9. チート
「お主、さっきここに来た時とステータスが変わっておるんじゃが・・・
まぁどう見ても称号に変なのが増えとるのぅ」
「ダメだ、なんだこれ・・・どーなってんの・・・」
『私がある程度神様とお話する事が出来ましたので、
全て分かるということは有りませんが、多少なら説明できますが』
「え、マジで?・・・ポイントなくてもそんなことできたの?」
『主様の転生作業自体は全て完了した状態で、
私に意識が宿ったからこそ可能となった事だったようです』
「ところで、ポイントとはなんなのじゃ?」
・・・ここで御師様に転生のシステムについて説明した。
「何ともまぁ・・・そんなシステムになっとったとはの・・・」
「ちなみに俺は274ポイントで過去最高だって言われたんだよね」
「は!?274ポイント!? 何があったらそんなになるの!?
私なんてあんた助けて85ポイントだったわよ!?
しかも実質スキルとかに使えたのって20ポイントくらいしかなかったし!」
「いや、それがほんとに普通だって女神様も言ってたよ。
俺が普通じゃなさすぎるんだって」
「どおりでね・・・
セブンで50ポイント消費できた理由がわかったわ・・・」
『では、とりあえず主様のステータス・・・
上から順に説明していきましょう』
「ああ、よろしく頼む。 マジで」
『まず種族ですね。
主様の種族が四人族になったのは、
魔法をすべて使いたい。
魔物使いになりたい。
自分で物を作りたいといったところで、
"適正"が必要となる職業をほとんど獲得するように
願ったからだそうです。
各種族にはそれぞれ"適正"として付与されるものが
ある程度決まっているそうです。
あとは、親の能力で大体決まるそうですが、
全ての魔術適正が必要なのは、
この世界の四種族、
獣人族、耳長人族、小人族、翼人族の全ての血が必要となります』
「うむ、ワシがそうじゃったの。
ワシの親がそれぞれのハーフで、得意魔術が二人とも正反対じゃった
二人の魔術を受け継いで、ワシが生まれたと言っておったわ」
『そうですね。
四種族の血だけではなく、両親が各魔法の適正を全て持っていないといけません。
そして、魔物使いや生産職を望んだことにより、
主様が生を受けることができる器が、
大昔にすべてを扱うことができたという四人族しかなくなってしまったそうです。
さすがにこんなことになってしまうとは、
女神様もわからなかったようで、緊急措置として、
四人族が生まれるように取り計らったようです。
そして、主様の器に一番近かった今のご両親との間に子を設け、
女神様がご両親に祝福を与えたそうです。』
「俺って・・・どんだけやらかしちゃってんの・・・」
『主様ですから』
「それで済まさないでぇ!?」
「お主じゃからか・・・仕方ないの?」
「仕方ないわね。アンタだし」
みんなヒドイわぁ!?
『次は・・・そうですね。
固有スキルについて言っておきましょうか』
あ、そのまま続けちゃうんすね!?
『固有スキルと言っても色々あるのですが、
転生者は、こちらの世界に来るときに1つだけ固有スキルが付与されるそうです』
「俺の固有スキルは・・・インターネット・・・」
これが俺の固有スキル・・・何ゆえ・・・なんかチート臭がぷんぷんするんだけど……
「インターネット・・・とはなんじゃ?」
「インターネットってのは、俺たちの元の世界で、一般的に普及している、情報ネットワークで、
最近ではもう、どこに居ても、誰でも知りたい情報を知ることができたり、遠くの人と話せたり、買い物とかも出来たりするものだね」
「何処に居ても・・・?」
御師様にはやはりわかりにくいようだ。
理解出来ないよ?って感じで小首を傾げてる。
綺麗な人がそんな仕草するなんて。
うーんけしからん!!!
・・・はっ! 隣から殺気が!!
御師様を見つめていたのがバレたというのかっ!
・・・すんません。魔王様威圧パネェす。
「うーん、ちょうど検索機能が使えるみたいだし、
なんか調べてみようか?
・・・ちょうど称号の中におかしなモノがあるみたいだし・・・」
「そうじゃな。
なぜワシとヨミの名前でルビが振られておるモノがあるのか・・・」
・・・うん、俺も御師様もあえて触れないよ。
危険な香りしかしないからね。
絶対触れないよ。
愛ってなに?って、絶対触れない。
・・・フリじゃないからね!?
「で、では、"検索"」
ポン! と、
目の前に・・・よ、妖精・・・さん?
