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短編集

逆浦島太郎

作者: むに


ニコニコでとあるTRPG動画を見て書きたくなった、それを参考にして書いたのでかなり似ています。まぁTRPG?ナニソレ?って人は普通に見てください。



むかーし昔ある所にブロッサムと言う何とも奇妙な名前の若者が居りました。


その若者は農業と趣味の釣りで生計を立てており

今日も趣味の釣りへ出かけると「えいえい怒った?」「このクソ虫!」などと言う罵声と鈍い音が聞こえて来ました。


ブロッサムは急いで砂浜に向かうとそこには女性が子供達に蹴られたりしていました。


ブロッサムは子供達に蹴らせるのを辞めると

何故こんな事をしたのか聞きました。


「だって、この人自分から蹴ってくれ、って怖い顔で迫ってくるから……」


どうやらどちらが悪なのかが決まったようです。


ブロッサムは女性に近づき顔を見ると驚愕しました

何せ恍惚の表情で息を荒げていたからです。


これは誰でも引きます。ブロッサムは怪しい人が近づいて来たら絶対に逃げるように、と伝えて家に帰しました。



「……何で着いてくるんだ」


「いえ、貴方に伝えたい事がありまして」


その女は傾国の美女と言って良いほどの美形であり

真面目にしているとブロッサムでさえ可愛らしいと

思ってしまうくらいでした。


「……なんだ」


「はい、貴方に助けて頂いたお礼に後日、乙姫様と共に礼に参りますので」


「……そうかい、期待せずに待ってるよ」


「それでは」



そう告げると女はクラウチングスタートをして助走をつけて海の中に入って行きました、凄くシュールです。



「……何だったんだ」


ブロッサムは不思議に思いつつも岩場で釣りをする事にしました。


「……まぁいい、今は釣りだ釣り。」


そう言って糸を垂らす事数分で魚がかかったようです。しかもかなりの重量です。


「……あん?引いても引いても浮いてこりゃしない

根掛かりでもしたか?」



どうやら根掛かりしてしまったようです。この場合無理に取ろうとすると釣り竿が折れてしまう事がある為にブロッサムは竿を手放しました。


「……こんな釣り竿なんか、簡単に作れるしな」


まぁ時代が時代なので竹に糸を巻き付けた簡素な竿だったので何の躊躇無く捨て去ると


「ちょっと!何海にゴミを捨ててるんですか!」


と先程の女が浮かび上がって来ました。

手にはブロッサムが捨てた手作りの釣り竿があります。


「……さっきの女か、仕方無いだろ根掛かりしちゃ取る方が手間だ」


「ハァ、そうですがではこれをお返しします。

もう海を汚さないようにして下さい」



そう言って女は釣り竿を置いて海に潜ってしまった。

ブロッサムは釣りをする気が無くなってしまい

釣り竿を持って家に帰る事にした。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



次の日、朝早くにブロッサムが目を覚ました。

ボヤける目を擦りながら、井戸から水を汲み出して

顔を洗って適当に朝飯を作り食べ畑の草抜きという

いつものルーチンをして昼になり家で休んでいると


戸がトントンとノックされた。

ブロッサムはこんな時間に村の連中が?と不思議に思いつつも戸を開けると、そこには美しい海のような髪にアクアマリンの瞳をした大層美しい女が昨日の美女と一緒に立っていた。ブロッサムは呆然としていたがすぐに理性を取り戻した。



「……何の御用でしょうか」


「ふむ、ここに居たのですか、昨日のお礼に参りました。」


そう女が告げる


(……本当に来やがった、というか何だよコイツら、どいつもこいつも美人だからかじゃ無いか)


「し、しんどい、マジ地上とかキツイ

あ、顔出したんで帰って良いですか?」


そう海色の髪を持つ美女が言った。

ブロッサムは黙るしか無かった、凄く面倒くさかったからである。


(……なんなんだ、美女は変人しか居ないという決まりしか無いのか?思えばいつもそうだ、罠にかかってる鶴に近づいたら自分から罠外して飛んでいったと思ったら、その日の夜に白髪の美女がやって来るし、桃を食ってたら勝手に知らないジジババの子供にされて鬼退治に行って来いとか頭悪い事言って来るし

言われた通りに鬼ヶ島とか言う島に行ったら行ったで犯されそうになるしで、散々だ!何でトラブルしか無いんだ!?俺が何かしたのか?俺は善良な農家の筈だぞ!?)



