6. 御師様
「・・・・・・え?なんだって?」
「"あぶらかたぶら"と、唱えるそうです」
「"あぶら・・・かたぶら"?」
「ええ、"あぶらかたぶら"と」
・・・わかったけど・・・えーー?
・・・まぁ、やるしかないのか。
獣道の前に行き、深呼吸をする。
よし。
「えっと、"あぶらかたぶら"」
すると目の前の光景ががらりと変わった。
馬車でも通れるほどの道が出現したのだった。
『これは・・・さすが御師様と言われる方ですね』
「そうだな」
『では主様、私にお乗りくださいませ」
「おう、わかった。
って、乗ってきた馬車はどうするんだ」
『あぁ、それでしたら問題ないでしょう』
そういいつつ、馬車を引いてきた馬に向かい
『貴方、私についてきなさい』
そういわれた馬は
「ヒヒーン」
とひと鳴きし、こちらに移動し始めた。
「セブンの言うこと、聞くのか・・・」
『ユニコーンは魔物といえど馬型ですので、
問題ありません』
「あ、そ、そういうもんなのね・・・」
『そうですね。
では出発しますので、お気を付けくださいませ』
「りょーかーい」
セブンが歩き始め、その後ろには馬車を引いた馬もついてくる
暫く進んでいると体に異変が・・・
・・・乗馬したこと無いからバランス取り辛いんだけど・・・
うおー、尻が・・・足が・・・腕が・・・
筋肉痛やばいぞコレェ・・・
とか思っていると
『主様、二番目の結界に到着しました』
「え、二番目?
幾つかあるの?この結界」
『はい、全部で3つの結界があると伺っています』
「まじかー。
で、ここでは何するの?」
『はい、ここでは、
そちらにある大きい岩と小さい岩の間に立って、
"ちちんぷいぷい"と唱えるそうです』
「あー、半ば予想はついてたけど・・・
三番目は"びびでばびでぶー"とかか?」
『いえ、"ひらけごま"です』
「そっちかよ!!」
『主様はこの呪文に心当たりがおありなのですね』
「そりゃまあ、元の世界の世界的に有名な会社のアニメで使われた奴だしなぁ。
最近の子は知らないかもしれないけどね」
『なるほど元の世界の。
ということは、御師様は転生者である可能性が?』
「その可能性はあるなぁ。
基本的テンプレな世界って事だったし、
転移者って可能性も捨てきれないけど。
まぁ、考えても仕方ないし、
直接会って確かめないと」
『そうですね』
「よし、"ちちんぷいぷい"!」
そう唱えると、
目の前に黒い渦ができ、徐々に広がっていった。
馬車が通れるくらいまで広がり続けると、
黒かったその渦が晴れて、
向こう側の景色が見えだした。
「え、なんだ?鳥居?」
向こうの景色・・・というか、大きい岩の形が変わったというか、
おそらく、本当の姿がこれなのだろう。
そこには、真っ白な鳥居が現れていた。
『まさかこのように出現するとは思っていませんでしたが、
その門の前で、"ひらけごま"ということで、
御師様のいる場所へ繋がるそうです』
「なるほどね。
日本人な感じがもの凄いな
まぁいいや、いこうか。
"ひらけごま"!」
すると、足元に魔方陣が出現し、俺達を光が包み込んだ。
っておい、鳥居になんかしてるんじゃないのかよ!
