表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/140

【02-11】解体

 訓練所は解体所と同じような施設だった。中に入ると受付があり、そこで何の訓練を受けるのか決めるようだ。僕は受付でどんな訓練を受けることができるのか聞いた。

 

「基本的には職業毎の訓練のみです。ただ、解体等の冒険者になるうえで必要な訓練を受けることもできます」

 

 僕は職業ごとの訓練を受けることはできないが、他の訓練は受けられるようだ。

 

「今から解体の訓練を受けることはできますか?」

「はい。お願いします」

「では、少々お待ちください。係りの者を呼んできます。奥でお待ちください」

 

 受付の人はそう言って、受付の隣にある通路を指した。解体所と同じであれば外につながっているのだろう。僕は言われた通りに奥に進んだ。外に続いているのは正解だったようだ。訓練場か。僕は係りの人が来るのを待つ間、訓練場を見回す。訓練場は解体所の中とは違って、ただ広い空間ではなく、カンフー映画でみる木人のようなものや、案山子のようなものなどいろいろな訓練道具が置かれていた。

 

「おぬしが解体の訓練を志望している人か?」

 

 声をかけてきた人は歴戦の強者のような雰囲気を持ったお爺さんだった。防具を着けて剣も腰に下げている。

 

「はい。よろしくお願いします」

「では、早速始めることにしよう」

 

 そう言ってお爺さんは僕が通ってきた通路に向かった。僕も急いで付いて行く。ここでやらないのだろうか。


「おまえさん、角兎は狩れるな?」

 

 お爺さんに追いついた僕にお爺さんが聞いてくる。


「はい」

「ならばよい」

 

 お爺さんはそう言うと、訓練所の入り口から外に出て行ってしまう。僕も外に出る。

 

「わしはいつも実地で訓練することにしておる」

 

 それだけ言ったお爺さんは北門に向かって歩いていく。僕も付いて行こうとするが、お爺さんの歩行速度が僕の走行速度に近いというよくわからない状態なため、僕は必死についていく。

 

 

 

「おまえさん、遅いのう。もう少し早く歩かんかい」


 北門に着いた息も絶え絶えな僕にお爺さんが言ってきた。少しイラッとしたが我慢する。

 

「これより訓練を始める。まずは角兎を狩ってこい」

 

 僕が狩ってくるらしい。意味のあることだと信じて僕はステータスが半減していることに注意しながら角兎を狩りに行った。

 

 門の近くにいた一匹の角兎に〔気配遮断〕で近づいて、オン、キー、ルーで攻撃する。

 すでに慣れた角兎狩りはすぐに終わる。最初は振り解かれていたオンも今ではあまり振り解かれなくなってきた。ステータスが半減している今でも振り解かれることはない。オンが噛みついた後、すかさず、キーとルーが噛みつく。あとは、角兎が動かなくなるまで待つだけだ。

 

「おぬし、変わった狩り方をするな。それにキメラ種か」

 

 お爺さんが言ってくる。

 

「おぬし、解体用のナイフは持っているか?」

「いえ、持ってません」

「では、これを使え」

 

 お爺さんに一本のナイフを渡された。簡素なナイフだ。ペティナイフよりは少し刃が大きく厚い。持ち手は木で簡単に作られていて、そこに革を巻くことで握りを作っているみたいだ。いや、これは紐かな。

 

「最初に手本を見せる。そのあと同じことをすればよい」

 

 すでに動かなくなった角兎をおじいさんは、できる説明しながら捌いていく。

 

「大体わかったな。次はおぬしの番じゃ」

 

 というお爺さんだが、僕が狩った角兎は既にキレイに解体されて僕のバッグの中だ。また狩ってこいってことか。僕がそのことを伝えようとしたとき、お爺さんの姿がブレた。

 

「よし、こいつでやってみるがいい」

 

 そう言うお爺さんの手にはいつの間にか角兎の両後ろ足が握られていた。足を掴まれ宙ぶらりんな角兎はなんとか逃げようともがく。しかし、次の瞬間、おじいさんの手がブレて、角兎は動かなくなる。僕が驚いているとお爺さんが呆れたように言ってきた。

 

「熟練した冒険者ならだれでもこれぐらいはできるわい。ほれ、やってみい」

 

 お爺さんが角兎を地面に降ろす。僕は誰でもは無理だと思いながら、角兎の解体を始めた。

 

