へ ん し ん !
深々と突き刺された凶器から膨大なエネルギーがなだれ込んでくる。キラキラと辺りが不気味に煌めき、拘束していた縄が不自然に解けていく。
「呪殺師か!?」
「御託はいい。シハ、言え──!」
傀儡になった己は命令された通りに叫ぶ。
「フュージョン!!」
(え?ふ、ふゅ??)
心の中で違和感を感じながらも、さらに異質な塊を受け入れる。情報。持ちきれないほどの知識。
「うっ、ぐえっ…!があ!」
大量の吐血をし、頭がクラクラする。しかしキヒは心配も嘲笑もしない。
(抵抗するな。今は俺に任せろ)
「キ、ヒ?」
任せろ。なら今は甘んじるしかないのか。悲鳴をあげる頭が一気に凪ぎ、全く違う思考に切り替わる。指が舞い、光の尾を引いた。
「爆撃!」
「やべぇぞ!血蠱蝸が復活した!!」
あれだけ威勢よかった裏組織の幽霊たちが蜘蛛の子を散らすように退散しようとする。
「させるか!停止だ!」
半分眠っている意識の中、口が勝手に動いている事がなんだか面白かった。目の前にいた脅威がピタリと止まり、雑居ビルの一室が閃光に包まれる。
巨大な爆発だった。
「ヒューッ!爽快だぜ!血蠱蝸はこんな感覚を味わってたのかっ!」
(良かった。…良かったのかな?)
分からないや、とシハは虚ろに呟いて眠りについた。
「コイツから血蠱蝸の記憶は見当たらなかった。あるのはまったく知らない世界の、よく分からない者の記憶だ。俺には分からない。デンシャ、ヒコウキ、またはこの場所に似た建物もあった」
誰かが話している。
「そうかあ。なら、この子は誰なんだろうね」
2人目の知らぬ声音がして自らが硬い地面に置かれているのを認識する。消毒液のキツイ匂い。病院だろうか?
「水可という苗字を持っていた。苗字持ちだぞ?皇族かもしれねえ」
(そうだ。水可…私は水可…、あれ、名前が思い出せない…)
気に入っていた名前にモヤがかかっていて、思い出そうとすると邪魔をする。
「いや、精神疾患じゃないのなら本当に日本という国から来たのかも。話なら聞いた事があるんだ。精神疾患患者から」
「集団暗示とかじゃないよな?」
「さあ?でも血蠱蝸のエネルギーを有して錯乱されたら大変だからね。精神的なお薬は出しとくよ」
瞼を開けると手術台の上に乗せられ、オペが終わった後ですと突きつけられる。銃弾を受け止めた胸には雑に絆創膏が貼られていた。
(ええーっ?!)