光が晴れるとそこには、
「ここは・・・」
『先ほどのは、転移魔術でしょうか。
この鳥居を起点にしてここと先ほどの場所を繋げているみたいですね』
目の前にはあの白い鳥居がある。
そして周りが少し開けていた。
鳥居の右手側に木造の家が、
鳥居の正面、家の奥には池があるのが見える。
ここが御師様の家ということであっているのだろう。
家のほうに、人影が見える。
そしてこっちをむいて手招きをしていた。
「いこうか」
『はい、主様』
さすがにセブンに乗ったままは失礼だしなっと。
「よっと」
『あっ』
「ん?どうした?」
『い、いえ、何でもありません』
主様が降りてしまったので残念だったとは言えないセブンだった。
「そっか? じゃ、行くぞ」
そういって俺は歩き出した。
慣れない乗馬でダメージを負った体を、
おくびにも出さぬように注意しながら。
つ、つらい・・・
それにしても、御師様らしき人、
遠目から見てもすんごい美人なんですけど。
祝福の女神様に勝るとも劣らないような。
女神様がサーヴァ○トやってるセ○バーの髪をおろして
手乗りタ○ガー並みの身長にした俺っこブロンドロリならば、
御師様はブリリアントでエクセレント!な美○様がそのまま成長したらこんな感じ?
を体現してる気がする。ハイレグアーマーとか着てたらヤバそう。
そんなくだらないことを考えながら歩き、御師様の元へ到着した。
「初めまして、私はクロス・クルクス・スタヴロスと言います。
シュラインとマリアンの息子です。
貴方が、シルヴィア・スヴァスティカさんですか?」
「確かにワシがシルヴィア・スヴァスティカじゃ。
よう来た。とりあえずそこに座りなさい。
ふむ、あの二人から息子を頼むといわれていたが、
まだ赤ちゃんのはずではないのかの?」
おおおおっ!!! なんと!綺麗なBBAで来ましたか!
っと、ここで暴走するわけにはいかない!
「はい、私はまだ生まれて3日なのですが、
どうも女神様から頂いたスキルの影響でここまで成長してしまったようです」
「何とも不思議な事もあるものじゃ。
ここまで長く生きてきたが、
ここまで不思議な事などそうそう起らんな」
「私も、とても驚いています。
しかもこの姿まで成長した後は、
スキルも発動しなくなりました」
「なるほどのぅ。
おぬしのステータス、見せてもらったがの、
なかなか突っ込みどころしか見当たらんの。
面白いことじゃ。
恐らく成長促進のスキルが発動したのじゃろ?
そのスキルは本来植木等の成長を促進するために、
魔道具に付与するスキルじゃ。
人が獲得するなど聞いたこともないが。
恐らくその姿までが、お主の"成長"する姿だということじゃろう。
そこから先は恐らく"老化"、もしくは"衰退"と表現すべきかの?
植木などに使ってもそうじゃが、"枯れる"まではスキルも発動せんのじゃよ。
恐らくはそういうことじゃな」
「なるほど、そんなことが・・・」
「まぁ、そんなところじゃ。
ところで、お前さんを引率してくる予定じゃった奴がいると
二人から聞いておったのじゃが、どうしたのじゃ?
確か・・・ブラックバスとかいったかの?
あとそのユニコーンは・・・そいつも普通じゃないのぅ」
「あー、引率していたのはブルータスという人ですよ。
その人は・・・」
「フム、何かあったようじゃの?
