第三話 再開と新たな友達
『この晴れた日、たくさんの方に見守られ、大きな期待と少しの不安を抱え私たちは入学をします』
お決まりの入学者代表挨拶を聞きながら入学式は淡々と流れて行った。
入学式が終わり教室に上がって先生の話を聞きながら教室を見渡してどんな人がいるかを見ていた。
席が廊下側の一番後ろだったので見渡しやすかった。
ちなみに俺は一組、鈴谷は三組でクラスは違った。
教室を見渡しているとき、教室で真ん中あたりに位置する席に目が留まった。
特徴的な薄いピンクの混じった髪、今は制服だがその後ろ姿は数日前に見た巫女装束を思い起こした。
ここまでくると面白いものを感じた。
ひとりそんなことを考えていたら前から自己紹介用のプリントが配られた。
先生が
「今日は金曜日だから土、日で書いて月曜日に提出するように」
とのことだった。
先生の話が終わり下校になった。
俺は鈴谷を待つ間、教室を見て回っていた。
そんなことをしていると先ほど配られた自己紹介のプリントが足元に飛んできた。
俺がそれを拾って持ち主を探そうとしたところにその人はやってきた。
「すみません、ありがとうございます」
と、一言いいながらプリントを受け取ろうとした一人の女子生徒。
その女子生徒は俺の顔をみて
「あれ、どこかで会ったような」
と、言いながら俺の顔を凝視してきた。
「数日前に一人で神社に来たやつ」
と、俺が言うと
「あー、思い出したあの時の。あれでも確か前にも会ったことあるような気がする」
と彼女、もとい白沢桜は首をかしげて考え込んでいた。
俺が口を開いてしゃべろうとしたとき白沢が
「あ、思い出した。受験の時に飛んでった受験票拾ってくれた人だ」
覚えてたんだと、少し驚きつつ
「名前言ってよな。俺の名前は水無月信、京都からこの高校に来た。よろしく」
なにげしていなかった自己紹介をしてそれぞれ喋ってしると他のクラスの白沢の友人が教室に来た。
おの中に懐かしい顔がいた。
「久しぶりだな、信」
声をかけてきたのは、小学校時代の俺の友人である遠月駿だ。
「久しぶりだな、駿。おまえもこの高校に来てたんだな」
「そういうお前は中学校で京都に行ったのに何でこっちの高校なんだ」
と、質問が返ってきた。
「もともと高校ではこっちに戻ってきたかったてのが一つ。あと弓道したくていい先生調べたらここの高校が一番よさげだったからな」
「そうか、またこれからよろしくな」
と、挨拶を交わすと俺たちはそこで別れた。
それからしばらくして鈴谷が教室に来たので俺も下校した。
終末が終わり俺は学校に7時半くらいに登校していた。
校舎は人が少なくシーンとしていた。
聞こえて音と言えば職員室にいる先生の声くらいだった。
教室に上がるとすでに教室が開いていた。
「はや」
と、心の中で思ったが考えれば俺も言うほど変わらなかった。
教室に入ると白沢がスケッチブックに絵を描いていた。
「こんなに早く来てまで絵を描いてるのかよ」
教室に入ってきて急に声をかけてきた俺に驚いたようで体が大きく揺れた。
「絵を描いているのはただの暇つぶしだよ。早く来ているのは電車登校だから人の多い電車に乗りたくないからね」
と、絵を描く手を止めてこちらを向いて答えた。
「なんの絵を描いていたんだ」
俺の質問に白沢は
「自分の好きなようにオリジナルのキャラを描いてるよ」
と、スケッチブックを見せながら言った。
それを見ながらリュックからものを取り出していた。
しばらくして白沢から
「そういえば駿君とは知り合いみたいだけどいつからの知り合いなの」
と、質問してきた。
「駿とは小学校の頃の友達。俺が小学校の途中で京都に引っ越したから」
「なるほど、じゃなんでこの高校に来たの。向こうでもここと同じくらいの学校はいくつかあったでしょう」
「それは高校では熊本に戻ってきたかったからかな」
そんな話をしていると少しずつ教室に人が入って来て白沢は別の友達のところに喋りに行った。
8時半頃先生が教室に来て今日の日程の説明があった。
学校案内やクラスでの自己紹介などがあり今日は午前中で終わるようだ。
俺の中で一番興味があるのは対面式の後にある部活動紹介だ。
弓道部に入るのは確定だが他に面白そうな部活があれば部の掛け持ちもありかなと考えてた。
部活と違う同好会もあるようだしそれなら負担も少なそうだ。
一時間目、学校案内が終わりそのまま体育館へと入っていった。




