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円の内側

「ワシぐらいの神だとそんなの簡単のたんじゃ!!忌避、あちらに行くのはえーっと、2年ぶりだったな?地図を渡しておくから頑張っておくれよ」

「い、いやー…あっちの世界は好きじゃないんですが。八髏非女さまの言いつけなら仕方ねえや…」

 なんとも雑な地図を渡され、半獣はしょんぼりしている。


「あのう、あっちの世界って」

「シハ。お前にはワクワクするかもしれんぞ?まるでゲームじゃ」


 ゲーム?

 こちらにもテレビゲームやソーシャルゲームがあるのだろうか?


(そういやスマホ、どこに行っちゃったんだろう…ログインボーナス、もうダメだよね…)


 あらぬ方向に思考を回していると、少女に裾を引っ張られた。凄まじい力だ。

「頑張ってこいよ!生きて帰れ!」

「いや、何ですか!怖いんデスケド?!?」

「大丈夫ッ!大丈夫!」




 無理やり鳥居から押し出されるとヒンヤリとした風が皮膚にあたり、埃くささに咳き込んだ。


「何?!」

「これが外だ。いや、内側か?」

 キヒが後に続いてやってくる。背後にはコンクリートの壁に赤いペンキで鳥居のマークが書かれているのみ。


 眼前に広がるのは団地の廊下に見えた。だが、廊下にしては薄暗い。そうして外観を見渡せない。まるで廊下が左右対称に融合したかのような…。

「団地?廃墟?!」

「団地つーのかこれ?ここ一帯は確かに廃墟だな。今は人が誰も住んでない」

「え、人もいるんだ」


 404号室が連なる廊下は異常で。永遠に続いているかの如し奥行に、切れかかった蛍光灯がチカチカと瞬いている。


(ゲームってこういう事かぁ…なんだっけ?詳しくないけどランダムマップだったら悲惨だなあ)


 以前、見かけたゲームに似ている。

「あのさ。いきなり道が変わったりしないよね?」

「ハア??ンなわきゃねえだろ」

「良かった…」

「やっぱ頭イカレてるわ。早く脳みそいじってもらえ」

 白い目で罵られ、苦笑いをするしかないが、とりあえず医師に診てもらった方が良いだろう。


「絶対にはぐれんなよ。化け物がうろついてるからな」

「そんなフィクションみたいなのが?!」


「はあ?化け物を倒すのが、お前の仕事だろーが」

「ええっ。化け物も倒してたの…」

 ならコイツも生前化け物だったのでは?

privat○er+で細々執筆していた小説の世界観を移築しました。

元はあるアニメ映画の世界観に酷く影響されてねり始めたので、舞台が九龍城砦まんまなのはアレかな、と思いアレンジしました。

それよりランダムマップの和風迷宮のゲームの世界観が大好きなんですよ。徘徊者の鈴をシャンシャン鳴らしてる敵が好きでして。

実況しか見た事ないのでいつかプレイしてみたいです。

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