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血蠱蝸☆血蠱蝸(副題、それは。チャラにする明日)  作者: 犬冠 雲映子
潮風を求めて

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34/42

示未町へ

 エニシ。えん。人や物事と繋がった結果。

 縁結び。縁切り。それはシハでも耳にした事があって、自分自身とは程遠いなとあまり気にしていなかった。


(なんでだろう? そこら辺の記憶が曖昧……)


 縁など、机上の空論に似たもので実際には触れもしない。──それがこちらには存在していると?

「ああ、呪殺代行人なら初歩的なものだ。エニシを頼りにテレポートする、あるいは尾行する。それができなければ代行人にはなれない」

 忌避が先生の如く教えてくれる。


「すごっ! 漫画みたい!」


「はあ……お前がそんな反応すると俄然、腹が立ってくるぜ……まあいいや……。さっきも言ったろ。それを手にして、あの娘を思い浮かべなからゲートをくぐれ。とりあえずそのトゲを手に目をつぶって、糸でも何でもいい、思い浮かべて──掴め」


 瞼を瞑り、トゲの質感を指で確かめながら、月を思い浮かべる。彼女の後ろ姿。そうして、Zoomするイメージ。


 シハは手を伸ばし、彼女の後ろ髪である(・・・・・・)三つ編みを掴んだ。







 空気感が一気に変わり、ハッとまぶたを開ける。すると周囲は哀愁漂う木造校舎に様変わりしていた。

「わ!」

「あ、あぶねー。同化するの忘れる所だったっ」

 脳内でグワングワンとキヒのボヤキがひびき、目眩がする。「音量なんとかしてよ」


「できるかバァァーカ! 慣れろ」

「わざと大声ださないでっ、ううっ……吐き気してきた」


 コメカミを押さえ、古めかしく擦り切れた廊下を眺める。人の気配はないが教室を覗こうとしても何かベニヤ板か、布で覆われて伺えない。


「ここは?」

示未町(じびちょう)だ。風棟の真隣、といえばいいか」



 羊を意味する(ひつじ・び)の文字。鬼門に対する畏怖と厄除けの願いが込められているという。裏鬼門は未と申。だから羊。


(鬼門ってここでは、めちゃ怖い何かなんだ…)


 八髏非女の話通り、人口は少ないらしい。このように身を隠しヒッソリと暮らす者が多い。



「だ、大丈夫かな? あの子。こんなくらったるい場所にいて」

「暗い? ここはずーっと暗いぞ」

 カラカラと彼は笑い、そうして真剣な気色になる。


「ここいらは『()()()()』がいるから気をつけろ。アレは強い、でけえし、声もでかい」

「何それ……うるさいのは嫌だな……」

ちょっとした洒落怖の話の要素を盛り込みました。

ほんの少しだけ。ヤマニシさん、という話になります。


ジビ町のジビは「礻未」という『山海経』に出てくる妖怪?精?を拝借しました。

文字は日本の漢字にないです。だから礻未です。

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