第58話 夕食会の終わり
無事夕食会も終わり、遅くなったので解散の流れになった。
「副団長、此度はお招きいただきありがとうございました」
「そんな固くなくて良いって! 今は勤務時間外なんだし。むしろ来てくれて感謝しているのはこっちの方だよ」
頭を下げるロイドに、フレディが溌剌とした笑顔で言う。
「クロエちゃんも、今日は来てくれてありがとうな!」
「こちらこそ、楽しい時間をありがとうございました。サラさんも、お料理、とっても美味しかったです! あと、お野菜、色々貰ってしまいありがとうございます」
クロエが嬉しそうに、ちょっとした大きさの紙袋を見て言う。
「いいえ、気にしないで。実家の方から毎月たくさん送られてくる物だから。ちょうど余っていて、食べ切れるか不安だったの」
「では、お言葉に甘えて……!! また、よければレシピを教えてください」
「ええ、もちろんよ。まだたくさんレパートリーがあるから、いつでもいらっしゃい」
「はい!」
クロエとサラはすっかり仲良くなったらしく、和やかな笑顔を向けあっている。
そんなサラの後ろからひょこっと、ミリアが顔を出した。
「お猿のおねーさん、ばいばーい!」
「ミリアちゃんも、またね」
クロエがしゃがみ込みミリアの頭を撫でる。
すると、どこからともなくオセロがとことこやってきて、二人の間でゴロンと横になった。
「オセロも、ばいばいって!」
「かかか……かんわいいいぃぃぃ……」
無防備でふわふわなお腹を撫でてあげると、オセロは気持ちよさそうに喉を鳴らす。
先程まで興味なさそうに欠伸ばかりしていたのに、こういうところは猫らしいというか。
すっかり顔がにやけて溶けそうになっているクロエをロイドが眺めていると、フレディがニマニマした様子で声をかけた。
「何見惚れているんだお前」
「別に、見惚れてはいませんよ……興味深いリアクションを観察しているだけです」
「まあーーー、クロエちゃん、表情がコロコロ変わりやすいもんな、誰さんかと違って。見てて面白いだろう」
「その誰かさんにとっては、面白いかもしれないですね」
「素直じゃないねえ」
やれやれと頭を振るフレディが、真面目な顔に変えて言う。
「クロエちゃんの事、ちゃんと守ってやれよ? 本当に頼れる奴はお前だけなんだから」
「それはもちろんです。騎士たるもの、守る事が仕事ですから」
「そういう意味じゃ……はあ」
頭を横に振るのに加え、フレディは両掌を上に向けた。
「まあこんな朴念仁だけども、クロエちゃんも、これからロイドのことをよろしく頼むよ」
「は、はい! もちろんです、与えられた家政婦の使命、誠心誠意、全うさせていただく所存です」
「クロエちゃんもクロエちゃんで、なーんかズレてるんだよなあ……まあいいか」
おそらくその直感は正しくはあるが、深くは突っ込まなかった。
「副団長、それでこれで失礼いたします」
「ああ、また明日な。夜道に気をつけるんだぞ」
「お猿のおねーさん、またねー!」
こうしてクロエとロイドは、フレディ一家を後にした。




