第八話 体育祭本番の後半戦
昼食を食べ終わり、午後のプログラムが始まった。
午後の一番初めは応援団による応援合戦となっていた。
各団の応援団は気合の入った演舞でとても盛り上がった。
次のプログラムは二年生の団体演技だった。
組体操や一糸乱れぬ行進など一つ上の先輩の動きはとてもかっこよく感じだ。
その中にはいつもおちゃらけている部活の先輩もいた。いつになく真剣で先輩を始めてかっこいいと思える姿だった。
次に三年男子のエッサッサが行われた。
全員が上裸になり、運動場に全力疾走してきれいに整列した。
その体は高校での部活で鍛えられ膨らむ胸筋、割れる腹筋、背中に広がる背筋、腕や足も筋肉の筋が遠目からでもよく分かった。
演技が始まった。
動きにブレがなく気合の入った掛け声で圧がかかるようだった。
心の底からかっこいいと思える素晴らしい演技だった。
(二年後、自分もあれくらいできるようになろう)
と、心の中で思っていた。
エッサッサが終わり三年生女子のソーラン節が始まった。
さっきの男子とは全く違い華やかさがあった。
しなやかにキレを持った動きで踊っていた。
周りの女子たちは二年後自分たちもあれを踊るんだなと楽しみにしている様子だった。
そして全学年グラウンドに学年ごとに円になってフォークダンスをした。
それらが終わって最後の種目である団対抗代表リレーを待ってゲートに俺、星野、白沢の三人はいた。
これに勝つことが出来れば俺たちの団の優勝は確実だ。
四つの団があり各クラス四人の代表を出して各団二つのチームを作る。
星野と白沢は別のチームになっていた。
一年生から始めるため、俺は三番目になっていた。
「よーい、ドン」
と、音が鳴り響いて代表リレーがスタートした
スタートからどこも拮抗した走りだった。
第二走者にバトンが渡ったところで青団が頭一つ抜け出した。
そして俺にバトンが渡る時俺のチームは順位が六位だった。
バトンを受け取り走り出そうとした時、前で一人倒れた。
白沢だった。
バトンをがこちらまで遠くまで飛んできた。
しかし俺は他のチームのバトンを触れば失格となってしまう。
俺はそれに気づかないふりをして足元のにある石か何かを蹴り飛ばして走り出した。
俺は一気に二人を抜き返して次の人にバトンを渡した。
結果は俺のチームは二位で終わった。
もう一つのチームは四位だった。
そして、最終結果はギリギリで一位を取ることが出来た。
最後のリレーでどちらかの順位が一つ下だったら負けていた。
「いやあ、初めての体育祭優勝できてよかったな」
「そうだな、今回は最後でハプニングがあったけどな」
片づけも終わりそれぞれ学校から帰り始め俺たちも帰ろうといていたところに白沢が来て
「水無月君ありがとう」
と、感謝を言ってきた。
「なんのことだ。俺なんかしたっけ」
「またそう言う。最後のリレーの時、あなたが気づかないふりいてバトンをこっちに蹴ってくれたから勝てたんだよ」
「疑惑の判定だった気がするけどな」
「とにかくありがとう。今度なんかお礼くらいさせてもらうから」
そう言って白沢は帰っていった。その姿は嬉しそうだった。
二人残った教室で
「いやあほんと失格にならなくてよかったよ。最後までだいぶんびくびくしてた」
「まあ失格になってもおかしくなかったからな」
話していると鈴谷が教室に来たので俺も帰ることにした。
帰り道では鈴谷に茶化されながら帰ることとなっていた。