第54話 フレディの家へ
夕食会当日。
ロイドが住んでいる家からそう離れていない、例の公園を先に行った所にある貴族エリアの一角。
クロエとロイドはフレディの家にやってきた。
「わあ……!! 大きい家ですね……」
流石は副団長様というべきか、フレディの家はちょっとした屋敷かと思うほどの大きさだった。
フレディ自身貴族の出で、かつ所帯持ちということもありそれ相応の住居を与えられているのだろう。
「お猿のおねーさんいらっしゃい!」
キラッキラの大理石作りのやけに豪華な玄関を潜るなり、ミリアがクロエに飛びついてきた。
後ろからてくてくと、オセロがついてくる。
「こんばんは、ミリアちゃん。結局私はお猿のおねーさんになったのね……」
クロエが苦笑いを浮かべると、奥から私服姿のフレディがやってきた。
「来たか! おおっ、クロエちゃん! そのドレス、とても素敵だね!」
「ありがとうございます! せっかくなので、街で買ってみました」
「いいね! ロイドの趣味?」
「い、いえっ……店員さんに選んでいただきました」
「そうかそうかなるほど……」
「なんで俺の方を見るんですか、副団長」
「いんや、別に? ……おや?」
フレディがロイドの腰のあたりを見て目を細める。
「ロイド、剣持ってきたのか」
「はい、一応。ここ最近、不穏な噂も聞くので」
「殊勝な心がけだな。ただ、飯食う時はどこかに置いておけよ? 間違えてローストビーフを剣で斬らないようにな!」
「斬りませんよ」
「なら問題ないな。ささ、上がった上がった」
「はい! お邪魔します」
「お邪魔します」
フレディの案内で、二人は奥へと通された。
◇◇◇
夕食はすでに準備されており、あとは食べるだけとなっていった。
たくさんの料理が載った大きなテーブルをフレディ一家、クロエとロイドがぐるりと囲む。
「まずは二人とも、今日は来てくれてありがとう」
食前のドリンクグラスを手に、フレディが言う。
「いえいえこちらこそ、お招きいただきありがとうございました」
「ありがとうございます」
クロエとロイドが頭を下げる。
「ロイドは何度も夕食会に誘ったんだけどなー、のらりくらりと躱され続けてきたんだ。だから、クロエちゃんには感謝しているよ」
二人をしみじみした様子で眺めてフレディが言う。
「いえいえ、とんでもございません! ……ちなみになぜ、ロイドさんは夕食会を断っていたのですか?」
じっと、クロエに瞳を向けられロイドは気まずそうに目を逸らす。
「…………なんとなく、性に合わないからだ」
「な、なるほど」
「お前らしいな」
フレディは苦笑いした。
本当はもっと複雑な理由がロイドの中にはあったが、わざわざそれをここで言う必要もない。
「ねーねー、パパ、早く食べようよー、お腹すいた〜」
「すまんすまんミリア、それじゃあ、うちのお嬢さんも腹ぺこな事だし……」
皆でグラスを掲げて、乾杯をする。
それから食前の祈りを捧げた後、夕食が始まった。




