第十話 夏休みの計画
七月に入って暑さが段々と増してきて教室では手持ち扇風機やうちわを使って涼もうとする人が多く見られた。
俺は自転車で来ているため、暑さで汗が滝のように出ていた。
「お前流石に汗かきすぎでは」
星野が登校してきて、席に荷物を置いて俺のところに来た。
星野は電車通学なためクーラーがでガンガンに冷えた快適な空間に運ばれてきていたためほとんど汗をかいていなかった。
「そりゃあもう朝でも二十度後半になるような暑さで二十分弱自転車漕いでたらこうもなるわ。それに俺は元々汗かきやすい体質なのもあるし」
俺が色々言うが星野はそれを聞き流して着替えてこいと言ってきた。
俺はこれだけ汗をかくことはわかっていたので着替えは持ってきていた。
それを持ってトイレで着替えた。
汗を吸っていないシャツに着替えると一気にスッキリとした気分になれた。
それからいつもどおりの授業を受けて昼休みを過ごした。
教室を見ると前にも増してグループが細かくなっていた。
俺はたいてい、星野ともうひとりの弓道部のやつと一緒に御飯を食べていることが多い。
たまに白沢と鈴谷が一緒に食べることもあるがそれも最近はそれぞれ友達ができてその人達と食べていることが多くなっていた。
今日は話があるからと俺、星野、白沢、鈴谷の四人でご飯を食べていた。
集まってしばらくは雑談をしていたが途中から白沢が切り出してきた。
「今月末から夏休みに入るけどこのメンバーでどこかに遊びに行きたいんだけどいいかな」
意外な言葉に俺は少し面食らっていたがまあせっかくならということで俺は白沢の提案に
「良いんじゃない。夏休みになんかすること決まってるわけでもないし。それになんだかんが街くらいでしか遊んでないし」
俺は賛成で色々言ったら他二人も
「僕も夏休みはこれといってすることも決まってないし、部活以外では外に出る気もなかったし」
「私も賛成。みんなと遊びに行くの楽しみだなあ。えへへ」
賛成と言うことで夏休みにどこかへ四人で遊びに行くことが決定した。
そこからは日帰りで遊びに行ける場所を四人でどこにしようかと話し合っているうちにいつの間にか終業式の日になっていた。
終業式が終わり、教室で夏休みの宿題などが配られて先生から
「明日から夏休みだがハメを外しすぎたり、事故に合わないように気をつけて過ごせよ」
と、夏休み前最後の終礼で定番のようなことを言われて一学期の学校が終わりを告げた。
終礼が終わってクラスの皆、夏休みにどう過ごすか思い思いに話していた。
部活で遠征がある人、親の実家に遊びに行く人、遠くから来ている俺や鈴谷のような人は実家に帰省など夏休みの計画が皆固まっていた。
「じゃあまた部活と遊ぶときにな」
「ああ、じゃあまた今度な」
そう言って星野は一足先に帰っていった。
白沢の先に教室を出て友人たちと帰っていた。
俺は鈴谷を待ってから帰った。
「そういえば信は帰省するの」
帰り道で鈴谷からそう聞かれた。
「ああ、俺はお盆の一週間くらいで帰ろうかなって考えてる。鈴谷はどうするの」
俺の質問に鈴谷は
「私は四人で遊ぶのが終わってからすぐ帰るつもりだよ。家の手伝いもあるし」
と、鈴谷は夏休みの八月の半分は京都に帰って過ごすつもりのようだ。
そうして夏休みの計画を頭で考えながらゆっくりと帰っていった。
今年の夏は今まで以上に楽しくなりそうだなと胸を踊らせながら。