月は昔の親友に似ている
『4-2』。懐かしい、クラスの標識。けれども木造校舎の廊下にはその数字しかない。不吉な数字だ。し、に。死に。
不吉な文字は何を表す?
学校。脳裏に嫌でも仲良しの友だちと廊下で話し込んでいる風景が浮かぶ。この校舎とは異なりコンクリートで、もっと時代が進んでいたが。
親友との昨日のアニメの感想や、夕方は何して遊ぶ? なんて他愛もない話。
不自然に顔は塗りつぶされて判別できない。少女。同じクラスだった。
彼女──は悪ガキで、公園で花火をしたり、団地でピンポンダッシュしたり、探検ごっこをしたり……親しかったはずだ。
(誰かに似ていた。誰? 私が私であるために思い出したい。そう、)
「あ、約束守ってくれたんだ」
一瞬、友人と姿が被った気がして息が止まりそうになった。月が廊下のつき当たりに佇んで、こちらに小さく手を振った。
「う、うん。月、さんは大丈夫? 化け物とか」
「大丈夫。慣れてるから、それに爆竹である程度目くらましできるし」
リュックサックは重たそうだ。あの中に必需品がギッシリと詰め込まれているのだろう。
「それよりそっちこそ何も持ってなくて大丈夫? 武器とか」
「あ、それが途中で無くしちゃって。でも平気!」
(もっとまともな嘘つけるだろ。無くしたってなんだよ)
キヒのツッコミを聞かなかった事にして、月に駆け寄る。浮遊感に似たノスタルジックを覚え、感情が揺れた。
(月さんに似てる? そんな、事あるのかな……)
この世には似ている人物が3人いるというが、この妙な感覚は何だ?
(俺もだ。あの娘、警戒した方がいいかもしれねえ)
(えわ!? 頭ん中読んでたの?! やめてよ)
(同化しているから読めるに決まってんだろーがよ。油断すんなよ。アレが化け物だっていう場合もある。お前みたいに無防備を装った、な)
キヒは警戒モードで月を見つめている。か弱い存在を装った化け物もいてもおかしくない、それは何となく理解できる。
「じゃあ、ついてきて。ここからは危険だから、お互い穢鬼を見つけたら対処しよう」
「う、うん。がんばるっ」
「入口は塞がれてるから、抜け道を通るよ。ちょっとキツイかも」
私の学年は7組までありました。





