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【08-07】室内管理AI

 ホテルまでの道のりはただ車内で座っているだけでいい。車窓から見える景色は大都会から始まり街並みが徐々に変わっていく。それを眺めながら拓郎にさっき撮った写真を送り付けた。


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 瑠太「ニューヨークなう(画像)」

 拓郎「なうってなんだよ。ふるすぎ。おやじたちでももう言わないから。これ空港か?外国人が多いんだな」

 瑠太「草生えた。そりゃあ、アメリカだから」

 拓郎「お前大丈夫か? つらいことあるなら話聞くぞ」


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 暇すぎて昔使かわれていたというスラング一覧っていうサイト見ながら書いてみたけど、なぜか拓郎に心配されてしまった。


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 瑠太「大丈夫だよ。なんか最新の情報わかったら連絡するね」

 拓郎「おう。帰ってくるの楽しみにしてる」


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 よく考えればヘリでも飛行機でもただ乗っているだけだった。なんか旅行みたいな感覚になって気を引き締めなおそうと思うが、引き締める必要性すら見つからなかった。

 すでに時間的には夜だ。日本では。

 ニューヨークは日本との時差が十四時間だったっけか。フライトが十二時間と少しとかだから。こっちの時間はまだ早朝。なんてこった。機内で寝たとは言え少し眠い。

 僕はデバイスを確認すると既にニューヨークの時刻に変わっている。しかも壁紙がちょっとアメリカンだ。


「替えておきました。形から入るのもよろしいかと」


 形から入って何をするんだよ。黒川の進歩がすごいけど暴走しているような。それにしても、黒川の進歩が異常だ。AIの学習能力の範囲を超えている。断言できる。悪影響が出なければいいんだけど。そもそもどこから学習したんだこんなこと。一度矢澤コーチに相談したほうがいいかな。でも、今僕以外はするべき仕事で大変だろうから。タイミングを計った方がいいかな。

 僕は車の後方座席。この車もワゴン車で僕たち六人に加えて空港で合流した日本人の人。それと運転手で八人乗りだ。それに荷物が六人分と過重な気がするけど、最新の車は余裕の走行をしてくれる。じいちゃん家にあった小型のトラックとは大違いだ。


 車は今も発展を続けている産業の一つで年々すごい機能が追加され続けている。今ではオートドライブは当たり前で事故率は一桁台に迫らんとしていると毎年ニュースで言っている。車速も年々上がっている。オートドライブ機能は優秀ではあるが、それを使えない地域も存在することから事故率は減らないのだ。僕が住んでいた田舎でも使わなかった。最新の情報を元にルートが設定されるオートドライブは最新の情報を得られなければ無用の長物というわけだ。




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 車で大体1時間弱でホテルに着いた。

 車を降りて、車の後ろに置いてあった荷物を個々人で受け取ってホテルに入る。

 ホテルの中は一般的なホテルっていうのかな。入ると玄関的な空間が存在していて左右にカウンターがある。左側がチェックインカウンターみたいでそこでチェックインをする。今の時代安いホテルだと全自動なんてところも多いけどこのホテルは人が立っている。もちろん作業はロボットが行っているが説明等は人間がしている。ロボットやAIが積まれた機械での作業は現代において当たり前のものではあるが、それに嫌悪感を抱く人もすくなくない。特に、昔から続く富豪一家などは人間によるサービスがないだけで宿泊をやめることもあるって以前TVでやっていた。なんでも、機械での対応はその他大勢と同じ扱いをされているように感じるからだとか。僕としては人間がいないほうがスムーズに手続きが出来ていいと思うけど。


 反対側のカウンターはホテル内の案内だとか、ホテル周辺の地理とかあとはレストランの予約なんかをしてくれるみたいだ。インフォメーションカウンターって言えばいいのかな。何か困ったことがあればそのカウンターに話をすればいいよと村山さんが教えてくれた。

 チェックインは矢澤コーチと現地に先乗りしていたスタッフの本庄(ほんじょう)(ゆう)がしてくれた。


「これ。堤君のカギね」


 本庄さんから長方形の棒を渡される。そこには部屋番号が書かれている。これを鍵の部分にかざせばロックが解除されるのだ。


「ありがとうございます」


 僕は本庄さんにお礼を言って受け取る。順にカギを渡していくけどこれみんな一人につき部屋一つなのかな。全員カギを渡されているけど。全員分のカギが行き渡ると矢澤コーチが全員を見て説明する。


「部屋に着いたら荷物を置いて六階にある多目的室に集まって欲しい。五号室を会議室として押さえられているみたいだ。そこでこれからの流れを説明しよう。それでいいんですよね?」

