案はないですかね?」
客を飽きさせないよう、何か新鮮な事をしたいのかな?
「ん〜〜、そうだなぁ、あ、野球拳……いや、ジャンケンをして負けた方が服を一枚ずつ脱いでいくってのはどうかな?」
「ま、負けた方が、一枚ずつ服を脱いでいく!?」
「そう」
「やはり、旦那はすけべに関して天才だな!」
「いや、最初に考えだしたのは俺じゃない。遠い異国の地では、もうやってる」
「凄い国があったもんだな」
そうだね。でもそもそも誰が始めたんだろう。私も知らない。
「ところで、こちらも相談があるんだが……」
「ん? なになに? 何でも言ってみてください」




