第十二話 始まるバンド
とりあえず中に入り、話を聞くとなんでも四人は全員何かしらの音楽の経験者で中学の頃からせっかくだから高校に入ったらバンドをしようと言う話になっていた。
構成はボーカルに白沢、ドラムに駿、ギターに北村、二岩でやっていてベースをどうしようかと悩んでいたらしい。
中学からの知り合いでピアノが弾ける人をあたってみたものの全員に断られてしまったそうだ。
そして今までとりあえずベースなしでやっていたそうだが俺が自己紹介でピアノをやっていることを聞いていつの間にか計画に組み込まれていた。
「バンドに誘うのはいいけど勝手に計画に組み込むなよ」
俺の呆れた言葉に白沢が笑いながら
「ごめんね。でも水無月君以外で誘えそうな人がいなかったから。でもバンドするためにはどうしてもベースが必要だから。お願い、私達と一緒にバンドしよう」
どうしてもと頭を下げてまでお願いしてきた。
「はあ、良いよ。別に特にすることもないから。けど俺はやるからには本気でやり込むよ」
俺のその返事に白沢は
「ありがとう。そして私達も本気で頑張るよ」
そう答えて俺はバンドを始めることになった。
急にバンドに入ることになってから数日が経過していた。
あれから俺は友人とバンドをすることを伝えて小さめのキーボードを買ってこっちに送ってもらった。
どんな曲をするかはわからないからとりあえず弾けるのを練習しておいてとのことだったのでこの数日は久しぶりのピアノを楽しんでいた。
久しぶりに弾いてみると意外と両手で別の動きをするということに体がついてこなかった。
「ピアノってこんな難しかったけ」
そういうことでとりあえず初心に帰って同じ動きの練習から始めていった。
そうしている昼頃、スマホから通知音が聞こえてきた。
確認してみるとそこには
『今から買い物付き合ってくれない』
と、鈴谷から連絡がきた。
買い物とは今度の四人で行くバーベキューの日のものだろう。
その日はここから一時間ほど行った場所にある川の近くでバーベキューを行うことになってそれに合わせて遊ぶための道具をそれぞれで持ってくることになった。
俺はとりあえず水着と水鉄砲くらいを持っていこうと思っていて、他にも必要な物は実家から送ってもらったりしていたので特に買い物に行く必要ななかった。
が、それは俺だけで話を聞いていると他の奴らは色々買いに行っているそうだ。
そういうわけで俺は鈴谷の買い物に付き合って自分も何か必要そうなものを探しに行こうと考えた。
『いいぜ。今から特にすることないから』
そう返すとすぐに返事がきた。
『ありがとう。じゃあ今から信の家に行くね』
『了解』
そう返事をして俺は用意を済ませて鈴谷が来るまでピアノを弾いて待っていった。