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「あのね、私、日本へ絶対帰るんだ」

 あれから夜になり、見張り番をしているキヒへ語りかけた。いつ反旗を翻すか分からぬ者を腕を組み、律儀に監視している。



「日本なんてねーよ。つーか、日本だから何か変わんのかよ」

「……確かに、最低な世界かも。でもここに私が居候しちゃいけないから」


 タオルケットをかけられ、雑魚寝の状態で少し肌寒い。虫の音がうるさいくらいで、どこか懐かしく思えた。

 小さい頃、秋の虫を聞いた。どこでだか分からない。でもそれよりも月を見に行って、楽しかったのだ。


(この記憶は本物ならば、あっちは楽しかったのかな)


 何故だが独りでススキを持ち、土手を歩いている。母親も父親もおらず、一人きりで。


「居候ってさ、お前、ここのヤツらに迷惑掛けてんだぞ。いきなり消えられたらそれこそ怒るだろうが」

「それは私じゃない」

「じゃあ、血蠱蝸は誰だよ。俺は見た事あんだよ。冷徹なオメーの顔をな」

 牙を剥き、唸るキヒはまさに獣だった。鋭い歯牙で刻まれればいとも容易く死ぬに違いない。


「日が昇っていた時みたいに、キヒが私に取り憑いていたみたいに……血蠱蝸も憑いていたら? そういう可能性ない?」

「……血蠱蝸が、妖異だって?」

「分からない。その時にふと思っただけ」


 妖異が未だどんな生態をしているが不明ではあるが──眼前にいる犬か、それとも違う生物か分からぬ彼に似た力を持つ者もいるのではないか?

「俺らを弾きものにする気か?」


「違うよ! でも座敷牢から血蠱蝸が現れるなら、血蠱蝸はそこにいて! 誰かを介して──」

「何のためにひと殺しをすんだ? 快楽殺人か? それとも選民意識の表れか? 復讐か?」

 目をギラつかせ、爪を眉間に突きつけてきた。


「復讐? なんで?」

「──、妖異が虐げられてきたからだ。……はあ、話にならねえ。でも少し合点がいくな」

 怒りを沈め、キヒはまた見張りに徹した。


「仮にヤツが妖異だとしても、水望(すいぼう)一族が匿うのは納得できる。利用すればかなりの権威になる」

「なにそれ?」

 いきなり知らない一族の名を言われ、シハは眉をひそめた。


「俺が呪殺代理人として雇われていた、冥廊における殿様一族だよ」

風邪ひいてしまった気がして、頼りないので文章直しながらやったんですが、おかしかったらすいません。

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