助太刀
「──アヒメの居場所はどこだ」
「いや、知りませんって」
容赦なく殴られて血を吐く。これで何回目だろう?
アヒメの居場所なんて知らないし、アヒメという人も知らない。マフィアは自分自身をかの暗殺マシーンと疑わず、苛立ちを含ませ殴る蹴るをしてくる。
彼らはこの地区を牛耳る裏組織で、ボスを血蠱蝸に暗殺されたのだという。狐の紋章をスーツにつけているのだから、先程の九尾の狐の組織だろうか?
そんな事もできる?血蠱蝸は一体何者なのだろう?
「いった…はあ、階段から落ちた時よりいたい」
「呑気だなぁ〜?おい」
「だって、私は貴方たちのボスを殺したんでしょ?抵抗するなんて、冷血すぎますよ」
「ふざけてんのか!?お人好しブリやがってよ!!」
組織の1人がいきなり発砲した。運悪く、胸に当たり何とも言えない痛みが走る。普通に生きていたらまず経験しない痛み。
「お、おい」
「やべぇぞ」
どよめく狭い部屋はどうやら団地ではない。どちらかというと雑居ビルのフロアに近しい。
(あーあー。私の最後は、こんなものか。まあ、いいや。なんかアッチでも酷いことしたような、気もしたなあ)
血が傷口やら漏れて、滴り落ちる。それを他人事に眺められるのはやはりこの身体は他人の者なのかもしれない。
せっかく二度目の人生をまた台無しにしてしまう。
どんくさいと周りから言われていた。頭も悪いと、親からも卑下され、褒められた経験も少ない。
血蠱蝸のような悪のヒーローなどともかけ離れていた。
「ごめんなさい。血蠱蝸。ごめんなさいマフィアさんたち──」
今度こそ頭が死にかけている。一思いに殺して、終わらせてはくれないものだろうか。
「キヒ、」
唇から漏れた言葉に、何かが弾けたような、衝撃が走った。
「──、でかした」
静かな声色が囁かれ、ハッと意識が浮上する。
キヒがいた。立ち塞がるかの如く、裏組織の者共を睨みつけて。
「てめぇ、どこから来た!」
「呼ばれたから、来た」
武器化した尾をシハの銃痕がある心臓へ突き刺し、聞こえない声量で何やらを呟いた。
「キヒ──」
「こき使ってやるからな」
歯牙が煌めく、獰猛な笑みが垣間見え、なぜだか笑っている自分がいた。





