第四話 部活の体験
体育館に入り上級生との対面式が始まった。
最初に生徒会の人たちの自己紹介があり、学校のイベントや部活動なんかの説明を生徒会長が説明してくれた。
それが終わると上級生が体育館から出ていき各部活の部長がステージの上に並び、それぞれ部活の活動、部員の人数、部活の時間などを説明してくれた。
「弓道部は、三年生が五人、二年生が八人で活動しています。練習時間は平日は約二時間、休日は三時間程度の練習をしています。全国にも届いた年もありましたが部員も先生も優しく楽しい部活です。弓道部への入部お待ちしています」
弓道部の部長が後はほとんど聞き流す形で興味の引かれる部活や同好会はなかった。
部活動紹介が終わり、教室に戻りクラスの自己紹介が始まった。
俺は名簿的に最後の方かなと安心していたらまさかのルーレットで順番を決めることになった。
周りは入学初期特有の静かで緊張をまとう空気になっていてここでの一番はしゃべりにくすぎて当たったやつが哀れで仕方ないと心の中で思っていた。
ルーレットの結果はまさかの白沢が当たった。
白沢の方を見るとあまり気にしてない様子に見えたがよくよく手を見てみると震えているのがわかった。
白沢が強い緊張をもって机を立って前に動こうとしたタイミングで
「ハックション」
と、一回大きなくしゃみが教室に響き渡り教室中の人がくしゃみの主を見た。
一瞬の静寂が挟まりそれは笑いへと変わった。
そして、何事もなかったかのようにみんな前を向いて自己紹介が始まった。
自己紹介が終わった後の休み時間俺の所に白沢が来た。
「あのくしゃみってわざと」
「いや、たまたまあのタイミングで出てしまっただけだぞ」
白沢の質問に俺がそう答えると白沢は
「そう」
と、一言言って立ち去った。
立ち去ろうとした時一言
「ありがとう」
と、言い残し立ち去った。
下校の時間となり俺は少し離れた弓道場に向かっていた。
隣に硬式野球部のグランドがあるせいで野球着を着た人たちが走っている姿とすれ違った。
弓道場について弓道場を覗くと
体育館で弓道部の紹介をしていた部長が弓の用意をしていた。
「すみません、弓道部の見学に来たんですけど」
と、俺が言うと
「えーと、道具は向こうの部室に置くからついてきて」
と、その人についていった。
道具を置いて弓道場に入り待っていると部長が弓を一つ、射法八節と書かれた紙を持ってきて弓の重さの違いや射法の形を教えてくれた。
説明を受けていると続々と先輩がやってきた。
先輩のほとんどが高校で弓道を始めた人ばかりでそれは体つきを見ればよく分かった。
体格のいい先輩や足の筋肉がしっかりしている先輩など明らかに別の部活の方が向いているだろという先輩が多かった。
その後、一人の先輩がついて引くときの作法やルールを教えてもらったり弓を触らせてもらったりした。
弓は一番軽い七キロの物を引かせてもらった。
一番軽い七キロの物でも引くときはしっかりと力を入れなければ引けなかった。
弓の重さはこの高校は十八キロまであり、一番重いものを引いている先輩は十七キロを引いているそうだ。
それから、先輩たちが練習を始めてそれを外から眺めていた。
五時頃まで練習を見て俺は挨拶をして帰った。
帰る途中で学校の前を通った時ちょうど放送部を見てきた鈴谷が出てきた。
「あ、信も部活見てきたの」
と、俺に気づいた鈴谷が声をかけてきた。
「ああ、楽しそうな部活だったよ。でも俺以外の新入部員はいなかったな。鈴谷は放送部どうだった」
「すっごい楽しかったよ。先輩も優しいし、こっちは新入部員何人か来てたよ」
と、話していたら鈴谷が何か思い出して
「あ、そういえば近くでダンス部が活動していたけどすごい楽しそうだったよ」
「ダンスって確か同好会だったろ。なら弓道部と一緒に入るのもありかもな」
と、会話していたら最寄りの駅に着いたので鈴谷とはここで別れた。
一人で帰る帰り道、ふと熊本城の方を見ると隙間から桜の木が少しだけ見えていた。
「そういえば、あの桜のある意味聞いてなかったな。明日にでも聞くか」
と、ひとり言を言いながら帰った。