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散った桜はまた花を咲かす  作者: 腹ペコウサギ
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第二話 気づかぬ再開

「うぷぅ」

 飛んできた黒い物体が顔面に直撃した。

 幸いにも柔らかいものだったのであまり痛みはなかった。

「大丈夫、信」

と、鈴谷が隣にいた鈴谷が声をかけてきた。

「ああ、大丈夫だ。それより何が飛んできたんだ」

 飛んできたものを確認すると、全体的に白く甲の部分に桜の刺繍がしてある手袋の片方だった。

 どうしようか考えていると一人の人が近づいてきた。

「すいません、私の手袋が飛ばされてしまって」

「いえ、これどうぞ」

「ありがとうございます」

と、手袋を渡して簡単なあいさつをしてその人は離れていった。

「白沢桜か」

「どうかした信」

と、周りに聞こえないくらいのひとり言に鈴谷が反応した。

「いや、さっきの人のポケットから受験票が少し出てたんだけどそこに白沢桜って書かれてたあから」

「さすがの観察スキルだね」

と、鈴谷があきれたように言ってきた。

「それにしてもさっきの人の髪、薄いピンクが入ってて綺麗だったね」

と、鈴谷言ったことをあまり気に留めていなかった。

 その後は二人で熊本観光をして次の日それぞれ新幹線で京都に帰った。

 それからは学校では卒業式の準備くらいで受験期にくらべ時間がゆっくりと流れるように感じた。

 卒業式の日も何事もなく学校と先生や友人に別れを告げた。

一週間後、午前十時からの合格発表まであと五分を切ってそわそわして待っていた。

 午前十時にると同時にサイトを開いた。

 そこあるべき番号はとみた。

それと同時に

『ぷるるるるるるる』

と、近くに置いていた携帯が鳴りそれにでると

「信、合格したよ」

と、大声で鈴谷が言ってきたせいで耳がキーンとした。

「はいはい、おめでとう。俺も合格したよ」

と、返した。

その後、学校に報告して中学の友人と焼き肉に行った。

 それからは熊本に引っ越すための準備で忙しく三月の終わりに熊本に引っ越し終えてからようやく一息つくことができた。

 家は高校から自転車で十五分ほどの距離にあるアパートを借りた。

 鈴谷は熊本で一番大きな駅の近くのマンションに住むことになっていた。

 引っ越しが終わり家具なんかを配置し終えた俺は近くにある熊本城を見に行っていた。

「相変わらずの石垣だな」

と、ゆっくりと見て回っている途中、近くにそれなりに大きな神社がありその中へ入ってみた。

 その中は建物が中庭を囲むように建っていた。

 その中庭に行ってみるとその中には大きな桜があった。

「こんなところがあるのは知らなかったな」

昔はあまり歩き回ることがなかったとはいえこんなものがあるのは聞いたこともなかった。

 中央にある桜の木を眺めているところに

「どうされましたか」

と、一人の巫女装束の少女が現れた。

 肩まである薄いピンク色の髪は一度見たら忘れないほどに美しい印象を与えた。

「いえ、近くを歩いていて気になったから立ち寄ってみただけです」

「そうなんですね」

と、言った後に少女は俺の顔を見てなにか思ったような様子をし

「ゆっくりしていってください」

そう言うとと少女は建物の一つへ入っていった。

 一人取り残された俺は写真を撮って鈴谷に送った。

 数分して鈴谷から

『すごいきれいな場所だね。私も行きたいな』

と、返信が返ってきた。

『なら熊本城近くの神社に来てくれ』

と、返信すると

『わかった』

と、返事が来た。

 鈴谷来るまでの間、俺はさっきの人にここのことを聞けないかと探して歩き回っていた。

 建物の裏手の方で桜の花びらをはわいていた少女を見つけた俺は

「いたいた、すみません少しいいですか」

俺が話しかけると少女は振り向いて

「はい、なんですか」

と、答えた。

「ここの神社ってどんな神を祀っているんですか」

「この神社は加藤清正というあの熊本城の建築に深くかかわっている人を祀っている神社です」

「加藤清正はとても強く虎に勝てるほどに強いと言われていました。ここでは参拝することでその加護やご利益がもらえます」

「へえ、じゃああの桜の木にもなにか意味が込められてたりするんですか」

と、質問しようとしたとき

「おおい、桜こっちに来てくれ」

と、大きな声で呼ぶ声がした。

「すみません、呼ばれてしまったので失礼します」

と、言い少女が立ち去ろうとした。

 俺は

「桜って、あなたの名前聞いてませんでしたね」

と、聞くと

「私の名前は白沢桜です。年は15歳で今年で高校生になります」

それだけ言うと足早にかけていってしまった。

「なんとも世間は狭いものだな」

と、一言いうとその場を離れ神社の入り口の方へ鈴谷を迎えに行った。

その後は、鈴谷と神社の桜の木を見て近くのファミレスで晩御飯を食べて家に帰った。

 家に帰ってから今日あったことを思い出し

「そういえば桜の意味とか聞きそびれたな。まぁそのうち会えるかな」

などと、ひとり言をつぶやきながら近くなった入学式の準備をしていた。






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