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外を求める

「はあ、ホントなのかな……全然、半人妖の気配がしないけど……」

「ほら、来たばっかりだからかも」

「じゃあ日本にも半人妖がいるの?」

「うっ、それはー……」

 疑り深く木津は聞いてくる。肩に乗っているハリネズミに似た生き物も背中の針をザワザワさせていた。


「私は冥廊の中では一番日本を知っていると思ってる。教えてくれた人がいたし、何人か日本から来たって人から聴き取りもした」


(……案外いっぱいいるんだ)


 安心していいやらどうしていいやら。

 チラリと地図を見ると円形に短略された絵図が記されていた。子、丑、寅……と当てられたもの。


「干支? これって」

「干支じゃないよ、方角ともいうし時間も性質も表すの。私と一緒に地図を作っていた人が割り当てた方法なんだ」

「へえ、確かに草木も眠る丑三つ時っていうもんね」


 鬼門と裏鬼門、様々な言葉が書き込まれている。感心しながらも自分自身は今、終棟の『酉』に近いのを知る。なぜならそこに時計の針の秒針のようなものがあるからだ。円形なのは図版に合わせているからなのか?

 現在地を分かりやすくするための工夫。


 この地図を編み出した人物は何を考えていたのだろう。


「日本から来たってのは認めるけど、半人妖なのは変だね」

「貴方もそうじゃないの? 耳が着いてるじゃん」

 彼女の頭には三角の獣の耳がついていた。それはこちらと同じだ。


「これはつけ耳。孤児で人の生まれだと人身売買に会いやすいらしくて、孤児院の先生が提案してくれたの」

「あ、あー、そうなんだ! ごめん」

 複雑な家庭環境のようで、これ以上は詮索しない方がいいとシハは決める。あちらはあっけらかんとしてはいるけれども。


「シハさんは日本に帰りたいんだ。どうして?」

「だってここは生まれた世界じゃないし、……寂しいもん。友だちも家もあるはずなのに、いきなり知らない土地で過ごすのは──」

「ふーん。なるほど」


 ドライな反応をされ、ずっこけそうになるが彼女は地図を見た。

「貴方かいた日本には海っていうのはある?」


「あるよ」

「なら来て欲しい所がある。昨年見つけたんだ。外に出れるヒントかもしれない」


(海? どゆこと? ここに外があるの? )


(さあ、ついに気でも狂っちまったんじゃあないのか? )

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