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【04-07】反応訓練開始

 今、僕は反応速度訓練用施設で矢澤コーチと訓練をしている。

 この施設で行われる訓練は多岐にわたる。ここでは、反射ではなく、反応と同時に思考する速度を速くする訓練が行われている施設だ。具体的に言えば、熱せられたフライパンを触って「あつっ!」と言って手を放してしまうしまうような反射の速度を上げる施設ではない。知覚し、行動に出る。これが反射だ。反射の速度を上げる訓練というのは短期的に効果を上げられるものではない。また、自身の思考が入った反射というのは難しい。人が最初から兼ね備えている反射というものは本来自身を守るための機能だ。なので反射速度ではなく反応速度を鍛えた方がいいということことになっている。

 この施設で言う反応というのは、知覚し、思考し、行動に移す。この三つの過程を行う上での速度になる。例でいえば、自転車のブレーキを掛けるときのように自身の走行状況と周囲の状況を知覚し、止まらないといけないと思考し、ブレーキをきるといった行動だ。

 反応速度訓練用施設では、情報を知覚した後に思考する時の速度を上げることを目標としている。反応から思考が排除されれば、それは反射へと至る。しかし、思考がなくなれば一通りの行動しかできなくなる。そのため、思考を排除せずに反射に近い速度を出すことを目指すのだ。そうすることがすべての行動の速度向上につながると考えられている。

 色々と説明が長くなっているが、言い換えれば、ここで言う反応速度とは瞬間的な思考速度と同義ということだ。瞬時に判断するための訓練を行うための施設が反応速度訓練用施設ということになる。

 

 

 

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 今、僕が行っている訓練は瞬間視力を使う訓練だ。まだ訓練を始めたばかりなので思考する必要が少ない訓練から始めている。機械から一色の色の名称が音声で放送されたのを聞き、ディスプレイ型タッチパネル上にランダムに表示される三色の円形からその色をタッチするという訓練だ。音と光でインプットされた情報を瞬間的に処理し、動きとしてアウトプットする。実際に行うことは容易いが、そこに時間という基準をプラスすると話は変わる。人間の平均的な反射速度は零コンマ二秒前後。ここに判断するという思考手順が入ることで時間はさらに増える。コンマ数秒の世界だが、そのコンマ数秒が命取りになることもあるのだ。

 今行っている訓練では反射速度を鍛えることもできるので、続けていくうちに反射速度も上がっていくと予想される。

 

 今日の訓練は只管これともう一つの訓練だけである。

 強化選手の話を聞いてから二日後に連絡が来て、そこから今日で一週間。放課後に一時間この反応訓練を行うことが最初の指示だった。後一週間したらまた新しい訓練を始めるといっていたが、この訓練は日課にするように言われた。

 今は三色のいろでやっているが、これは変更できるようになっている。色ではなく数字、図形等様々な選択肢があり、中には国旗や人の顔なんてものもある。最後の二つは、実際に戦闘をする際に直接役立つらしい。相手がどの国の選手なのか、誰なのかを瞬時に判断できるようにするために使われるらしい。国旗に関しては、国旗を覚えていない選手が強制的にやらされると矢澤コーチが笑いながら言っていた。

 

 始めて一週間だが、平均的なスコアは初日とほとんど変わらない。多少の増減はあるが、誤差の範囲内と言える変化だ。

 今日も訓練に精を出すが精かは今一つだ。続けることに意味があるというので続けているが、中々難しいものがある。

 三十分が過ぎたのをタイマーが知らせてくれる。今僕がいるのは初めて反応速度訓練用施設に来た時に矢澤コーチと一緒に来た四階の訓練室だ。強化選手になった僕の専用として使えるようにしてくれているらしい。本来は、行う訓練後ごとに場所が分かれていて、自分が移動することで違う訓練をしにいく必要がある上に、場合によっては人が多く短時間の訓練しかできない可能性があるらしい。特に放課後は、生徒が多く使っているためその可能性が高いらしい。そう言った事情から、一応強化選手になった僕は時間のロスを最小限にするという名目で専用の訓練室で訓練をすることが許可されたということらしい。

 

 三十分が過ぎたので僕はもう一つの訓練を始める準備をする。二つある訓練を三十分ずつで一時間が僕の日課になる。最初の訓練が終わったので次の訓練に移る必要がある。

 次の訓練はさっきまでの訓練よりも単純だ。僕は訓練用の機械があったステー樹上から降りて、橋に置かれているパソコン型インターフェースで次の訓練を選択する。

 すると、さっきまであった訓練用の機械が動き出し、壁や地面、天井に収納され新しい訓練用の機械が壁や地面、天井から現れた。今回現れたのは大型ディスプレイ型タッチパネルが四枚。さっきの訓練では二枚だったの倍以上の大きさだ。ディスプレイの大きさは四十インチほどだろうか。四枚並んだディプレイの至近に立つ。ディプレイには縁がないため大きな一枚のディスプレイに見える。

 今から行う訓練は、このディスプレイに現れる光点をタッチするだけ。ディプレイが顔の数センチ前になるように立つ。白で黒で表示されているディスプレイに光点が現れたのを見た瞬間に手を伸ばしそれにタッチする。ディプレイのすぐ傍に立っているため端の方は視界の端で捉えるしかない。僕は三十個の光点をタッチすると一セットが終わったことになる。これを三十分間、只管に行う。普段は一つずつだが、極稀に複数の光点が一緒に現れることもあり急な思考が求められることもあるので常に一定の思考を続けなければならないようになっている。

 

 僕は只管腕を動かし訓練をこなしていく。初日には途中で腕が上がらなくなっていたが、一週間の月日が僕の腕を強くした。今では疲労は感じても上がらなくなることはない。毎日筋肉痛でつらいが仕方ないことだ。いずれ慣れるだろうと期待して今日も訓練を続けた。

 

 三十分の腕の訓練じゃなくて、反応訓練を終えた僕はソファに座って休憩する。とりあえず座っていたいのだ。

 二分ほど座っていた僕はパソコン型インターフェースを操作して訓練を終了させる。ステージに出ていた機械たちが一斉に収納されるのを見届けてから僕は訓練室を後にした。

 

 

 

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 寮に戻り、いつもどおりシャワーを浴びてからVRルームに向かう。訓練を始めてからはプレイする時間が減ってはいるが成果としてはあまり変化はない。少し減った程度である。僕は毎度のようにゴブリン討伐の依頼をこなした。

 奇襲と防御でゴブリンを倒し続けた僕は七時を過ぎた辺りで、狩りを一旦やめて、ギルドに報酬をもらいに行く。今回の成果八匹。八百ゴールドを受け取りギルドを後にしてログアウトする。

 

 ログアウトした後は夕食を食べるために食堂に行き、食堂にいた勇人と坪田君と一緒に夕食を食べた。僕が食べている間に食べ終えた二人はすでにVRの世界へ旅立ちに行ったため、食べ終わるころには僕一人になっていた。ここら辺は普通の高校ではないなとありえないなと思うが、先輩たちをみても同じような行動をしている人が多いのでこの学校での当たり前ではあるみたいだ。

 トレーを片した僕は自室で歯を磨き食休みした後、ゴブリン討伐の続きをするべく再びログインした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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