 血抜きから始まり皮を剥いでいく。僕は苦戦しながらも何とか解体を完了した。その出来栄えは、お爺さんの物とは比べ物にならないほど汚かったが仕方ないだろう。狩りをしていくうえで上達すると信じよう。

 

「できたようじゃな。おぬし。ステータスを確認せい。」

 

=======


 名前:tail

 性別:男

 職業:賞金稼ぎ


 レベル:七

 STR:四(上限:四)

 MAG:一(上限:一)

 VIT:八(上限:八)

 AGI:二(上限:二)

 DEX:三(上限:三)

 SP:三

 

 スキル:再生(限定:核がなくなると再生しなくなる。核は一定時間で再生する)

     猛毒(限定:ヒュドラの牙・隠密迷彩蛇の牙)

     隠密(限定:隠密迷彩蛇のみ)

     迷彩(限定:隠密迷彩蛇のみ)


     気配察知

     気配遮断


     解体


=======

 

 ステータスを確認すると〔解体〕スキルが追加されていた。賞金稼ぎギルドに入った僕は訓練所ではスキルを手に入れられないはずだ。どういうことだろう。

 

「〔解体〕スキルだ取得できたようです」

「そうか。無事取得できたか」

 

 僕はこの疑問をおじいさんにぶつけてみる。

 

「僕は訓練場ではスキルを取得できなかったと思うのですがなぜ出来たのでしょう?」

「答えは簡単じゃよ。わしも同業だ」

 

 同業ってことは、賞金稼ぎか。


「お爺さんもしょうき、んぐっ!」

「口に出すでない」


 僕がお爺さんに確認を取ろうとしたら口をお爺さんの手で塞がれた。大きく、顔の感触からしわが感じられるが固い。そんな手で口元を掴まれた。


 でも、これで確認は取れた。お爺さんも賞金稼ぎだったようだ。大先輩である。おそらく同じギルドのNPCであれば教えられるということだろう。他にも条件があるのかもしれない。

 

「おまえさんはまだ入ったばかりか?」

 

 僕は頷いて返す。

 

「ふむ。おぬしを誘ったのは誰じゃ?

「ギルドマスターです」

「マリアか」

 

 お爺さんは困ったように笑う。

 

「今は何のスキルを覚えている?」

「〔解体〕の他に〔気配察知〕と〔気配遮断〕です」

 

 お爺さんは少し考えてから言った。

 

「まだ時間はあるかの?」

 

 僕はディスプレイのメニューを開き、確認する。


「少しならあります」

「少しか…… ならば、明日また訓練場に来い。新しいスキルを教えよう」

 

 なんとスキルを教えてくれるようだ。

 

「お願いします」

「わしの名前はバート = コラールじゃ。受付でわしに呼ばれたといえばよい」

「分かりました」

「では、これで終了じゃ」

 

 そう言ってお爺さん、改め、バートさんは町に帰っていった。解体用ナイフと角兎の素材は僕にくれるようだ。僕はこのまま角兎を狩っていくことにする。

 

 僕は角兎を一匹狩り、何とか解体することができた。解体が終わり周りを見てみるが僕の他に解体している人は見つからない。僕は町に戻ることにした。もういい時間になっていた。町に戻った僕はさっきの雑貨屋に向かった。

 

「こんにちはー」

 

 店に入って挨拶する。

 

「いらっしゃい。ん、あんたか。スライムは買い取ってもらえたか?」

「はい。おかげさまで」

 

 僕のことを店主は覚えてくれていたようだ。

 

「そうか。それで今度はなんだ?」

「角兎の素材を買い取ってもらえないかと思いまして」

「角兎の皮なら買い取るぞ」

 

 買い取ってもらえるようだ。僕は角兎の皮を三枚売った。六十マネーになった。

 

「肉を買い取ってくれるところを知りませんか?」

 

 僕は聞いた。

 

「肉屋に行け」

 

 肉は肉屋。当たり前である。

 

「そうですね。行ってみます。ありがとうございました」

「ああ、何かあればまた来い」

 

 僕は雑貨屋を出て、肉屋に行き、角兎の肉を売った。少し探したが大通りに面した場所に肉屋はあった。肉は四十五マネー。ギルドの依頼と比べれば段違いだ。

 

 やるべきことを終えた僕はログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読了後、評価をお願いします。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