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俺なんかとは違って皆はラブコメしてるなぁ……と思っていました  作者: 向井 夢士
第2章

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52話 解決記念

 音野先輩の問題が解決した次の日であり、本来は作戦決行日だった今日。


 俺たちは進藤さんの家に集まり、進藤さんの家で解決記念パーティーが開かれていた。


 メンバーはほぼほぼ同じだが、部活動が忙しくてこれまで参加できていなかった茜も加わり、進藤さん親子や先輩後輩、おまけの倉島も入れて十二人という大所帯だ。

 入学してすぐの時は俺と琉生と玲奈の三人だけだったから、四倍ってことになるのか。いつの間にいつの間にだな。



 進藤さんの家に皆が集まると、ワイワイと盛り上がっている中で茜が不安そうな表情をしながら俺に話しかけてきた。


「ねぇねぇ兄貴。私は今回何もしてないんだけど、本当によかったの?」


「茜は部活で忙しそうだったけど、応援とかしてくれたしな。それに茜だけ仲間外れにするのもなんか寂しいだろ」


「……なーんでそんな事言っちゃうのかなぁ」


 うん? 俺、何か変な事言ったか? 素直に気持ちをぶつけたのがやばかったのか?

 そんな反応されたら、こっちが色々と不安になっちゃうでしょ。


「拓海君は生粋の人たらしですからね」


「玲奈……? それは俺をフォローしてるのかしてないのかどっちなんだ?」


「あれ? いつの間にか兄貴が玲奈ちゃんの事を名前呼びしてる」


「私もそろそろかと思いまして」


「ぐぬぬ。やっぱり玲奈ちゃんも侮れないなぁ」



 いったい何の話をしてるのか、俺にはさっぱりである。女心、俺にはやっぱりわかんねぇのかなぁ。


 それにそもそもの話、俺に人たらし要素ある? 俺は社交性もないネガティブ人間だよ?


 

