1. プロローグ -1-
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気がつくとそこは、一面真っ白な世界だった。
「どこだ?ここ」
何なんだいったい。
え、何もないんだけど。
夢?あ、夢か。夢しかないよなー。うん。
何もない世界の夢とか・・・
なんて寂しい夢なのよ俺!どんだけだ!
ここでやること無さそーだし、
夢なら夢だと証明して見せようじゃぁないか!
昔ながらのあの方法で!
よーし!いざ、頬をつねってみよう!
と、動こうとしたのだが。
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体に激痛が走った。
「ぅおっ、いってぇー。え、なんなん?
頬つねる必要ないとか昔ながらのテンプレできないじゃん・・・ってそうじゃねぇよ」
え?えー?コレ夢だよね?え、夢じゃないの?
すっげー痛いんだけど?
コレあれじゃね、交通事故で全身骨折!
ってくらい痛いんだけど。
交通事故あったことないけど。
「お、頭は動かせそう」
頭は痛みを我慢できる程度だったので、
自分の体を見ようと頭を下げてみると
「ふぁっ!?」
俺は上下全てが赤黒い色をした服を着ていた。
服といっても、なぜかスキーウェアを着ているのだが。
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「えー?どーなってんのコレ。
え、この色って血?血まみれ??
そしてなぜにスキーウェアなん???」
とりあえず落ち着かなきゃな、落ち着かなきゃ.
えっと、そうだ、深呼吸だ、うん。
ひっひっふー、ひっひっふー。
よし、落ち着いた。
俺の名前は十文字 十。
うん、大丈夫だ。問題ない。
「いやいや問題大有りだぞおい」
「え! 誰ぞ!?」
「俺か?俺は祝福の女神だ!!」
「は?なんて?」
「俺は祝福の女神だ!!」
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聞き間違いでない・・・と。
なるほど!!
「テンプレ?」
「そうだな。お前の思ってるとおりだ」
「えー、マジ?」
「うん。マジマジ」
てーことはよ?
コレ、異世界転生しちゃいます的な話です?
「そうだな」
コレは俺、死んじゃった的な?
「そうだな」
ふむふむ。
え、まじ?
「マジだな」
女神様が心の声も読み取れるのもテンプレか。
「そーだな」
え、転生する世界ってどんな世界なんだろ。
「テンプレだな。つまりは剣と魔法の世界だ。
ほとんどテンプレだぞ」
なんということでしょう!
ロマンしかないじゃないですかぁ!
となればあんなことやこんなことも・・・むふっ
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「・・・続き話してもいいか?」
喜んでっ! 敬礼! ビシッ!
「ふつーに話せや」
「あ、はい」
「もう痛み感じねぇだろ?とりあえず座れ」
と女神様が言った瞬間目の前に椅子とテーブルが出現した。
ヒューっ! さっすが女神様っ!
「うるせぇ!とっとと座れ!」
「あ、はい」
うん、確かに痛くなくなってる。なんでや!
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「で、お前どこまで覚えてる?」
「え、どこまでって?」
「ここで目が覚める前の最後の記憶は?ってこと」
「あー。えー?っとあれ、なにしてたっけ?」
「やっぱ覚えてねーかー」
「いや、確かスキーのツアーに参加するって・・・
なるほどだからスキーウェアなのか。
ってことはツアー先で事故った?」
「そーゆーことだな。
具体的にゆーと、雪崩に巻き込まれて、
山の神木に激突してぐちゃっ!
で即死だな」
「おうふ」
具体的過ぎるよ女神様・・・
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ぐちゃって!ぐちゃって!俺そんな死に方したの?
交通事故にあったみたいだと思ったのってこれかー。
え、神木? なにそれ。神様ごめんなさい。
ところで神木がなかったらどーなってたんかなぁ。
「そりゃお前、そこらへんの木々にぶつかりまくって、
全身複雑骨折の上雪に埋もれて窒息死」
「ヒェッ」
それってやばない?
チョー苦しんでるよねそれ。
あー、即死でよかった。神木様ありがとうございます。
今度御参りに行きます。
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あ、俺もう死んでたわー。
しかも転生するの異世界じゃーん。
神木様ごめんなさい。
お礼参り逝けそうにないっす。
え、それ違う意味だって?
うん、知ってる。
・・・
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おっといかんいかん、
自分の世界に入ってしまったぜ。
「ぐぅ」
って
「寝てんのかよ!」
いや、悪いの俺だけど。
妄想してたの俺だけど。
「ふぇ?
あ゛ー、やっと終わった?