そう、ブロッサムは何故かトラブル体質なのである

他にもたまには丘で食べ物を食べようとおにぎりを持って行ったら、その一つが転がり、

何となく追いかけると来た時には無かった一人が簡単に入れる1メートルくらいの穴があり、


しかも底が見えない程の深さで何でこんな所に、と不思議に思っていると誰かに押されて穴の中に落ちると

ネズミのような耳と尻尾の生えた人間が出迎えてくるなど普通の人間ならSAN値がすり減るような経験も

慣れて来てあんま動揺しなくなり、その影響なのか

無表情になってしまったのです。



「あッ!ヤバ吐く」


「ちょ!ゴミ箱持ってくるからそれまで我慢しろ!」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「…すみません、水や薬まで用意して頂いて」


「……いや別に良い、たまたま酔い止めがあっただけだからな気にするな」


「あ、そうですか?ならお酒と何か摘める物があると嬉しいです。」


「……あんたお礼に来たんじゃ?」


乙姫と名乗るその女は今初めて気付いたかのような反応をした。


「おっと、そうでしたお礼に伺ったんですよね。では早速竜宮城自慢の舞を見せて差し上げましょう。

お前たち入りなさい」


そう乙姫は言うと襖が空いて鯛とヒラメがピチピチと跳ねながら頑張っていた。そしてしばらくして全く動かなくなってしまった。


「……………」


この世にも奇妙な舞いを見たブロッサムはなんだかとても虚しい気持ちになった。



「如何でしたか?楽しんで頂けたでしょうか

地上ですから普段と違った舞になりましたが」


「……思ってたのとだいぶ違う」


「そうですか……ならば別の魚達がその身を犠牲にして舞を……」


「あぁ、凄い舞だったなー、もうお腹一杯だよー」(棒)


ブロッサムはもう魚達が犠牲にならないように精一杯の棒読みで嘘をついた。


「そうでしょう、そうでしょう。さて次はお料理でも振る舞っちゃいますかね。」


「む、それは普通に有難い、何を作るんだ?」


「鯛とヒラメの料理ですね。」


「あ、そう言えば朝飯を食べ過ぎてお腹が空いていませんので」


「あら残念、でも他にお礼出来るような物が…」



「……大丈夫だ、礼は十分に伝わった」



「ふむ、では宴はお開きという事にしましょう。今日はもう遅いので泊まって行きますね。」


「……ん?まだ外は明るいが?」「今日はもう遅いので泊まって行きますね。」


「え、いやまだ明るい「今日はもう遅いので泊まって行きます。」


「…………分かった、是非泊まって行くといい」



有無を言わせぬ口調でそう宣言した乙姫は客室の一つを占領して行ってしまった。そして部屋の隅にいた美女が話しかけて来た。



「すみません、乙姫様はかなり自由な方でして」


「……いや、構わない面倒ごとには慣れている。」


「そうですか、でも乙姫様は海神の娘なので機嫌を損ねると危険です。出来るだけ丁寧に扱ってあげて下さい」


「……あぁ、分かった、俺も釣りが出来なくなるのは嫌だからな」



ブロッサムがそう言うと丁寧に礼をして去って行った。ブロッサムはそれを見届けるともう一人分の食材を取りに行った。


……落ちていた大量の鯛とヒラメはとある事件に巻き込まれた時に手に入れた中の物の劣化を防ぐ不思議な箱に入れて置いた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



そして次の日、ブロッサムは乙姫が帰るのかと思っていたら、帰らなかった。



「……帰らないのか」


「ええ、地上をもっと見ていたいので」


「……そうか」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そうして数週間後。



「……もう飽きないか?」


「いえいえ、地上の生活というのも慣れると良いものですね。すごく楽ですし。」


「……そりぁ俺が家事も仕事も全部やってるからな」


「私は楽しい、あなたは美人といれて嬉しい、まさにWIN-WINの関係ですね!」


「……いや、別に好きになった女でも無い人と一緒に居てもな」


「嬉しいでしょう?」


この時、去り際の美人の言葉を思い出した。

ブロッサムはすぐに返事を返した。


「超嬉しいです。」


「そうでしょうそうでしょう、でもまぁそろそろ帰りましょうかね。」


「え?本当か!」


ブロッサムは食い気味に乙姫に聞いて行く。


「はい、最後にもう一日だけ地上を満喫してから海に戻る事にします。」


「そうですか、ならば今日はご馳走を用意しましょう」(メッチャ嬉しそう)


