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血蠱蝸☆血蠱蝸(副題、それは。チャラにする明日)  作者: 犬冠 雲映子
ジンジャでの生活

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遭難記録

『この世界は永久的に、合わせ鏡のようにできた世界であり。こちらの人間と僕たちの死は違う。合わせ鏡の連なる世界のようだった』




 そんな文章から始まり、行動記録が走り書きで記されている。



 彼は目が覚めるとあの404号室が並ぶ団地の世界にいた。最初は人がいないか、ずっと呼びかけていた──が、鏡合わせのような構造に気づき、異変を感じたという。


『何かがおかしい。ここは日本じゃないのか? よく都市伝説や、SFで聞く異世界ってヤツなんだろうか。それに、僕は生きるのに嫌気がさして死にに来たはずだった』



(やっぱり、山道に立ってたのはそういう事だったんだ)


『どんなに歩いてもヒトらしき気配もなく、あまりにも不気味なので、遭難した人のように行動を記して置こうと思う。たいして命は惜しくないし、拾った人が参考にしてくれればいい』

 彼は時刻を書いていた。午前3時。


(昼じゃなくて? )


 シハがサラリーマンを見たのは昼間だったはずである。なのに彼は午前3時にこの場にいると書き残している。と、なるとあれは幻だったのか?

 それとも気絶している間に時間が経ったのだろうか?



『状況を整理すると、午前3時に山奥へ向かったら不思議な人影を見た。白い服を着た女性だった。よそ行きの格好で、手には紙袋を持っていたし。だから最初は誘拐されて捨てられたのかとビックリして声をかけたんだ』


『彼女は大丈夫ですから、とだけ言って消えていった。するとすぐに光るものがあった。最初は見回りの人か、バイカーの明かりかと思ったが違う。四角い? いや、無機質な塊がこちらを浮遊しながら浮いて』



「で?」

「ダメだー。薄れちゃって読めないや……でも、私の記憶とだいたい一致してる。無機質な塊が浮いてた……あれって」


 形容詞がたい。ラフレシアのような形になったかと思えば、様々な形に様変わりしていた。無機質なくせに有機物のような。

「ソレがシュラインゲートなのか」


「外から見たらそうなの?」

「知らねーよ。ここからだと外から見てもあの形だ」

「ふーん……」

「穢鬼の一種なんじゃねえの? そういうヤツもいるかもしれねーだろ」

「日本には妖怪しかいませーん」


(まあ、あまり変わらないか……得体がしれないってのは同じだし)


 だとしたら冥廊の妖怪が日本に来てしまった事になる。そうなると反対もありうる?


(ますます帰れる気がしてきた! )



「何ニヤニヤしてんだよ。気色悪ぃ」

「いやぁ、別に」

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