表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/140

【06-08】合宿前日⑤

 昼食を食べ終えた僕たちは水を飲みながら食休みをしていた。

 水はセルフサービスになっていてカウンターの隣に二台置かれている。他にも奥のソファーがある方にはドリンクバーがある。パッと見では、ピッチャーが複数とコーヒーメーカーが見える。今日は使われていないみたいで、置かれているのはお茶が入ったピッチャーだけだ。明日からはお茶だけでなくジュースとか清涼飲料も置かれるようになると宮崎さんが言っていた。

 

 「そろそろ行きましょうか」

 

 宮崎さんがみんなの顔を見渡して言った。

 僕たちも反対する理由もないのでそれに頷く。僕たちはテーブルに置いてあったトレーをそれぞれで片し、食堂を出た。

 

 

 

-------

 

 

 

 食堂を出た後僕たちはエレベータ―に乗って三階に来ていた。向かう先はエレベーターを降りて左側にあるVRルーム。サーバールームの上だ。

 僕は、「接続の確認って何やるのか」だとか、ここのVRルームは寮にあるVRルームと違うのかだとか、いろいろと聞いてみたい事があったが、別に今聞かなくてもいいなと思って聞かずに宮崎さんやイットク先輩たちに付いて行く。

 

 僕たちは短い廊下を歩いてVRルームの扉の前までたどり着いた。両開きの大き目なドアが閉じられている。それを宮崎さんが空けていく。

 後ろから見えるVRルームは寮にあるVRルームと同じようにヘッドマウントデバイスが等間隔で置かれていた。ただ置かれているヘッドマウントデバイスの形状は少し違っている。こっちの方が高性能なんだろうか。数はどれくらいだろうか。百はないと思う。

 

 「中に入って」

 

 ドアを開けた宮崎さんがそう言って中に入っていく。僕たちもそれに続いていく。

 中には数人のスタッフと思われる人が既に居て、ドアの正面にある大きなモニターの前で何やら話している。彼らに近づいていていく宮崎さんに彼らが気づくと声を掛けてきた。

 

 「宮崎さん。そっちの作業は終わったんですか?」

 

 声を掛けた男の人に宮崎さんが答えていく。

 

 「そうなんですよ」

 

 その後も何やら話している。僕はそのやり取りを尻目に部屋の観察を続けることにした。最近はマルチタスク訓練の成果かながら作業が得意になった。そのため聞こえてくる話もなんとなく理解できる。どうやら実験組以外の他の組の人たちは既にVR接続を始めているみたいだ。報告のようだ。それぞれの組の行った作業の内容や進行過程を色々と話していた。

 話は一、二分続き、僕がモニターに映っているも映像が何なのか考えていると話が終わったみたいだ。宮崎さんが僕たちの方を見る。

 

 「話は聞いてましたね。君たちにもあれに参加してもらいます」

 

 宮崎さんはそう言って僕が見ていたモニターを指差した。モニターには先にVR接続した他の組の生徒らしき人たちが映っている。いくつかに分割されているモニタの画面では、ある人はランニングを。ある人は短距離走。ある人は一対一のプレイヤーバーサスプレイヤー。そして、ある人は生産活動をしているみたいだ。他にも集団戦やモニターからではよくわからない行動をしている人たちがいる。

 

 「彼らにはサーバー内での遅延ラグやバグのチェックをしてもらってます。といっても、主にチェックをするのは私たちスタッフ。君たちは私たちの指示した行動をしていてくれればいいので簡単です」

 

 聞く限りでは確かに簡単そうだ。だが僕の視界には若干苦笑気味の佐伯先輩が映っている。宮崎さんが言うほど簡単なものではない可能性も頭の中に置いておきながら、宮崎さんの話の続きを聞いた。

 

 「じゃあ、使うデバイスはどれでもいいから各自準備して」

 

 宮崎さんが言うにはここにあるデバイスはどれを使ってもいいらしい。先輩たちが近くの空いたデバイスに近寄って行ったのを見て、僕も智也も空いているデバイスを探し始める。