「ええ」


 本庄さんが肯定した。

 僕は頷いて了解の意志を示す。このホテルの間取りが分からないから急いで行動したほうがよさそうだ。


「では、解散。急がなくていいからな」


 各々が行動を開始する。矢澤コーチと本条さんはその場に残って話をしているが他はみんなエレベーターの方へゴロゴロとキャスターで転がしながら歩いていく。僕はチェックインしたカウンターとは反対側のインフォメーションカウンターの横にホテル内の簡単な地図が掛けられているのを見つけた。

 三階までの地図だったがそれをデバイスのカメラで撮影してから部屋に向かった。




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 僕の部屋は十三階だ。聞いていた限りみんなバラバラな感じだったから隣が誰かの部屋ってことはない。

 部屋に入ったら入り口近くにあった両開きのクローゼットを空けて下の方の空いたスペースにスーツケースを置いた。クローゼットの中にはハンガーはもちろん、複数種類のタオルが置かれていた。

 荷物をしまった僕は取り敢えず部屋の中をざっと見渡してみる。部屋はすごく広かった。ベッドも二つあったし。本当にこの部屋を一人で使っていいのかと不安になってしまう。

 部屋を見てからバスルームの方を覗く。浴槽はなく、シャワールームとトイレがあっておおきな洗面台もある。小さいけど洗濯機も置かれていた。

 アメニティも完備されているのを確認した。

 僕が洗面台で手を洗っていると黒川の声がイヤホンから聞こえてきた。イヤホンをしていたことを忘れてた。


「若。どうやらこの部屋はAIによるコントロールがされているようです」


 AIによる部屋のコントロール。これは現代において一般的な技術ではある。しかし、これを利用している人はそこまで多くない。それでも、最新のマンションなんかはAIが使われているので少ないわけでもないが。

 AIのコントロールは程度で別けられるが、簡単なものだと音声による家具の制御を主にしている。完全にコントロールをすると人が部屋にいれば自動で部屋の温度をその人に合わせるだけでなく、その人の体温や動きを見てその人の調子を見抜く。何か異常があれば音声による報告がされる。花粉が飛ぶ季節になれば当然のように空気を清浄して体温が普段より高ければ音声による報告をする。一週間、一か月の献立を決めておけばAIが勝手に冷蔵庫の中身を確認して足りない材料を適宜注文。時間をあらかじめ決めておけばその時間に合わせて調理するなんてシステムもある。

 さすがに最後の料理するAIは一般の人が持てるものではないが、家に帰宅したときにお風呂を沸かすなんてシステムもある。


「今も動いてるの?」


 AIが部屋をコントロールしているような感じはしないけど。部屋に入ったとき明かりが付かなかったし今もバスルームは少し暗い。


「いえ。今は動いておりません。部屋のキーをホルダーに差さなければ電気が付かないのでしょう」

「それもそうか」


 僕は手を洗面台の横に置いてあったタオルで拭って、そのタオルを洗面台の横にあるタオルハンガーに掛けた。

 ポケットに入れた部屋のキーを入り口の扉の近くにあるホルダーに差し込むと部屋に明かりが付いて音が聞こえてきた。


『当ホテルをご利用いただきありがとうございます。私はこの部屋を管理する室内管理AI一三一九です。よろしくお願いします。堤様』


 堤様だって。この部屋は僕の名前で取られてるんだね。一三一九っていうのはこの部屋の番号だ。


「これって黒川の方でコントロールできたりしない?」


 このシステムのすごいところが自身の持つデバイスに搭載されたAIで制御することもできるということ。外出中にAIに洗濯を指示すれば帰宅したタイミングで洗濯と乾燥が終わってるみたいなことも出来る。個人用のデバイスに高性能AIが積んであるって人も少ないけどね。


「できます。しますか?」

「うん。お願い」


『AI黒川による外部コントロール要請を確認。受諾しますか?』

「おねがい」

『かしこまりました。堤様がご利用の間のみAI黒川の外部コントロールを受諾します。ホテルの案内等もできますので何かあれば気軽にお声掛けください』

「室内管理AIを通して出来ることはすべて私が出来ますので何かあれば私に言ってください」

「わかった。ありがと。黒川」

「ああ。多目的室に行かないといけないんだっけか。急ごう」


 僕はすっかり忘れていた。急いで部屋を出ようとしたところで黒川の声が掛かる。


「若。鍵を忘れています」

「おおっと。危うく締め出されるところだった」


 僕はホルダーに入ったキーを抜くと部屋を出た。多目的室は六階か。





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