封印された勇者
――昔々、あるところに勇者がおりました。
勇者とは女神さまに選ばれた者がなる魔王を倒す者の事でした。
勇者は、魔法使い・僧侶・戦士とともに旅をしました。
とても、とても長い旅でした。そして、とても辛い旅でした。
とうとう勇者たちは、魔王の城に着き、魔王と戦ったのでした。
長い、長い死闘の末、勝利したのは勇者たちでした。
そうして、永遠の平和が訪れたのでした。――
しかし、それから200年ほどたったある日、魔王が復活したのだった。
勇者は魔王を倒した後、魔物に封印されたと言われていたため、王は勇者を魔道士に捜させた。
平和ボケした兵士たちでは、下級の魔物しか倒すことはできなかった。
そこで、王は兵士を使い捨てにして勇者を探させた。
王は、国民や兵士よりも自分の命を優先させたのである。
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国の中にいる男性がほとんど居なくなり、女も兵士として召集されるようになった頃。
勇者が見つかった。封印された状態で。
王たちは、封印を解こうとした。しかし、勇者が封印から目覚めることはなかった。
そうして、数日後には生きのっこった人間は魔王たちの奴隷となった。
とうとう勇者が目覚めることはなかった。
それもそのはず。その封印を解けるのは勇者と魔王だけなのだ。
その封印は魔王が死ぬ間際、勇者にかけたものだった。
勇者は封印されることが分かっていて、とどめを刺さなかった。
――生きて帰れば戦争に参加されるかもしれない。
しかし寿命以外では死ねない。ならば、封印されればいい――
そう思ったのだった。
助けた人類を殺すことはしたくなかった。
たとえ、エゴだと言われても逃げることを選択したのだった。
そんな思いがあったため、内側からでも破れるその封印を解くようなまねはしなかったのだ。
世界に1人でも勇者がいた場合、女神には新たな勇者を選ぶことはできないようになっていた。
世界が崩壊するかもしれないからだ。
魔王はそれを知っていた。だから、どう転んでも勇者を殺すことはなかった。
自分が勝っても、負けても封印するつもりだった。
だから、魔王が勇者の想いに気付いても予定どうりに封印したのだった。
勇者はどれだけ称えられ、崇められても慢心することがなかった。
もし、王がその勇者のように慢心することなく兵士を鍛えていたら魔王に対抗できたかもしれない。
何かに依存しているだけでは、何にも勝てないのかもしれない。
人類がそう理解するまでにどれだけの時間が必要なのだろうか――




