第69話 一日の始まり
ローズ王国の首都、リベルタ。
王城に近い北区にあるとある一軒家。
そこに住む家政婦、クロエ・アルデンヌの朝は早い。
「んんー……」
早朝、いつもの時間に起きて伸びをしてから、クロエはベッドを降りた。
お人形さんのように整った顔立ちは、くりんと丸い目とすっきりとした鼻立ちが特徴的だ。
ベージュの髪は艶やかで肩の少し下まで伸びている。
体つきはほっそりしているものの肉つきはよく、健康そうな白い肌。
この外見を見て、元は孤児と見紛うほどボロボロだったとは想像出来る者はまずいないだろう。
自室の窓を開けて、身体いっぱいに太陽の光とひんやりと冷たい空気を浴びてからクロエの一日は始まった。
「よし、今日も頑張りますか!」
パジャマから普段着に着替え、ベッドメイキングを済ませてから下に降りる。
洗面所で顔を洗い、鏡で寝癖を整えてから朝食の準備に取り掛かった。
「えーと、今日のメニューは……」
昨晩、あらかじめ仕込んでおいた食材をいくつか取り出す。
手のひらサイズのパンにサラダ用の野菜、大ぶりのウインナー、それと……。
「今日は……シンプルに目玉焼きにしましょうか」
最近、卵料理にハマっている主の顔を思い浮かべながら、フライパンに卵を投入する。
じゅわじゅわと音を立てて、卵は少しずつ硬くなっていった。
「これでよし、と」
目玉焼きを作っている間に、トマトを一口サイズに切り分けていく。
母親にナイフを向けられたトラウマで、しばらく持つことすら出来なかった包丁を使えるようになってしばらく経つ。
自分一人の力で食材を切れる感覚に、クロエは思わず笑みを溢した。
こうして手際よく朝食が作られていく。
「これでよし」
最後の仕上げも完了し、机にほかほかと湯気たつ美味しそうな料理たちを前にクロエは胸を張る。
するとその時、クロエよりも重い足音がリビングに近づいてきた。
(時間通り……流石ですね)
騎士という職業柄か、毎日決まった時間に起きてくる習慣は流石としか言いようがない。
まるで主人を見つけた子犬のように、ぱたぱたと駆けるクロエ。
がちゃり、とドアが開いた途端。
「おはようございます、ロイドさん!」
足音の主が口を開く前に、クロエは元気よく言った。
家の主──ロイドは、クロエを見るなり微かに目を見開く。
「おはよう」
短く告げるロイドの姿を、クロエはまじまじと見つめてしまう。
(毎日見ているのに、まだ慣れませんね……)
クロエよりも、頭ふたつ分ほど高い背丈。
しっかりと引き締まった体つき。
恐ろしいほど整った顔立ち、形の良い鼻筋に、横一文字に結ばれたくちびる。
寝巻き姿だがどこにも隙の無い、凛として落ち着いた佇まい。
闇よりも深い漆黒の髪は、出会った時と比べると少し長く見える。
街を歩けば何人もの女性が振り返ってしまうほどの美丈夫を毎日のように目にする生活に、クロエは未だに慣れていなかった。
クロエが見惚れている間に、ロイドは机に視線を移す。
「今日も美味しそうだ」
表情を変えないままそう言って、ロイドは自分の席へ向かう。
相変わらず無愛想で素っ気ない振る舞いだが、それがロイドの素である事をクロエはわかっている。
自分の作った朝食をロイドが楽しみにしている事は、机に向かう足の歩幅が広い点を見れば明らかだった。
ロイドとは対照的に、クロエはニコニコを浮かべたまま席に着く。
我ながら良い仕上がりとなった本日の朝食を前にして、二人は本日一度目の「いただきます」を口にするのであった。
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