「どうして喜んでいるのですか?」


「……乙姫が帰るなんて俺はどうやって生きていけば良いんだ」



危機を感じたブロッサムは必死に演技をした。



「そうでしょう、悲しいでしょう。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そして数ヶ月後



「……最後の一日と言ってから半年くらい経っているのだが」


「なんですか?もしかして私に帰って欲しいのですか?」


「いえ滅相もございません」


(この人、全然帰ろうとしない、少し説得する事にしよう)



「……乙姫」


「なんですか?あ、今日の夕飯はカニが良いです。」


「分かった……じゃなくてそろそろ竜宮城に帰らなくて良いのか?みんな心配してると思うが」


「大丈夫ですよ、魚たちが心配しようと私の知ったこっちゃありません」


「ぐっ、いや海神のお父さんも心配してるんじゃ無いか?」


「む、それもそうですね。というか私が他人の家に泊まったなんて知ったら嫉妬でこの辺り一体が海に沈むかも知れません」


(……勘弁してくれ)


「じゃあ早く帰った方がいいんじゃ?」


「むむ、このような楽しい場所が沈むのも私としては不本意………」



どうやら説得に成功?したようで乙姫は悩むフリをすると大声で叫んだら



『でも、帰らぁぁーーーーーん!!!!!!』


「帰れ!」



「……チッ、仕方ないですね。帰ればいいでしょ帰れば。」


「……正直そうして貰えると凄く助かる。」


「ま、あなたにはここまで凄くお世話になりましたからね。これを差し上げましょう。」



乙姫はブロッサムに小さな黒い箱を手渡されました



「なんだ?これ?」


「竜宮の秘宝、逆玉手箱です。開けると若返ることが出来る凄い箱です。」


「む?良いのか?このような凄い物を貰っても」


「良いんですよ、私が持ってても不老なので宝の持ち腐れですし」


「ほう、最近腰が辛かったからな十代に若返れば治るか?」


ブロッサムは早速、箱を開けるとピンクの煙が漂ったと思うと、体が軽くなった



「おぉ、体が軽い!肩こりも無い!腰痛も無い!

ありがとう乙姫!素晴らしい効果だ!」


「は、はいでも一つだけ注意事項があるのですが」


「?」


「その箱は時間に干渉する訳でして使うと変な犬に狙われちゃうんですよね。ま、今から竜宮城に帰ろうとしている私には関係の無い事ですが」


「え?え?」


何と無く、部屋の隅を見ると謎の煙が出ており

犬のようなシルエットが見えた。



「なっ!謎の煙が出てるんだが!?」


「あらら、もう嗅ぎ付けられちゃったんですね。頑張ってください」


「無理!幾ら俺でも人外は無理!」


「じゃ、また会いましょうブロッサムさん、生きていたら」


「ま、待ってくれ!何か助かる方法は!?」


「えーでも、私帰れって言われたからなぁ、どうしようかなー」


「くっ……乙姫様、なんでもしますので助けて下さい。」


「助かる方法なら簡単にですよ、私ならワンちゃんなんてすぐ倒せます。だから生き残りたいなら養って下さいね。三食昼寝付きで良いですよ。」


「わ、分かった。」





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



そうしてブロッサムは乙姫と生涯を過ごしたそうな

ブロッサムは気が付くと乙姫と結婚する事になっており、たいそう驚いたがいつものことだろう、と諦めたそうだ



そして邪神に拐われた、嫁のブロッサムを助ける為に

夫の乙姫が奮闘したり、夫婦仲良く何処ぞの邪神の復活を妨げたりしたがそれは別のお話。




おまけ


美女ばっかだな、とか言うなよ?

自分も思ったんだから


【名前:ブロッサム】

【説明:不思議な名前を親に付けられた不憫な子、それで昔虐められていたが様々なトラブルに巻き込まれて行くウチに精神が成熟して、動じなくなった

あとトラブルのお陰で特殊技能を持っている。

最後に逆浦島太郎なので性別も逆であるちなみにAPP(魅力)は17】


【名前:乙姫】

【気の強く自由な海神の娘、美しい容貌だが中身は色々と残念な美人、海の力を自由に操る能力を持っている。色々ありブロッサムに執着している。ちなみにAPP(魅力)は18】


【名前:海神(わたつみ)

【説明:海の神、クトゥルフとは全く関係無い純粋なる祈りから生まれた神、娘の乙姫を溺愛しており

近くに居る者を男女関係無しに嫉妬するくらいの

ヤバさである。】


【名前:女】

【説明:とても綺麗な女、子供に虐められて悦ぶ性癖を持っているヤバイ奴、ちなみにAPP(魅力)は18である、ニャル様であり、影でブロッサムを嗤いながら見ている。】


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