ブルータスじゃったか。
まぁよいか。で、何があったのじゃ?」
「えぇ、彼に、ちょうどここに来る前の最初の結界の前で襲われました
そこをこのユニコーン、セブンに助けられました」
「なんと、十字教の手先じゃったか。
あれほど自分たちに近づく者には注意せいと忠告したのじゃがのぅ」
「十字教・・・ですか?」
「何も聞いておらんのか・・・全く。
全部ワシに押し付けおったなあ奴らは」
「あー、なんか、すいません」
「ああいや、よいよい、お主が悪い訳ではないじゃろう。
謝らんでよいぞ。十字教じゃったな。
お主は十字教について何をしっておる?」
「えーっと、この世界の唯一の宗教である事位しか・・・」
「なるほどの。この世界の歴史は知っておるか?」
「いえ、全く・・・まだ調べる時間がなくて・・・」
「そうか。まぁ世界の詳しい歴史については、
ここで修業している合間にでも調べられるじゃろ。
面白いスキルも持っておるようじゃしの?」
「あー、御師様、鑑定スキルレベル5ですか・・・」
「ふふん。
伊達に長く生きておらんよ。
お主もワシのステータスを見てみるがよい。
ワシは隠蔽スキルも持っておらんからの」
「で、では失礼します」
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名前【大賢者】
シルヴィア・スヴァスティカ 【大賢者】
種族
半人族 森エルフと翼人族のハーフ
職業
大賢者
Lv.100
年齢
246
HP 4350/4250 [+300]
MP 4894/4894 [+300]
力 2328 [+300](6950/20650)
防 2520[+300](17250/25200)
魔 3830[+300](49450/63150)
抵 4016 [+300](26500/72450)
器 2489 [+300](9750/33750)
敏 3555 [+300](67833/68450)
知 4646 [+300](78000/90450)
魅 373[+300]
運 342[+300]
職業スキル
魔素変換[5]R5
スキル
鑑定[5]R2
剣技[5]R1
スラッシュ
連続突
連続斬
剣二刀装備可
短剣技[5]R1
連続突
連続斬
短剣二刀装備可
鞭技[5]R2
強打
空震
巻き付け
2鞭装備可
投擲技[5]R2
連続投擲
同時投擲
解体技[5]R2
弓技[5]R1
ショット
同時射撃
火魔法[6]R3
水魔法[6]R3
風魔法[6]R3
土魔法[6]R3
雷魔法[6]R3
光魔法[6]R5
闇魔法[6]R5
召喚魔法[6]R5
空間魔法[6]R5
転移魔法[6]R5
鷹の目[5]R2
空間感知[5]R3
魔力感知[5]R3
職業アビリティ
MP消費半減
魔法スキルレベル6開放
不老長寿
アビリティ
クールタイム減少(1/5)R3
剣スキル威力上昇R2
命中率上昇×2R3
投擲速度上昇R3
解体技術上昇R3
解体速度上昇R3
射撃速度上昇R2
魔力操作R3
固有アビリティ
全魔法強化R5
(威力,効果,範囲が1~2倍)
対魔物特攻極R5
称号
マジックマスターR5
全ての魔法を極めた者の証。
全ステータス+100
固有アビリティ
全魔法強化(威力,効果,範囲が1~2倍)
大賢者R5
全ての魔法職業を極めたものの証。
全ステータス+100
固有職業 大賢者を取得
魔物殺し極R5
一定量の全種類の魔物を滅した者の証
全ステータス +100
固有アビリティ
対魔物特攻極
全ての魔物に対する攻撃力が10倍になる。
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「『す、すごい』」
「いやいや、ワシのは長く生きた結果じゃよ。
お主もその能力じゃったらワシよりも速く大賢者になれそうじゃの?
教え甲斐がありそうじゃ」
「よ、よろしくお願いします!」
「任されたのじゃ。
それでじゃ、十字教の話じゃったな」
「あ、はい」
「お主等が狙われる原因は、
お主の両親が魔王騒動を解決してしまったからじゃ」
「魔王ですか!?」
「そうじゃ、8年くらい前じゃったかの。
魔王と呼ばれる者が現れた。
その噂を嗅ぎ付け、行動を起こしたのが十字教の幹部たちじゃった。
そ奴等のとった行動とは、
魔王は人を滅ぼそうとしておるという噂を広めること。
噂が広がった後は、魔物使いを集め「魔王軍」を名乗らせ、
各地で悪事を働かせたのじゃ」
「ということは、魔王自体はもしかして」
「そうじゃ魔王と呼ばれた者がしたことは、
自分を襲ってくる者を倒しただけじゃ。
後はすべて、十字教の一部の幹部のやったことじゃ」
「魔王を隠れ蓑に悪事を働いて私腹を肥やしていた連中が、
魔王を討伐した両親に恨みを持った。
ということですか」
「大体その通りじゃ。
しかし、一つ間違っておる」
「え?」
「魔王は討伐されてなぞ居らんよ」
『「は?」』
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なんと両親は逆恨みで狙われておりました。
十字教とクロスはどう関わってくるのか・・・。
そして魔王とは・・・