《初めまして、クロス様。
スキル、"インターネット"のインターフェースです。
人工知能(AI)、と言ったほうが分かりやすいでしょうか。
人工・・・というわけでもありませんが。
名前はまだありません》
「お、おおう!?」
『「「どうしたの(じゃ)(ですか)?」」』
・・・俺しか見えてないの!?
《現在、プライベートモードにて動作中です。
オープンにしますか?》
「え!?あ、いや、えー!?」
と、とりあえずオープンで!?
《かしこまりました。
オープンモードに変更します。
・・・変更完了しました。
皆様、初めまして。
ワタクシは、クロス様のスキル、
"インターネット"のインターフェースでございます。
人工知能(AI)と認識していただければ問題無いかと》
そういって、手のひら大の妖精さんはみんなのほうに向かって
お辞儀をする・・・
『「「・・・」」』
開いた口を塞ぐには、どうしたら・・・いいのかな・・・
ですよねぇ、驚きますよねぇ。
《何か反応して下さいませんと・・・
ワタクシ、如何したら良いのでしょうか?》
と、妖精さんはコテン、と首を傾げる。
か、かわいい・・・
この子は全てが青いな・・・
髪の毛、目、服、そして羽・・・
羽なんてモルフォ蝶みたいな綺麗な藍で、
しかも半透明だし。
服は、青のワンピースで、黒い線で模様が・・・
蜘蛛の巣みたいな・・・ネット繋がりってことかよ・・・
まさにケルト神話とかに出てくる妖精!って感じだな。
《えー、クロス様?
何か行いたいことがあったのではないでしょうか?》
と、妖精さんはこちらを向いて、またまたコテン、と首を傾げる。
か、かわいい・・・
じゃ、なくて。
「あー、えーっと、そうだった
俺の称号にある"十字に愛されし者"って、いったい何なの?」
《"十字に愛されし者"
その魂の持ち主が直接たくさんの"十字"に関わった事のあるものに
与えられる称号だそうです。
クロス様はこれまでに、
十文字、十、ユニコーンの十字架のネックレス、
ペガサスの十字架のネックレス、クロスワールド、
クロス、クルクス、スタヴロス、クルクス家紋、スタヴロス家紋、
スヴァスティカ、ラウブル
といった、"十字"に関するものとの関わりが存在しております。
この称号は、10個の"十字"に関するものと関わり逢う事で、
付与されるそうですね。
そして、関わり逢いとなった自分以外のモノの恩恵を受けることが
できるようになる。
といった称号のようですね》
説明と一緒に、眼前にウィンドウが出てきた・・・
スマホみたいな感じだな・・・
Si○iとSafa○iみたいな・・・
「「チートじゃん(ね)」」
「十文字とかクロスとか、直接的な奴はわかるけど、
クルクスとかスタヴロスとかどんな意味があるの?」
《クルクス、ラテン語で十字架の意。
スタヴロス、ギリシャ語で十字架の意。
家紋に関しては、それぞれ十字の意匠が施されているようです。
スヴァスティカ、十字架の種類。
ラウブル、十字架の種類。
となっています》
「え、皆の名前が、十字架に関係してるってこと!?」
「そんなバカな話が・・・」
《事実ですね》
「ありえん・・・」
「ところで、ラウブルって、ヨミの名前でよかったの?」
「あら、言ってなかった・・・かしら?
そうよ、ヨミ・ラウブルが私の名前」
「言ってなかったよー・・・
自己紹介、"・・・ヨミ"としか言ってくれなかったし」
「あー、あの時は、ごめんなさい」
と頭を下げるヨミ。
俺の隣に居るので、その勢いでヨミの匂いが・・・
いい匂い・・・って俺はなにしてんだ!
「ああうん、もう気にしてないよ!」
やべ―、変なこと考えたって知られたら首落とされちゃうわ・・・
「なんか・・・変なこと考えてない??」
「エ!?ナ、ナニモカンガエテナイヨ!?
そ、それよりヨミがラウブルって名前なら、
魔王の愛ってのも、
ヨミとかかわったからついたってことだよね!!
・・・あっ!!!!!」
「あ、アンタなんて好きじゃないんだからぁぁぁああああああ!」
「ギャブッハ!!!!!!」
《『「あ~あ」』》
三人とも、何やってんだかという感じで、
お手上げの格好で首を振っている。
《あ、魔王の愛が、
魔王の愛に変化しました》
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ヨミちゃん、ギャグキャラになりそうな予感・・・




