予想をストライクというよりプレスした。
本編が進んでるのか脱線してるのか分かんないって…。。。
竜と亜人と精霊のトリプル面子だった。
…吃驚して固まっている私を警戒した様子でピンク色の蛾みたいな精霊のお姉さんが見ている。その柔らかそうな太股には紺と白の一般な狼ーーの獣人の男性の頭が乗っていた。…お二人の関係は……その…ホットな関係ですか?
複数生えた大樹の真ん中に彼等はいて、自分はと言えば大樹の横から三者を眺めている。彼等は皆、一応魔物に分類されるのに武器を構えなかった私こそ大丈夫だろうか?
「彼女は力を借りた人だ。大丈夫だよ、みんな」
そう言って彼等に近付いた白髪少年に中型の白いドラゴンが喉を鳴らしながら顔を刷り寄せた。少年は先にお姉さんに解毒草を渡すと次はドラゴンに解毒草を全て与えていた。ドラゴンがなついた様子で草を頬張る。
ドラゴンの体格の基準は小型でチョ○ボぐらい。中型で象~マイクロバスぐらい。大型は……島サイズらしく、人間には太刀打ちするのはほぼ不可能な存在だ。だから街の人々に身近なのは大人二人乗せられる小型のドラゴンである。馬と併用して向かう先の気候で決めるのが一般的。しかし白色とは珍しい。お祭りでは黄と黒の縦縞とか明るい黄緑や赤一色ってドラゴンが多かった。
「マユリリ、ケインツの容態は?」
「解毒作用が効くのを後は待つだけよ。」
ピンク髪のお姉さんは目を布で覆っていて口元しか見えないが口元だけで美形確定って。頭から生えた触角に布地は多いのに露出過多な服ですか。
「そこの人、名前は?」
『えっ、…名前?、ああ!名前!名前ね!確かにまだ名乗ってなかった』
少年と二人の時は聞くつもりも無かったが、トリプル面子の衝撃に忘れていた。巧い偽名が見つからない。城じゃ名前なんて聞かれない上に大体定形文っ感じで多国の人とは接するので…。
『私は…ア、……アースと申します。狩人見習いです。スゥって呼んで下サイ』
「そう、ありがとう、スゥ。
一目見て分かるだろうけど私達訳有りなの。手を貸してくれたのはありがたいけれど手を引いたほうがいいわ」
妖艶なのに清楚さを感じさせる人外のお姉さんがやんわりしっかり線引きをしてくれたので、私もこれでお役御免らしい。あぁ、助かった。
「僕、ソラタ。今日は巻き込んでしまってごめんなさい。貴女のお陰でケインツが助かります!ありがとう!」
白髪の少年が爽やかな笑顔で握手を求めてきたが、君は私を死なせかけたとの自覚は無いのかね?ん?
日の暮れかけた森に焚き火の炎が目立ち始める。空は濃紺に色を変え、世界の半分は夜の色に染まりゆく。風は木々を抜け、遠くの音を運ぶ。
そう。遠くの音を運ぶのだ…。
「焚き火が見えるぞ」
『!』
知らない男の声に混じって金属音が耳に届く。あれは鎧の音だ。反射的に肩が揺れた。しかし彼等がいる。だから残った理性が自分の足を止めさせた。私以外の面子も緊張した面持ちで息を殺している。
「うぉ~…。ーーーーよく寝た気がすっわ…」
すると気だるげな男のバリトンボイスが加わり、マユのお姉さんの膝から身を起こした獣人が気分悪そうに頭を抱えた。
「新手か?」
「王都の兵士…。出来れば関わりたくないかな」
リーダー格は意外に白髪少年らしく、三人は小声で会話を進める。人影が近付くにつれ私の焦りも強まる。
一秒でも早くここから逃げなきゃ。折角重要な事を思い出したのが無駄になる。
『!!』
「動くな。」
毛皮に覆われた筋肉質な腕が、兵士とは逆方向に駆け出そうとした私の身体を羽交い締めにする。
正直、叫んででも黒の道化師を呼ぼうかと思ったが、獣人の人の理性的な静止の声と精霊のお姉さんの果実のような唇に人差し指が添えられるのを見て、ぐっと恐怖を抑え込む。少年は安心させるよう頷いたが、少年は眼中にない。
彼等が本当に訳ありである事を祈るしか出来ない。情けない話しだ。