特別編1 俺と茜
※1年生の頃のショートストーリーです。
寒さもより一層厳しくなり、クリスマスがもうすぐに迫っている今日。
俺にクリスマスのデートの予定を立てる、みたいなリア充イベントがあるわけもなく、俺は暖房のきいた部屋で、一人でゴロゴロとしていた。
そうしてテレビで適当に動画を流しながらソシャゲの周回をしていると、スマホの画面が急に変わって振動し出す。
スマホの画面を確認すると、茜からの着信だった。
俺は今年から高校生になったわけだが、茜とはだいぶ仲良くなった。
元々は最初に知り合った琉生からの繋がりだったが、最近は二人で話す事も多い。
茜はフレンドリーなのでよく話しかけてくるし、趣味が合う事から趣味の話をすることも多い。
今日はいったい何の用だろうか……?
「もしもし」
『あっ、兄貴! やっほー!』
「急にどした?」
『んーちょっと話したくなって』
陽キャの人たちってこんな感じなの……?
俺みたいな陰キャラは、電話する事なんてほとんどないんだけど……。
それに少し前から、茜は俺の事を『兄貴』と呼ぶようになった。呼んでいいと言ったつもりはないが、茜はなぜかすごく気に入っているようだ。
うーん。弱くて雑魚陰キャラの俺にはよくわからん……。
『ほらほら。明日はあれがあるじゃん』
「あーあれね。分かるよ」
『じゃあせーので言う?」
「おう」
「せーの」
『せーの』
『漫才コンテスト!』
「ソシャゲのクリスマスイベ!」
茜と合わせて言ったはみたものの、俺と茜の言った事は違った。
そういえば、明日は漫才コンテストもあったなぁ。ソシャゲのクリスマスイベントで頭がいっぱいだった。
漫才コンテストとは芸人の中で漫才日本一を決める、人気も歴史もある日本一大きい漫才大会だ。テレビでも放送される。
でもよ……色々なゲームで出てくるサンタコスとか可愛いじゃん……。まぁ年末年始のイベントもあるから、課金は最小限に抑えたい。
負けられない戦いが今始まろうとしているのだ!
『もーなんでよ! 明日はお笑いでしょ!』
「ごめんごめん。ちょうどゲームしてたから」
『もう……。何かゲームでもイベントがあるの?』
「あるよ。サンタコス衣装の限定キャラとかが、ガシャで出てくる」
『……サンタコス』
「別にサンタコスが大好きなわけじゃないぞ!?」
俺はそう言いながらも、茜がサンタのコスプレをした世界を思い浮かべる。
まぁ……うん。素晴らしいよね。
『私と兄貴と言えば、漫才でしょ~』
「俺は茜と漫才しているつもりはないんだけどな」
『またまた~! ツッコむのが好きなくせに』
茜はよく俺に対してボケるので、俺がいつもツッコミを入れる形になる。そんな形を茜が凄く気にいったようで、更に俺に対してボケる。永久機関の完成だ。
そもそも、ボケを見逃す事なんてできる? ツッコミ入れなきゃ気持ち悪くない?
『兄貴は明日、誰が優勝すると思う?』
「そうだなぁ。個人的に好きなのは、平成ドリーム、ヤールンズ、宇宙ジェシーあたりだから、そこら辺を優勝候補としておくよ」
『面白いよね! まぁ芸人さんってどのコンビもめちゃくちゃ面白くて、センスの違いみたいなものを感じるよね』
「めちゃくちゃ分かる。どんな脳みそしてるんだろうな」
芸人さんって本当に凄いよなぁ。
笑いで生活しているだけあって、笑いのセンスは本当に凄い。笑いより感心の気持ちが勝つときもあるぐらいだ。
『ほんとどんな脳みそなんだろ。リサイクルショップとかに売ってる中古の本ぐらいシワがあるのかな』
「いやたまにシワシワなやつあるけど! あのめっちゃ安くなってるやつな!」
『私の脳みそは……皆の夢ぐらいかな……』
「いやパンパンじゃねぇか! めちゃくちゃ詰まってて大きいじゃねぇか!」
『あはははっ! やっぱり大好き。兄貴は最高だよっ』
いや俺のツッコミ、まで言わないと、茜が俺に告白しているみたいになるだろ!
まぁ茜が俺に告白することなんて、ありえない話ではあるけどな?
「それで? 本題は何なんだ?」
『うーん……とりあえずはいいかな! 来年はクリスマスとかで遊べたらいいね!』
「あ~クリスマスパーティーとかいいかもな。クリパってやつだな」
『うん。それもいいけど……ってここから先は有料! じゃね!』
「本当に何だったんだよ。まぁ……おつかれ」
そして通話が切れる音がして、スマホの画面がゲーム画面に戻る。
結局最後までよくわからなかったが、まぁこれも高校生らしいって事なのかな。
入学してから約八カ月……今のところは上手く学校生活を送れているのかもしれない。
次回から第2章! 引き続きよろしくお願いします!
皆の推しヒロインは誰かな……?




