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駅ビルの占い師

私には予知能力がある。

家族にも他人にも話していないから、誰も知らないけれど。

相手の体に触れると、その人の未来が見えてしまう。

その能力を活かして、住み慣れた町の駅ビルで占い師をしている。


「あなたは来年には結婚します」

「えー、ほんとですか!」

30代の女性のお客様は、とびきりの笑顔を見せて喜んでいたが、占い師として告げなければいけない事があった。

「結婚相手は、今の長くお付き合いしている彼氏ではありません。結婚するのは、今の彼と別れた後にお見合いをした相手です」

お客様の笑顔は凍りついた。


毎度こんな調子だから、私は売れっ子の占い師ではない。

真実を詳細に伝え過ぎない方が売れっ子になれるかしらと考える事はある。

先ほど来店したお客様なら、"来年には結婚する"という事だけ告げれば良かったのだろうか。

しかし、彼氏と別れた時点で、その先の未来までは知らない彼女からしたら「あの占い師は嘘つきだった」という事になってしまうのでは。などと考えると、先の未来も告げるほかない。彼女が聞きたくない未来だとしても。


はぁ、とため息が出る。

占い師という商売は、本当に予知できる能力があっても、儲かるわけではないと知る。

転職するべきなのか。

もっと予知能力を活かして、お金を稼げる商売はあるはずだけれど、大きなトラブルに巻き込まれるのは勘弁だし、大金が欲しいわけでもない。

他人の些細な日常を覗き込んで、ちょっしたアドバイスでもできれば良い気分になれそうだから、占い師をしている。

しかし商才がまるでない私は、このまま名が売れる事もなく、駅ビルで雇われ占い師として終わりそうだ。

ま、そうだとしても、食べるのに困らなければいいのかなと思ったりしてしまう。

向上心がまるでない。

こんな占い師でも良かったら、誰か占ってあげるから、ぜひ来店して頂きたい。


今なら、初回限定につき、鑑定料半額ですからね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] このような作品大好きです! 続きが楽しみです
2018/11/28 17:48 退会済み
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