俺も暇じゃないんだけど。
話の続き、いい?」
「あ、はい」
ごめんなさい。
ツヅキオナシャス・・・
ひゃーヤベーコエー、チョーコエー。
女神様威圧間半端ないス。
あ、すいません。
もう邪魔しないです。
ごめんなさい。
あ、ちょ、そんな近づいてこないで
あ、あ、あっーーーーーーーーーーー
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「つー訳で、なんでお前がここに呼ばれたかだ。
まぁさっきも話したとおり、
お前さんに異世界転生して貰う為なんだが、
お前の使えるポイントは残り239ポイントだ。
このポイントの中でテンプレーなチートスキルの選択やら
お前の願いを叶えることができる」
「ふぁっ?」
ポイント?
239ポイントってどこから来たの?
え、教えて!女神様先生!!
さすがに訳わかんない。
「あ゛ーん?」
ヒェッ
「すいませんでしたぁ!」
もう、ホント、真面目にやります。
「テメー今まで真面目じゃなかったってかあ゛ーん?」
ピッ!?
「テテテ、テンプレキター!!
ってなって調子乗りすぎてましたホントすいませんでしたぁ!!!」
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「俺がちゃんと説明しようとしてやってんのにふざけやがって」
「すいませんでしたぁ!」
と謝り顔を上げると、
女神様と目が合う。
女神様超睨んでらっしゃった。
あ、女神様超かわいいってちょっ
あっーーーーーーーーーーーーー pt2
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「すいませんでした・・・
お願いですからもう心読まないで下さい・・・」
「あははははははははっ!
お前、よりによって最初に願うことが心読まないでって!
あははははははははっ!
あー、久しぶりに笑ったわー。お前面白いなー。
ま、願われたからには、叶えねーとな」
『クロスの願いを受理しました。残りポイントは230ポイントです』
え、あれー? なんぞ。
「よーし、これでお前の心を読めなくなったぞ。
んじゃー説明再開すっから。
あー、今ちょうど消費したこのポイントの説明からね。
このポイントな。
簡単にいうと、お前さんが死ぬ時に救った人間の、
現在年齢から人間の寿命のはずの100歳までの差の合計、
割ることの10がお前さんのポイントってことになってる。
要するにお前さんは、
ここに来る直前に2740年分の人間の寿命を延ばしたってことだな
理解できたか?」
「すんごいあっさり説明流してるけど、理解はした。
でも待って。え、なにそれまじで? 俺なにしたの?」
「お前さんが何で雪崩に巻き込まれたか覚えてるか?」
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少しの間思い出そうとしてみたが、
まったく思い出せんかった。
「まったくわからん」
「んじゃそっからだな。
まずお前さんは、スキーツアーに参加した。
これはいいな?」
「うん」
「次にお前さんはツアーの最終日にネックレスを無くした。
どこで無くしてしまったかわからなかったお前は、
スキー場を探し回るんだが、まぁ、見つかることはなく、
天候が荒れてきたにもかかわらず
ネックレスを探してたお前さんは吹雪に飲まれた。
疲れきってたお前さんはそこで遭難してしまう」
「なるほど。
だから今俺はあのネックレスを身に着けていないのか。」
「そーゆーことだ。
でだ。
お前は遭難した挙句に雪崩に巻き込まれた。
そして、お前が遭難したからな。
ツアーバスは定刻に発車できなかった訳だ」
「ふむ、大体わかったぞ。
俺が遭難せずに予定通りにバスが出てたらその雪崩にバスが巻き込まれて・・・
ってところか」
「大正解だ。
つー訳で。
ツアー客総勢40名、それに運転手で41名。
お前を抜いて40名。
お前さんは間接的にだが命を救ったんだよ。
で、ポイントの計算なんだが、
最大寿命として100歳で合計4000歳。
んで、その40人の合計年齢が1260歳。
4000引くことの1260で2740で、10で割って274。
って感じで計算されて、
274ポイントがお前さんに与えられた。
正直ここまで付与ポイント多いのは、
お前さんがはじめてだよ」
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「なるほど。なんかすごいことになってた。
俺ナイスじゃん!人知れず人命救助してるとか。
みんな褒めてくれっかなー。死んでるけど」
「うん、残念ながらお前のおかげで助かったってのには誰も気づいてねーな
むしろ逆なのがほとんど」
「あ、それ言っちゃうの?」
ひどい。
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さてひどいのはどっちなのやら
この調子でチート入手までたどりつけるのかー?
プロローグは次で終わる!ハズ・・・!
ちなみに残りポイントは224ポイント!