 そんな感じで俺が茜や玲奈から話の仲間外れにされ、蚊帳の外に追いやられているような気分になっていると、パンッ! と手を叩いた音が横から聞こえてきた。


 音の鳴った方を見ると、倉島が珍しく真剣な表情をして何かを言いだそうとしていた。

 ほんと珍しくね珍しく。あいつ、普段はチャラけてるキャラだし。


「あのよ。これだけ人もいるわけだし、今日はパーティーみたいなもんじゃん? もっとお菓子とか色々と必要じゃねぇか?」


 おぉ、倉島に対しては珍しくまともな意見。だから珍しくね、珍しく。


 進藤さんたちが準備してくれた分や持ち寄った分もあるが、こうして集まってみると確かに少なく感じる。

 まぁ、十二人もいたらそうなるのも必然か。パーティーとかって、どれだけ買えばいいかいまいち分からんよな。


 ここは仕方ない。お菓子などを補充するのが得策だ。


 という事で……。



「確かにそうだな。じゃ、倉島よろしく!」


「水城君の言う通りだね。タカ、よろしく!」


「おおぉい! 水城も真紀も扱いがひどすぎるだろうが!」



 ちっ、この手は通用しなかったか。倉島も場の空気に流されないぐらいには賢いらしい。

 てかこいつ、勉強は意外とできるんだった。色々と厄介な奴だ。


「しょうがない。一人で行くのも可哀そうだし、何人かで買い物に行くか」


 流石に一人で行かせるのは可哀そうで申し訳ないので、俺は何人かで行く事を提案する。十二人もいるし、四人から五人ぐらいで行くのがベストかな。


「私が車を出そう。あと四人は余裕をもって乗れるかな」


 どうやら孝蔵さんが車を出してくれるらしく、あとの残り四人を決める事に。


 孝蔵さんの車、何か大きくてめちゃくちゃ高そうなんだよな。車に詳しくない俺でも分かるぐらいのオーラとカッコよさがあるというか何というか。

 やっぱり、孝蔵さんとはずっと仲良くしておこう。絶対に。神に誓って。いやマジで。



「じゃー私が行くよ! 今回は兄貴の応援だけだったし!」


「私も後輩なので行かせてください! 彩夏も行く?」



 最初に茜と晴菜が手を勢い良く挙げ、彩夏ちゃんも晴菜の問いに頷いたので、これであと一人。


 ここであと一人でグダグダになるのもあんまり好きじゃないし、俺が行くか……と考えて、俺も手を挙げる。


 しかし、歓迎されると思っていた俺の予想とは反して、茜たちはそんな手を挙げた俺を怪訝そうな表情で見つめてくる。


 え、俺、何か仲間外れにされてる? また何かやっちゃいました?



「な、何だよ」


「兄貴は今回のヒーローなんだから、免除に決まってるでしょ!」


「えぇ? そんなVIP待遇じゃなくてもいいのに」


 涼香先輩ならまだしも、俺は涼香先輩に借りを返しただけだし、買い物に行くのもそこまで苦じゃないから別に良いんだけどなぁ。


 でも皆に『え、お前まじか?』みたいな表情をされ、茜に勢い良く言われてしまってはしょうがないか。



「しゃあねぇ。あとは言い出しっぺの俺が行ってやるよ」


 ここで言い出しっぺの倉島が少し責任を感じているのか、真剣な表情で手を挙げた。


 俺は『結局行くんかい!』というツッコミを何とか飲み込み、倉島に感謝の気持ちを言おうとして改めて考える。


 茜は色々とバグってるのに対し、後輩二人はまだ少しどこか壁がある印象だ。涼香先輩や岩田先輩なら先輩という立場があって気軽に話せるかもしれないが、一番年下の後輩となると気も遣う事も多いだろう。


 ちなみに色々とバグってるっていうのは、褒め言葉だからね? 


 茜の奴、厳しい先生とか怖い人にも平気で明るく話しかけられるからなぁ。どんな人とも明るく話せる、天性の才能がある。


 それと、倉島と彩夏ちゃんを合わせるのはまだ少し不安だ。少しマシになってきているとはいえ、男性に対してそもそもの恐怖心がある彩夏ちゃんと倉島は少し相性が悪い。


 ここは倉島じゃなくてあいつに任せるのがベストか。


「いや、倉島だとまだ他の奴らが萎縮しちゃうかもしれねぇ。誠一、頼めるか?」


「まぁ僕が適任だろうね。任されました」


「うぅぅうう……俺って……俺って」


「タカもいじけないの。これから頑張っていけばいいんだから」


 倉島も最初はいけ好かなくてウザい奴、みたいな印象だったけど、今となっては面白いオチ要因になっているし、俺としても好感度は上昇中だ。

 

 まぁ、俺や進藤さんは真剣に対峙したからこその今の関係だからな。他の皆はもう少しかかるのかもしれないけど、倉島が心をちゃんと入れ替えていれば、皆と仲良くなるのも時間の問題だろう。


 という事で買い物に行くメンバーは孝蔵さんを除いて、誠一、茜、晴菜、彩夏ちゃんとなり、買い物に行かないメンバーの要望を少し聞いた後に近くのスーパーに向かって出発していった。



 茜たちが買い物に行った後、倉島は進藤さんに励まされていて、琉生と玲奈は岩田先輩と生徒会の事について何か話していた。どうやら新聞部で生徒会の特集記事を作るらしく、それに向けて岩田先輩や涼香先輩のインタビューなどをしたいらしい。


 そんな感じで、俺は暇になってしまいました。俺の根暗なとこ、こういう時に少し出ちゃうんだよなぁ。



 俺はそう思いながら少しボーっとしていると、涼香先輩が俺を手招きするのが見えた。琉生や倉島たちはまだ楽しそうに話し合っている様子だ。



「ねぇねぇたっくん。ちょっと、外出よっか」


「え、えっ? ま、まぁいいですけど……」



 

 俺は少し緊張しながらも、涼香先輩の誘いを受けて外に出た――


 


 


 

 








 

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