表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ド田舎の迫害令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される【第3巻 11/10発売】  作者: 青季 ふゆ@醜穢令嬢 2巻発売中!
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/173

第14話 おふろ

 ロイドに案内された脱衣所と呼ばれる部屋で服を脱ごうとして躊躇った。

 直前になって背中の痣や、家族につけられた生傷を思い出し生まれたままの姿になるのは抵抗があったのだ。


(ええい……今更どうってことないでしょう)


 最終的にお風呂の誘惑に勝てず、クロエはボロボロの服を脱ぎ、浴室へ。

 入った途端、木の香りがふわりと漂ってきて思わず目を閉じてしまう。


「わ……」

 

 目を開け飛び込んできた光景に、クロエは感嘆の声を溢した。

 蝋燭のランプによって照らされたその部屋は、今まで見たことのない作りをしていた。


 入って手前は身体を洗うスペースらしく、木で出来た桶や何か液体の入った小瓶が並んでいる。


 その奥に長方形型の大きな箱が設置されていて、なみなみとお湯が張られていた。

 ほかほかと湯気が立っていてとても温かそうだ。


 この時点でわくわくメーターが振り切れてしまうクロエ。


 ロイドに習ったお風呂の作法に従って、まずは桶で身体を洗い流す。


「いつっ……」


 まだ治り切っていない傷に湯が染みて痛みが走ったが、じきに温かいお湯に包まれた気持ち良さが勝った。


 シャンプーとか石鹸とか、何やら聞いたことのない概念の説明もされていたので、髪や身体につけてみる。


「あいててて……でも、いい匂い……」


 やっぱり傷に染みるが、花や果物のような甘い香りがして思わず頬が綻ぶ。

 ずっと嗅いでいたい匂いだった。


 それに、ふわふわと泡立つ新感覚も面白い。


 なんだろう、うまく言えないが。

 身体がとっても清潔になっていくような気がした。


 念入りに身体を洗った後、いよいよ湯船に身を入れる。

 足先からおそるおそる、身体を浸していく。


「……ほぁ」


 気持ちよくて息が漏れるという現象を、クロエは生まれて初めて体感した。

 

 全身をじわじわと熱い温度が包んで心地よい。

 身体だけでなく心まで温かくなっていくよう。


 こんな気持ちの良い催し物がこの世にあったのかと、クロエは天にも昇る気持ちになった。


 天井には窓ガラスが設置されていて、見上げると夜空が見える。

 ゆったりとした夜空を眺めていると、不思議と心が穏やかになっていった。


 目を閉じるとすぐに眠気が襲ってきそうになるが、ロイドに『風呂で寝たら風邪をひくから意識はしっかり保っておけ』という忠告を思い出し慌てて頬をつねった。


「痛い……夢じゃない……」


 確かめるように呟く。


 二週間前、母親に殺されかけて、実家を飛び出して。

 野を越え山を越え、山を越え川を越え山を越えて辿り着いた王都。


 お金も頼れる者もいない中でこんな待遇を受けるとは思っていなくて、自分が今見ているのは死に際の夢なんじゃないかと疑ってしまう。


(……だとしたら)


 夜闇に呑まれてしまうかのような、底知れぬ恐怖を感じる。

 だが、考えたって仕方がない。


 現に今、自分は気持ち良いと感じているし、傷のところや抓った箇所は痛いと感じている。


 これは夢ではない、現実。

 そう信じるしかなかった。


 なんにせよ、温かい水をこんなにも贅沢に使って身を清める習慣があるなんて……。


「都会って、凄い……」


 呟いたその時。


「湯加減は大丈夫か?」

「〜〜〜〜!?」


 ざぱんっ!!


 突如として脱衣所から聞こえてきたロイドの声に、クロエは盛大に水飛沫をあげてしまう。


「すまない、驚かせてしまったか」

「い、いえ! 大丈夫です! 湯加減はちょうど良きに存じます!」

「なんだその言い回しは。タオル、ここに置いておくぞ」

「はい! ありがとうございます」


 ロイドの足音が遠ざかる。


(ううう〜……恥ずかしい……)

 

 ぶくぶくと、湯に口まで入ってしまうクロエ。


 気を抜くとロイドに対して発動してしまうこの胸の高鳴り、体温の上昇。

 それはどんな感覚の中でも、夢じゃなく確かな現実であることを証明しているように思えた。

ここまでで「面白い!」「続きが気になる!」「クロエちゃん気持ちよさそうヽ(*´∀`)ノ」など思っていただけたら、ブクマや↓の☆☆☆☆☆で評価頂けると励みになります……!


いつもありがとうございます(❁´ω`❁)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【お知らせ】 新作の連載を開始しました! ↓タイトルをクリックすると新作のページに飛べます。

大当たり令嬢はニ度目の人生を謳歌する〜死にたくないので100億マニーを手に隣国へ逃亡します〜



― 新着の感想 ―
[良い点] 湯加減ちょうど良き!
[良い点] 夢なら傷の痛みは感じない。染みるその感覚こそが、夢じゃない証拠。 [気になる点] 逃げ出してから、クロエさんは貴族の自覚をどこかに捨て去ったみたいですね。 [一言] シャーリーさんと再会し…
[一言] 傷が有るとしみるよね…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