出会いの章(3)
久しぶりの投稿です。
翌朝、俺は早速麻美を探そうと街に出かけようとした。
でも先生改め祥さんに止められ、祥さんの勧めで着替え一式を借り着替えた。
まぁ、確かに今の俺の格好は目立つ。
背も街の人達よりかなり高いし、髪の毛も茶髪。服は黒のスーツ。
こんな格好で街に出かけたら…斬られるかも!こえー!
本当なら髪の毛も染め直したい所だが、そんなものある訳無い。でもスキンヘットは無理。
仕方ない…伸びるまで諦めよう。
町人風衣装に着替え、街に繰り出す。
・・・・・うん、昨日より明らかに注目されてない。溶け込んでる?
これなら探しやすそうだ!
俺は、街の中をキョロキョロと麻美を探して歩き回った。
しかし…足が疲れ、日も暮れはじめても麻美は見つからなかった。
麻美…白と黒のスーツを着て髪の毛は茶髪。この街ならかなり目立つだろうに…
もしかして俺と一緒で、山の中で遭難でもしているのか?
どうしよう、それだったら町中を探す意味が無い。
今日は帰ろうか…
っと思っていた時だった。
「きゃー!誰かーー!」
黄色い…じゃなくて、助けを求める女性の声が聞こえた。
何だ?っと振り返った。
見れば数人の人だかり。
俺は遠巻きにその様子を眺めていた。触らぬ神に祟りなし!
次第に人だかりは増えて行き…様子を伺う事も出来ないほどになっていた。
御役人風の人も駆けつけ…事件の香りがする。
俺は気になって仕方ない。ちょっとなら…見ても平気だよな?
ソロソロと人だかりの中に突っ込んで行った。
一人の女性が蹲っている。
「どうしよう…どうしよう…」
ブツブツ青ざめた顔でうわ言を言っている。
何が起こったんだ?気になって仕方ない!
俺は、隣に立っている中年男性に声を掛けた。
「あっあの、何があったんですか?」
「いやぁ、何か大事な物を取られたらしいんだ。スリらしい。」
「スリ?何か盗まれたんですか?」
「あぁ、御嬢さんの慌てっぷりからすりゃー、高価な物なんだろうなぁ。気の毒に。」
「へぇ、どの時代にもあるんですね。」
「へ?何だって?」
「いっいえ、何でもありません。」
引ったくりかぁ、気の毒だな。
被害女性が役人に何やら犯人の特徴を伝えていた。
大柄で眉間に大きな黒子。髪は薄く、鼠の根付を持っていた…
白い布に包まれた物を取られたと言っている。
ふーん、中身は大切な物だったんだろうなぁ…
触らぬ神に祟り無し!ここはヤジ馬根性を抑えて一旦祥さんの家に帰る事にした。
どっぷり日も暮れた街角、俺は祥さんの家に急いでいた。
手に提灯でも持ってれば良かったが、生憎何も持ってない。
少し怖い真っ暗な道を、俺は早歩きで突き進む。
あと二つばかり角を曲がれば祥さんの家だという場所まで来た所で、
俺は中年の男性と肩がぶつかった。
「ちっ痛ぇなー!」
何だか穏やかでない口調。おっ俺が悪いのか?
「あっすいませーん。」
何だか腑に落ちなかったので、軽ーく流す。
「はぁ?人にぶつかっといてその態度は何だぁ?喧嘩売ってんのか!」
男は逆切れしてきた。
ってか、俺余所見してた訳じゃないしお互い様だろ?
でも…俺ってぶっちゃけ喧嘩滅茶弱なんだよね。
「いや…別に喧嘩なんて売って無いですけど?」
「てめぇーの態度がむかつくんだ!謝れ!」
「はぁ?何で俺が謝るんですか?これってお互い様ですよね?」
「ってめー!馬鹿にしてんのか!」
男は胸元から、キラッと光る物を取り出した。なっナイフ?
いや、この時代ならドスとでも言うのだろうか?
って、どうでもいい!今の俺は大変に危険だ!
こんなのに刺されたらバイ菌で死んじゃうだろ!
医療の進んでないこの時代じゃ確実に死ぬ!!
「てめー、覚悟しやがれ!」
男はドスを構え、俺を刺す気満々だ…絶体絶命!
なっ何か俺も道具を出さないと!
えっと、今何持ってる?
祥さんから貰ったお小遣いと…電波の無い携帯位だ。
貰ったお小遣いは少しだし、こんなの渡しても逆効果だろう。
けっ携帯なら?……携帯でどうやって攻撃するんだ?
麻美の画像が入ってる携帯、探すのに便利かと思って持ってきたけど…
そっそうだ!
「こっこいつが目に入らぬかぁー!」
俺は印籠の如く、携帯電話を男に刺し向けた。
「……はぁ?何だそれ。」
「こっコイツがお前の命を吸いとるぞーー!」
俺は男に向かって写真を撮った。同時にフラッシュが眩く光る。
「ぎゃぁーーーー!よよよ、妖術だぁーーーー!御助けーー!」
あの態度は何処に行ったんだ?
ガタガタと身体を震わせ地面に蹲る男。
ふっ、科学の勝利だ。
んっ?何か落ちてるぞ?
男が屈んだ時に落したのか?これは…ねっ鼠の根付!
これって確か…引ったくりの…
俺は、さっき撮影した写真を確認する。
今までは周りが暗くて分からなかったが、写真には確かに映っていた男の特徴。
眉間の黒子!!
こっこいつが犯人だ!
「おっおい!」
「ひぃぃぃ!御助けーー!」
「おい!話しを聞け!」
「ひぃぃ。いっ命だけは!」
ビビってる男、命乞いをしてきた。
魂を取られたとでも思ってるのか?
でも、コレってラッキー?
「おい、貴様の命を返してやらんでもない。」
「へっ?まことで?」
「あぁ、俺の言う事を聞けばな!」
「へぇへぇ!何でも聞きます。聞きますから!」
「じゃぁ、お前が今日人から盗った物を返すんだ。」
「へっ?何でそれを?」
「俺は妖術が使えるんだ。何でもお見通しだ。」
「ひぃ!てっ天狗様ですか?すっ直ぐに持ってまいります!」
「ここで待っているぞ?逃げたら…分かってるな?」
「へぇ!わっ分かってます!いっ急いで!!!」
男は何回も転びながら走って行った。
しばらくして男が戻ってきた。
「てっ天狗様、持ってまいりました!」
「ではそれを、盗った人に返すんだ。」
「へっへぇ…でも天狗さま、俺誰の物盗ったか…わかりません。」
「はぁ?分からないだって?」
「すっすみません!もう二度とやりません!!」
男は盗品をその場に置いて走り去って行った。
足元には大量の盗品。
財布や金、茶碗に布…まぁ、よくもこれだけ盗んだなぁ…
俺は仕方なく盗品を必死に抱え、祥さんの家に戻る事にした。
この盗品は祥さんに相談して持ち主に返してあげよう。
これからは真面目に投稿できそうなので、よかったら読んで下さい<(_ _)>