 宮崎さん曰く、使い方は寮にあるヘッドマウントデバイスと同じらしい。僕はいつものように中を確認して椅子に座る。この部屋のデバイスの椅子の方が寮のデバイスの椅子よりも柔らかい気がした。僕は右の肘掛をいじり、VRデバイスを接続するためのコードを探す。見つかったコードをVRデバイスに接続して僕はデバイスの外を見た。

 先輩たちも智也も準備ができたみたいだ。僕がそれを確認すると、宮崎さんも確認できたのか僕たちに話し始めた。

 

 「出来たみたいね。なら、これから接続してもらいます。選択するサーバー名は『合同合宿用テストサーバー⑤』です。他の番号と間違えないようにしてくださいね。中で行う行動については実際にサーバーに接続した後にいいます。じゃあ、接続して下さい」

 

 僕は宮崎さんの話を聞いてからデバイス内でVR接続の準備をする。頭にヘッドマウントデバイスを装着していつもの言葉を言う。

 

 「ヘッドマウントデバイス起動。接続開始」

 

 言葉を発した直後、この数か月で毎日のように感じていた意識の暗転が始める。僕はそれに身を委ねた。

 

 

 

-------

 

 

 

 見慣れた真っ白な空間に浮いている。目の前にはサーバー選択用のディスプレイ。

 僕はサーバーを選択する。選択用のディスプレイには同じような名前が並んでいた。僕は何度か目視の確認をしてから『合同合宿用テストサーバー⑤』を選択する。

 数秒後、僕は意識が沈んでいくの感じて目を閉じた。

 

 

 

-------

 

 

 

 次に立っていたのはなんと東京駅の前だった。

 レンガ調のレトロな建物を土台に近代化を繰り返している駅だ。それを後ろに前には昔の名残で残されている曲がりくねった車道が見える。駅前にある広場の向こうには交差点と並び立つビル群が見える。

 しかし、そのどの場所にも人の気配は感じられない。いや、正確に言えば僕たち四人以外の気配を感じられない。

 僕の隣には一見人間そのままの智也がいて、少し離れたところにはイットク先輩らしきキャラクターと佐伯先輩らしきキャラクターが立っているのが見える。二人とも外見は人間のそれに近い。

 イットク先輩はヒューマンの体で、背中から鳥の翼が生えている。天使みたいだ。その背中にはイットク先輩の身長を優に超える長さの槍が装備されていた。全身の金属鎧とイットク先輩の体格を合わせて見ると神兵のように見えなくもない。

 佐伯先輩のキャラに関しては人間にしか見えない。ジッと観察してみても人間にしか見えない。背中に大剣を背負っている。防具に関しては何かの革で作られたであろう物を身に着けていた。

 

 僕が先輩たちの観察をしているとどこからか声が聞こえてきた。

 

 〈聞こえますか?〉

 

 宮崎さんの声だろうか。女の人の声だ。

 僕は周囲を見渡してみるがどこが音の発生源かは分からなかった。僕の隣では智也も同じような周囲を確認していた。

 

 〈聞こえているみたいですね。宮崎です。これから四人にはこちらの指示に従って行動してもらいます〉

 

 僕たちが反応したのがモニターから見えたのだろうか。宮崎さんが話を続けた。

 

 〈まずはそれぞれのキャラクターの操作の確認をしてみてください。ゲーム内と同様に動かすことができますか?〉

 

 僕は首を曲げて自分の体を見てみる。僕の体に蛇が六本尻尾のように生えている。相変わらず尻尾たちは自由気ままな行動をしている。それを見て僕はすこし和む。

 次に僕は尻尾を一本ずつ動かしていく。まずはオンから。操作訓練の時にオンが一番動かしやすかったからだ。順に動かすことができるのを僕は確認する。その後は同時に動かせる本数を増やしていき、最後、六本同時に動かすことができたのを確認してから頭を上げた。

 僕以外の三人は僕よりも早くに動作の確認ができたのか、僕の方を興味深そうに眺めていた。

 

 〈全員の確認ができたみたいですね。どこか問題はありましたか?〉

 

 僕は首を横に振って答える。他三人も同じように動きで返答している。佐伯先輩なんかは手で大きなバツを作っていた。

 

 ≪大丈夫のようですね。それでは次の確認に移ります》

 

 宮崎さんが確認したことを告げた。その後、数秒の間をおいて次の指示が出された。

 

 

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読了後、評価をお願いします。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